退職手続きとは、①退職の意思表示・退職届提出→②業務引き継ぎ→③退職日の書類受領→④退職後の公的手続き、という4つのフェーズで進める一連のプロセスです。
2025年4月の雇用保険法改正により、自己都合退職の失業保険(基本手当)の給付制限期間が従来の2ヶ月から1ヶ月に短縮されました。また、2022年4月以降に就職した方は「年金手帳」ではなく「基礎年金番号通知書」が交付されています。この記事では、こうした最新の法改正をすべて反映したうえで、初めて退職する方が迷わず手続きを完了できるよう、やるべきことを時系列で徹底的に整理しました。
この記事のポイント
- 退職手続きは4フェーズで完結
- 2025年法改正で給付制限が1ヶ月に
- 年金手帳は2022年に新規発行廃止済み
- 離職票はマイナポータルでも受取可能
- 書類チェックリストで漏れゼロに
退職手続きは4フェーズで完結する【全体タイムライン】
退職手続きの全体像は、意思表示から退職後の公的手続き完了まで、4つのフェーズに分かれます。一般的な所要期間は2〜3ヶ月。ただし、就業規則や引き継ぎ量によって前後するため、まずは自分のケースに当てはめて「いつ何をするか」のスケジュール感を掴むことが最優先です。
| フェーズ | 時期 | やること | 重要度 |
|---|---|---|---|
| ①意思表示と準備 | 退職1〜3ヶ月前 | 就業規則確認→上司に報告→退職届提出 | ★★★ |
| ②引き継ぎと返却準備 | 退職日まで | 業務引き継ぎ→取引先挨拶→有給消化→返却物リストアップ | ★★★ |
| ③退職日当日 | 最終出社日 | 挨拶回り→貸与品返却→重要書類の受け取り | ★★★ |
| ④退職後の公的手続き | 退職後〜14日以内が中心 | 失業保険申請→健康保険切替→年金切替→住民税対応 | ★★★ |
フェーズ1:意思表示と準備(退職1〜3ヶ月前)
退職を決意したら、最初にやるべきは「就業規則の確認」です。多くの企業は「退職希望日の1ヶ月前まで」に申し出ることを規定していますが、なかには2ヶ月前・3ヶ月前を要求する企業もあります。民法上は2週間前の通知で退職できますが、円満退職を目指すなら就業規則に従うのが鉄則。就業規則を読まずに退職を切り出すのは、地図なしで登山に出るようなものです。
就業規則の確認が済んだら、直属の上司にアポイントを取り、退職の意思を口頭で伝えます。ここが最大の関門ですよね。「何て言えばいいか分からない」という方は、退職理由の伝え方をまとめた記事(上司への切り出し方完全マニュアル)を先に読んでおくと気持ちが楽になります。
フェーズ2:引き継ぎと返却準備(退職日まで)
退職日が確定したら、残りの期間で「業務引き継ぎ」「取引先への挨拶」「有給消化」「返却物の整理」を並行して進めます。引き継ぎは口頭だけでなく、マニュアル形式で資料化するのがベスト。後任者が困らないことはもちろん、あなた自身の「仕事に対する姿勢」が最後まで問われるフェーズです。
有給休暇は労働者の正当な権利であり、使わずに退職するのは単純にもったいない。引き継ぎスケジュールと有給消化計画を上司と一緒に練り、最終出社日を確定させましょう。ちなみに、有給の買い取りは法的に義務ではないため、基本的には「在職中に消化する」のが前提です。
フェーズ3:退職日当日にやること
最終出社日に行うのは、大きく分けて3つ。「挨拶回り」「貸与品の返却」「重要書類の受け取り」です。特に書類の受け取りは、その後の失業保険申請や転職先への提出に直結するため、絶対に漏れがあってはなりません。当日に受け取れない書類(離職票など)は、「いつ届くのか」「郵送か手渡しか」を退職日当日に人事担当へ確認しておくこと。これを怠ると、あとで催促の連絡を入れる羽目になります。
- 挨拶回りは午前中に済ませる
- 私物と業務データを明確に分ける
- 受け取れない書類の送付時期を確認
フェーズ4:退職後の公的手続き(期限に注意)
退職後は、会社のサポートが一切なくなる中で、自分自身で各種手続きを進める必要があります。健康保険と国民年金の切り替えは退職日の翌日から14日以内(任意継続は20日以内)、失業保険の申請は離職票が届き次第なるべく早く、という具合に期限がタイトです。2025年4月の法改正により、自己都合退職の給付制限期間が2ヶ月から1ヶ月に短縮されたため、以前より早く失業保険を受け取れるようになった点は押さえておきましょう。詳しくは後述のH2④で解説します。
