介護福祉士は利用者の身体介護を行う専門職であり、社会福祉士は生活に困難を抱える人の相談援助を行う専門職である。どちらも国家資格だが、仕事内容・支援対象者・年収・資格取得ルートが異なる。
介護福祉士の平均月収は350,050円(年収約420万円)、社会福祉士は397,620円(年収約477万円)で、月額約4.8万円の差がある(令和6年度厚労省調査・介護施設勤務)。合格率は介護福祉士が約70%、社会福祉士は約56%と難易度にも差がある。ダブルライセンスを取得すれば生活相談員や地域包括支援センター職員へのキャリアが広がる。
この記事のポイント
- 身体介護 vs 相談援助の根本的違い
- 月収差は約4.8万円(年収差約57万円)
- 合格率70% vs 56%で難易度に差
- ダブルライセンスでキャリアが広がる
介護福祉士と社会福祉士、名前は似ているけど中身は全然違う——そう聞いたことがある方も多いですよね。実際、この2つの資格は仕事の性質、支援対象、年収、取得ルートのすべてが異なる。この記事では7項目の比較表を軸に、両資格の違いをスッキリ整理していこう。
【比較表】社会福祉士と介護福祉士の違い一覧
まずは7項目の比較表で全体像を把握しよう。同一条件(介護施設勤務・月給・常勤)で比較したデータを使用しているため、公平な比較になっている。
- 7項目で一目瞭然の違い
- 同一条件(介護施設・常勤)で比較
- 登録者数は200万人 vs 約28万人
7項目の比較表
以下の比較表で両資格の違いが一目で分かる。
| 比較項目 | 介護福祉士 | 社会福祉士 |
|---|---|---|
| 主な役割 | 身体介護(ケアワーカー) | 相談援助(ソーシャルワーカー) |
| 支援対象者 | 介護が必要な高齢者・障害者 | 生活に困難を抱えるすべての人 |
| 仕事内容 | 食事・入浴・排泄介助等 | 相談・助言・福祉サービスの調整 |
| 主な勤務先 | 介護施設・訪問介護事業所 | 介護施設・病院・地域包括・行政 |
| 平均月収 | 350,050円 | 397,620円 |
| 合格率 | 約70%(第38回70.1%) | 約56%(第37回56.3%) |
| 登録者数 | 約200万人 | 約28万人 |
※月収出典:厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」統計表第89表(介護施設勤務・月給・常勤)
一言で表すと
介護福祉士=「利用者の生活を直接支える人」、社会福祉士=「利用者と社会をつなぐ人」。どちらも福祉の専門職だが、アプローチの仕方が根本的に異なる。介護福祉士は利用者の身体に直接触れて支援する「直接的・身体的な仕事」が中心で、社会福祉士は利用者の悩みを聞き制度やサービスにつなげる「間接的・頭脳的な仕事」が中心だ。
仕事内容の違い|「身体介護」vs「相談援助」
名前が似ているせいで混同されがちだが、日々の業務内容はまったく異なる。介護福祉士は利用者の身体に直接触れるケアが中心で、社会福祉士は利用者や家族の相談を受けて制度やサービスの調整を行う仕事が中心だ。
- 介護福祉士=直接的・身体的
- 社会福祉士=間接的・頭脳的
- 勤務先の幅は社会福祉士が広い
介護福祉士の仕事内容
介護福祉士の主な業務は、食事・入浴・排泄・移乗の介助、レクリエーションの企画、利用者の健康観察、介護記録の作成などだ。身体に直接触れるケアが仕事の核であり、体力を使う場面が多い。
勤務先は特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、訪問介護事業所、デイサービス等の介護施設が中心。利用者と長期間にわたって関わり、生活そのものを支える充実感は介護福祉士ならではのものだろう。
社会福祉士の仕事内容
社会福祉士の主な業務は、福祉サービスの利用相談、入退所の手続き調整、関係機関との連携、権利擁護、成年後見人業務などだ。利用者や家族の悩みを聞き、適切な制度やサービスにつなげる「ソーシャルワーク」が仕事の中心になる。
勤務先は介護施設(生活相談員)のほか、病院(MSW=医療ソーシャルワーカー)、地域包括支援センター、児童相談所、障害者施設、行政機関など幅広い。活躍できるフィールドの広さは社会福祉士の大きな強みといえる。
年収・給料の違い|社会福祉士のほうが月4.8万円高い
年収はどちらが高いのか。介護施設勤務(月給・常勤)の同一条件で比較すると、社会福祉士397,620円 vs 介護福祉士350,050円で、月額約4.8万円・年間約57万円の差がある。ただしこの差には構造的な理由がある。
- 月額差4.8万円・年間差約57万円
- ポジション差が主因
- 介護福祉士でも夜勤+管理職で逆転可能
介護施設勤務で比較|年収差は約57万円
令和6年度介護従事者処遇状況等調査の保有資格別データ(月給・常勤)で比較すると、介護福祉士350,050円 vs 社会福祉士397,620円。年収換算で約420万円 vs 約477万円の差になる。
ただし注意点がある。この比較は「介護施設勤務」に限定したもので、社会福祉士が病院やシンクタンク等で働く場合はさらに年収が高くなる可能性がある。逆に、介護福祉士でも夜勤手当+管理職手当で逆転するケースは十分にある。
→ 介護職の資格別・施設別の給料データは「介護職の給料は本当に安い?(記事#13)」で網羅的に解説している。
年収差が生まれる構造的理由
「なぜ社会福祉士のほうが高いの?」と気になりますよね。年収差の構造的な理由は3つある。
1つ目は、社会福祉士は相談員や管理職ポジションで配置されることが多く、そもそも職位が上のケースが多い点。2つ目は、夜勤が少ない一方で基本給が高く設定されている傾向がある点。3つ目は、登録者数が約28万人と介護福祉士(約200万人)に比べて圧倒的に少なく、希少性が高い点だ。
ただし、介護福祉士でも夜勤あり+管理職昇進で年収454万円(管理職平均)に到達可能。「社会福祉士のほうが必ず年収が高い」とは限らないということは覚えておきたい。
資格取得の難易度と取得ルート
「どちらが取りやすいか」も重要な判断材料だ。結論として社会福祉士のほうが取得難易度は高い。学歴要件(養成施設の修了等)がある点と、合格率が低い点がその理由だ。
- 介護福祉士:実務3年+実務者研修
- 社会福祉士:養成施設修了が必須
- 合格率70% vs 56%
介護福祉士の取得ルート|実務経験3年+実務者研修
介護福祉士の最もポピュラーな取得ルートは「実務経験3年以上+実務者研修修了→国家試験合格」。働きながら取得できるのが最大のメリットだ。合格率は近年70〜84%で推移しており、第38回(2026年1月)は70.1%。しっかり対策すれば合格できる試験といえる。
社会福祉士の取得ルート|養成施設の修了が必要
社会福祉士は、福祉系大学の卒業、または一般大学卒→養成施設(1〜2年)の修了が受験の前提条件になる。学歴要件がある点で、介護福祉士よりも取得のハードルが高い。
合格率は近年29〜58%で推移。第37回(2025年2月実施)は56.3%(受験者27,616人・合格者15,561人)だった。近年は合格率が上昇傾向にあるものの、介護福祉士の70%と比べると難易度は高い。
| 比較項目 | 介護福祉士 | 社会福祉士 |
|---|---|---|
| 主な取得ルート | 実務経験3年+実務者研修 | 福祉系大学 or 養成施設 |
| 学歴要件 | なし | あり(大学卒 or 養成施設修了) |
| 合格率 | 約70% | 約56% |
| 費用目安 | 約5〜20万円(実務者研修) | 約30〜80万円(養成施設) |
| 働きながら取得 | 可能 | 通信課程なら可能 |
難易度まとめ|社会福祉士のほうがハードルは高い
総合的に見て、社会福祉士のほうが取得難易度は高い。学歴要件がある、合格率が低い、養成施設の費用が高いという3点が理由だ。ただし介護福祉士も実務経験3年が必須で「簡単」とは言えない。どちらも本気で取り組む必要がある資格だ。
ダブルライセンスのメリットと取得方法
「どちらを取るか」ではなく「両方取る」という選択肢もある。介護福祉士+社会福祉士のダブルライセンスは、キャリアの幅を大きく広げてくれる。メリットと具体的な取得ルートを確認しよう。
- 相談員・地域包括への道が開く
- 通信課程で働きながら取得可能
- 資格手当の上乗せで年収アップ
ダブルライセンスの3つのメリット
介護福祉士+社会福祉士のダブルライセンスを取得するメリットは大きく3つ。
1つ目は、介護現場の実務経験+相談援助の知識で「現場も制度も分かる」総合力が身につくこと。2つ目は、生活相談員や地域包括支援センター職員といった新しいキャリアへの扉が開くこと。3つ目は、資格手当の上乗せで年収アップが期待できること。介護福祉士の資格手当(月5,000〜15,000円)+社会福祉士の資格手当(月10,000〜30,000円)の両方が支給される施設もある。
介護福祉士→社会福祉士の最短ルート
介護福祉士から社会福祉士を目指す場合、学歴によってルートが異なる。
一般大学(4年制)を卒業している場合は、一般養成施設(通信1年〜1年6ヶ月)を修了すれば受験資格が得られる。大学を卒業していない場合は、通信制大学(4年)または短大+実務経験2年を経て養成施設へ進むルートになる。働きながら通信課程で学ぶ人が多いため、介護の仕事を続けながらでも取得は可能だ。