退職後の公的手続きの全体像は、こちらの記事(退職後の手続き完全マニュアル|健康保険・年金・住民税の期限一覧)でも詳しく解説しています。
退職日までにやることリスト【時系列で詳細解説】
ここからは、各フェーズの具体的な行動を時系列で掘り下げます。「何を」「いつまでに」「どうやって」を明確にし、一つずつ潰していけば退職手続きは決して難しくありません。
就業規則の確認は退職準備の「第一歩」
就業規則の「退職に関する規定」を確認する理由はシンプルで、申し出の期限を知らないと逆算でスケジュールが組めないからです。就業規則は社内イントラや総務部で閲覧できるケースが多いですが、手元にない場合は人事担当に「退職に関する規定を確認したい」と聞けば問題ありません。
確認すべきポイントは3つ。退職の申し出期限(1ヶ月前?2ヶ月前?)、退職届の提出先と書式、競業避止義務や秘密保持義務の有無。特に3つ目は、転職先が同業種の場合にトラブルの種になることがあるため、退職を切り出す前に目を通しておくのが賢明です。
上司への退職意思表示で失敗しないコツ
退職の意思は、必ず「直属の上司」に「口頭」で最初に伝えます。先に同僚に話してしまい、噂が上司の耳に入るパターンは最悪。上司の面目を潰すことになり、その後の手続きがギクシャクします。
伝えるタイミングは、業務が落ち着いている日の夕方がベスト。「今後のことでご相談があるのですが、お時間をいただけますでしょうか」とメールでアポを取り、会議室など二人きりになれる場所で切り出しましょう。退職を切り出すベストタイミングについては(退職を切り出すベストタイミングはいつ?)で詳しく解説しています。
ここで意外と大事なのが、「相談」ではなく「報告」のスタンスで臨むこと。「辞めようか迷っています」という相談は、引き止めの格好の材料になります。「〇月〇日付で退職させていただきたいと考えております」と、退職の意思が固まっていることを明確に示すのがコツです。
退職届の提出と退職日の確定
上司との面談で退職の合意が取れたら、正式な書類として「退職届」を提出します。退職届の書き方は難しくありません。理由は「一身上の都合」の一択で、退職日、提出日、所属部署、氏名を記載するだけです。
注意点として、「退職願」と「退職届」は法的な効力が異なります。退職願は「お願い」であり撤回の余地がありますが、退職届は「届け出」であり、会社が受理した時点で原則として撤回できません。一般的な流れは「口頭で合意→退職届を提出」です。退職届のテンプレートは(退職届・退職願の正しい書き方テンプレート)で無料公開しています。
業務引き継ぎの進め方とスケジュール
引き継ぎは、退職日(最終出社日)の3日前には完了させるスケジュールで進めるのが理想です。万が一予定どおりに進まなかった場合のバッファを確保するためです。
- 担当業務の一覧表を作成する
- 取引先の連絡先と対応履歴をまとめる
- 進行中のプロジェクトの状況を記録する
- 重要ファイルの保存場所を明記する
後任者が決まっている場合は、実際に一緒に業務を行う「OJT形式」の引き継ぎが最も確実です。後任が未定の場合でも、「誰が読んでも分かるマニュアル」を残すことがあなたの最後の仕事だと思って丁寧に作りましょう。正直、引き継ぎの質はその人の「仕事力」がそのまま出ます。
有給休暇の消化と返却物のリストアップ
有給休暇の残日数を確認し、上司と相談のうえ消化計画を立てます。有給は労働基準法第39条で保障された労働者の権利であり、会社には「時季変更権」(別の日にずらす権限)はあるものの、退職日より後に時季を変更することはできません。つまり、退職日までの期間で消化する分には、会社は基本的に拒否できないのです。
並行して、会社から借りている物品をリストアップしておきましょう。社員証、PC、社用携帯、名刺(自分のもの+取引先からもらったもの)、制服、経費で購入した備品など。最終日に「あれ、返し忘れた」となると、退職後にわざわざ会社に郵送する手間が生じます。
退職時に受け取る・提出する・返却する書類チェックリスト【2026年最新版】
退職にまつわる書類と物品は、「提出するもの」「受け取るもの」「返却するもの」の3カテゴリに整理すると漏れがなくなります。特に「受け取る書類」は、退職後の失業保険申請や転職先への提出に直結するため、1つでも漏れると面倒なことになります。以下のチェックリストを保存して、当日までに1つずつ確認してください。
会社に提出する書類
会社に提出する書類は、基本的に「退職届」の1点だけです。「退職願」は退職の合意前に提出する書類で、退職届とは別物。多くの場合、口頭で退職の合意を得た後に退職届を提出する流れになります。書式は会社指定のフォーマットがあればそれに従い、なければ白い便箋に手書きが基本です(Word等でもOKな企業もあるため、人事に確認しましょう)。
会社から受け取る重要書類5つ
退職時に会社から受け取る書類は、それぞれ退職後の手続きで必須になるものばかりです。当日に受け取れるものと、後日郵送されるものがあるため、受取方法と時期を事前に確認しておくのがポイント。
| 書類名 | 何に使うか | 受取方法 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 離職票(1・2) | 失業保険の申請に必須 | 退職後10日〜2週間程度で郵送 | 2025年1月からマイナポータルでの受取も可能 |
| 雇用保険被保険者証 | 転職先での雇用保険手続き | 退職日当日または郵送 | 会社が保管しているケースが多い |
| 源泉徴収票 | 年末調整・確定申告に必須 | 退職後1ヶ月以内に交付(所得税法226条) | 転職先にも提出が必要 |
| 年金手帳または基礎年金番号通知書 | 年金の切り替え・転職先への提出 | 退職日当日に返却されるのが一般的 | 2022年4月以降に入社した方は基礎年金番号通知書 |
| 退職証明書(希望者のみ) | 転職先から求められた場合や、国保加入時の退職証明として | 希望すれば即日発行可能 | 離職票が届くまでの「つなぎ」としても使える |
ここで補足しておくと、「年金手帳」は2022年4月に新規発行が廃止されています(日本年金機構公式発表、2022年4月1日施行)。2022年3月以前に就職した方は従来の年金手帳(青色やオレンジ色の小冊子)をそのまま使えますが、2022年4月以降に初めて年金制度に加入した方には「基礎年金番号通知書」というカード型の書類が交付されています。退職時に会社から返却される書類名が人によって異なるため、「自分はどちらを持っているか」を事前に確認しておきましょう。
先ほど離職票の受取時期を「10日〜2週間程度」と書きましたが、法律上の仕組みを簡単に説明すると、企業はハローワークへの届出を退職日の翌々日から10日以内に行う義務があり、そこからハローワークの処理+郵送の日数がかかります。2週間経っても届かない場合はハローワークに問い合わせて大丈夫です。離職票が届かなくて困っている方は(離職票が届かない場合の催促方法と法的対処法)も参考にしてください。
会社に返却する物品リスト
退職日までに返却すべき物品は意外と多いため、リストを作って1つずつチェックしていくのが確実です。
- 健康保険被保険者証(保険証)
- 社員証・IDカード・セキュリティカード
- 名刺(自分の名刺+取引先の名刺)
- PC・社用携帯・タブレット
- 制服・作業着
- 経費購入の備品・書籍
健康保険被保険者証(保険証)は、退職日の翌日から使用できなくなります。扶養家族がいる場合は家族分の保険証も忘れずに返却してください。なお、退職日当日までは保険証を使えますので、最終日に通院予定がある方は安心してそのまま使って大丈夫です。返却は最終出社日が基本ですが、有給消化中に退職日を迎える場合は郵送での返却になることもあります。
【2025年法改正対応】退職後の公的手続き完全ガイド
退職後に自分で行う公的手続きは、失業保険・健康保険・国民年金・住民税・確定申告の5つ。このうち健康保険と年金は退職日の翌日から14日以内という短い期限があるため、退職前から「どの選択肢を選ぶか」を決めておくのが理想です。以下、手続きの優先度が高い順に解説します。
| 手続き | 期限 | 窓口 | 必要書類 |
|---|---|---|---|
| 健康保険(任意継続) | 退職後20日以内 | 協会けんぽ等 | 申請書、本人確認書類 |
| 健康保険(国保加入) | 退職後14日以内 | 市区町村役場 | 資格喪失証明書、本人確認書類 |