→ キャリアパスの全体像は「介護福祉士の次は?キャリアパス完全ガイド」で詳しく解説している。
どっちが向いている?タイプ別診断
ここまで読んでも「結局どっちがいいの?」と迷う方のために、タイプ別の判断基準を整理する。どちらが「正解」ということはなく、自分の適性と目指す方向で選ぶのがベストだ。
介護福祉士が向いている人
以下に当てはまる方は介護福祉士からスタートするのがおすすめ。
体を動かすのが好きな人、利用者と直接関わりたい人、働きながら資格を取りたい人、まず介護の現場に入ってみたい人——こうしたタイプには介護福祉士が合っている。学歴不問で実務経験から取得できるため、「まず飛び込んでみる」ことが可能だ。
社会福祉士が向いている人
以下のタイプなら社会福祉士を目指す価値がある。
相談業務に興味がある人、福祉制度やサービスの仕組みを学びたい人、デスクワーク中心の仕事がしたい人、病院や行政など幅広い分野で活躍したい人——こうした方には社会福祉士が向いている。養成施設の修了が必要なため、計画的な準備が求められる。
迷ったら「まず介護福祉士→その後ダブルライセンスで社会福祉士」の順番がおすすめ。介護現場の実体験が社会福祉士の勉強でも活きる
よくある質問
- 介護福祉士と社会福祉士はどちらが年収が高い?
-
介護施設勤務の場合、社会福祉士(月収397,620円)のほうが介護福祉士(月収350,050円)より月約4.8万円高い(令和6年度調査)。ただし介護福祉士でも夜勤+管理職で逆転は可能だ。
- どちらが難しい?
-
社会福祉士のほうが難しい。学歴要件(養成施設修了等)があり、合格率は約56%。介護福祉士の合格率約70%と比べて取得ハードルが高い。
- 介護福祉士から社会福祉士になれる?
-
なれる。一般大学卒なら養成施設(通信1年〜)で受験資格を取得可能。働きながら通信課程で目指す人が多い。
- 三福祉士とは?
-
介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士の3つの国家資格の総称。いずれも「社会福祉士及び介護福祉士法」等に基づく名称独占資格だ。
- ダブルライセンスの資格手当はいくら?
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施設によるが、介護福祉士の資格手当(月5,000〜15,000円)+社会福祉士の資格手当(月10,000〜30,000円)の合計が支給される施設もある。
- 社会福祉士はどこで働ける?
-
介護施設(生活相談員)、病院(MSW)、地域包括支援センター、児童相談所、障害者施設、行政機関など幅広い。介護福祉士より活躍フィールドが広いのが特徴だ。
- エフネクストの派遣で社会福祉士ポジションはある?
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エフネクストでは介護施設の生活相談員ポジションの派遣求人も取り扱っている。介護福祉士→社会福祉士へのキャリアチェンジもサポート可能だ。→「エフネクストの評判(記事E4)」も参考にどうぞ。
まとめ|「どちらかだけ」ではなく「どちらも」の時代

介護福祉士と社会福祉士は、「身体介護」と「相談援助」というまったく異なるアプローチで福祉を支える専門職だ。年収差は約57万円、合格率は70% vs 56%と違いは明確だが、どちらが「上」ということではない。
- 介護福祉士=身体介護のプロ
- 社会福祉士=相談援助のプロ
- ダブルライセンスで最強の組み合わせ
- 迷ったらまず介護福祉士から
迷っているなら「まず介護福祉士→その後ダブルライセンスで社会福祉士」の順番がおすすめだ。介護現場の実体験があることで、社会福祉士の勉強にも深みが出る。
→ キャリアパスの全体像は「介護福祉士の次は?キャリアパス完全ガイド」でチェック。
→ まず初任者研修から始めたい方は「初任者研修とは?費用・期間・メリットを完全ガイド」を参考にどうぞ。
公式/参考URL一覧
- 厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/24/dl/r06gaiyou.pdf
- 厚生労働省「第37回社会福祉士国家試験合格発表について」 https://jaswe.jp/TEST/20250304_37shakai_happyou.pdf
- 厚生労働省「第38回介護福祉士国家試験合格発表について」
- 社会福祉振興・試験センター https://www.sssc.or.jp/