| 国民年金切り替え | 退職後14日以内 | 市区町村役場 | 年金手帳or基礎年金番号通知書、離職票等 |
| 失業保険申請 | 離職票届き次第、早めに | ハローワーク | 離職票、マイナンバー確認書類、証明写真2枚等 |
| 確定申告 | 翌年2月16日〜3月15日 | 税務署(e-Tax可) | 源泉徴収票 |
失業保険の申請方法と2025年4月の法改正ポイント
2025年4月1日の法改正で、自己都合退職の給付制限期間が2ヶ月から1ヶ月に短縮されました(厚生労働省「令和6年雇用保険制度改正」、2025年4月1日施行)。これは退職者にとって大きな変化です。従来は7日間の待期期間+2ヶ月の給付制限で約2ヶ月半かかっていた給付開始が、7日+1ヶ月で約1ヶ月半に短縮されたのです。
さらに、離職期間中(または離職日前1年以内)に厚生労働省が指定する教育訓練を受講していた場合、給付制限期間そのものが解除されるという制度も同時に導入されました。つまり、条件を満たせば待期期間7日を過ぎた直後から失業保険を受け取れるようになったわけです。
ただし5年以内に3回以上の自己都合退職は給付制限3ヶ月
注意したいのは、5年間で3回以上自己都合退職をした場合は給付制限が3ヶ月になる点。頻繁な転職を繰り返す人への安易な離職抑制措置です。自分がこの条件に該当するかどうかは、ハローワークで確認できます。
失業保険の具体的な受給額や手続きの流れは(失業保険はいつからいくらもらえる?申請手続きと受給額の詳細)で網羅的に解説しています。
健康保険の切り替え|3つの選択肢と判断基準
退職後の健康保険の選択肢は3つ。どれを選ぶかで毎月の保険料が数万円変わるため、退職前にシミュレーションしておくことを強くおすすめします。
- 任意継続被保険者制度(退職前の健康保険に最長2年間継続加入)
- 国民健康保険(市区町村の国保に新規加入)
- 家族の健康保険の扶養に入る(年収130万円未満が条件)
ざっくり言うと、前年の年収が高かった人は任意継続のほうが安くなる傾向があります。任意継続は在職時の保険料の約2倍(会社負担分がなくなるため)ですが、標準報酬月額に上限があるため、高年収の方は国保より有利になることが多い。一方、前年の所得が低い方や、家族に会社員がいて扶養に入れる方は、それぞれ国保や扶養が最適解になります。
なお、任意継続は退職後20日以内の申請が必要で、在職中に2ヶ月以上被保険者であったことが加入条件です。2022年1月以降の改正で、途中脱退(国保への切り替え等)が任意のタイミングでできるようになりました(協会けんぽ公式)。以前は「2年間やめられない」のが大きなデメリットでしたが、この点はかなり改善されています。
国民年金への切り替え手続き
会社員は厚生年金に加入していますが、退職すると厚生年金の資格を喪失します。すぐに再就職しない場合は、退職後14日以内に国民年金(第1号被保険者)への切り替えが必要です。手続きは住所地の市区町村役場で行います。
必要書類は、年金手帳(または基礎年金番号通知書)、退職日が確認できる書類(離職票、退職証明書など)、本人確認書類です。退職による経済的な理由で保険料の支払いが厳しい場合は、免除・猶予制度もあるため、窓口で相談してみてください。未納のまま放置すると将来の年金受給額に影響するため、払えない場合でも「申請」だけは必ず行いましょう。
ちなみに、配偶者が会社員で、自分の年収が130万円未満の場合は「第3号被保険者」として配偶者の扶養に入れます。この場合、自分で年金保険料を払う必要はありません。手続きは配偶者の勤務先を通じて行います。
住民税の支払い|退職時期で対応が変わる
住民税は前年の所得に対して課税されるため、退職して収入がなくなっても請求が来ます。これが退職者の「隠れた落とし穴」。しかも、退職時期によって支払い方法が異なるのがやっかいです。
| 退職時期 | 住民税の扱い | 具体的な対応 |
|---|---|---|
| 1月〜4月に退職 | 原則一括徴収(給与・退職金から天引き) | 5月分までの残額を最後の給与からまとめて差し引かれる |
| 5月に退職 | 最後の1ヶ月分を天引き | 残り1ヶ月分なので、通常通り給与から天引き |
| 6月〜12月に退職 | 原則普通徴収に切り替え | 後日、市区町村から届く納付書で自分で支払い。希望すれば一括徴収も可 |
特に注意すべきは6月〜12月に退職するケース。翌年5月分までの住民税が普通徴収に切り替わり、自宅に納付書が届きます。手取りの感覚で生活費を計算していると、この住民税の請求に驚くことになります。退職前に、おおよその住民税額を把握しておくのが賢明です。
確定申告が必要なケースと手続き
年の途中で退職し、12月31日までに再就職しなかった場合は、原則として翌年2月16日〜3月15日に確定申告が必要です。在職中は会社が年末調整で所得税を精算してくれていましたが、退職後はその役割を自分で果たすことになります。
確定申告に必要な書類の中で最重要なのが「源泉徴収票」。退職時に会社から受け取る書類です。実際にやってみると分かりますが、退職後の確定申告は「還付」(払いすぎた税金が戻ってくる)になるケースが多い。年途中の退職では年収が下がるため、毎月天引きされていた所得税が本来の額より多くなりがちだからです。e-Taxを使えば自宅からオンラインで完結するため、面倒がらずにやっておきましょう。
退職手続きで知っておきたい2025〜2026年の最新変更点
退職手続きに関わる制度は、ここ数年で立て続けに改正されています。古い情報のまま手続きを進めると、書類の名称が違ったり、期間の認識がずれたりしてトラブルの元になりかねません。以下の3つの変更点は、2026年現在の退職者なら必ず押さえておくべき内容です。
年金手帳は廃止済み|基礎年金番号通知書との違い
年金手帳の新規発行は2022年4月1日をもって廃止されました(日本年金機構公式)。それ以降に初めて年金制度に加入した方には、年金手帳の代わりに「基礎年金番号通知書」というクレジットカード大のカードが交付されています。
では、既に年金手帳を持っている方はどうすればいいか。答えはシンプルで、そのまま使い続けて問題ありません。年金手帳は引き続き「基礎年金番号を確認できる書類」として有効です。ただし紛失した場合の再発行は年金手帳ではなく基礎年金番号通知書になります。
退職手続きの文脈で言うと、退職時に会社から返却される書類が「年金手帳」の場合と「基礎年金番号通知書」の場合があり得るということ。転職先への提出や年金切り替え手続きではどちらでもOKですが、マイナンバーがあれば基礎年金番号の書類を提出しなくてよいケースも増えているため、マイナンバーカードを取得済みの方は手続きがさらにスムーズです。
マイナポータルで離職票を受け取る新ルート(2025年1月〜)
2025年1月20日から、離職票をマイナポータル経由で直接受け取れるようになりました(厚生労働省公式パンフレット)。従来は「会社がハローワークに届出→ハローワークが会社に離職票を送付→会社が退職者に郵送」という3段階のプロセスで、手元に届くまで10日〜2週間程度かかっていました。
新しいルートでは、会社がハローワークに電子申請で届け出れば、ハローワークの審査完了後に退職者のマイナポータルに直接送信される仕組みです。会社を経由しない分、受取までの時間が短縮されます。
ただし、利用には3つの条件があります。
- マイナンバーがハローワークに登録されていること
- マイナポータルで「雇用保険WEBサービス」との連携設定を行うこと
- 事業所が電子申請で離職手続きを行うこと
3つ目の「事業所が電子申請に対応しているか」が最大のハードルです。中小企業ではまだ紙での届出を行っているところも多いため、全員が使えるわけではありません。とはいえ、離職票の郵送待ちがなくなるメリットは大きいので、退職が決まったら「うちの会社は雇用保険の電子申請に対応していますか?」と人事に聞いてみる価値はあります。
任意継続の途中脱退が可能に(2022年1月改正)
先ほど健康保険のセクションでも触れましたが、2022年1月以降、任意継続被保険者が自らの申し出によって途中脱退できるようになりました(協会けんぽ公式)。以前は原則2年間の継続が義務でしたが、現在は「やっぱり国保の方が安い」と分かった場合や、家族の扶養に入れることになった場合に、柔軟に切り替えられます。
この改正によって、「とりあえず任意継続を選んでおいて、後から見直す」という選択が取りやすくなりました。退職直後は色々と忙しいので、まず任意継続で保険を確保し、落ち着いてから国保との比較検討をする、というのも現実的な戦略です。
よくある質問
- 退職は何ヶ月前に言えばいい?
-
一般的には1ヶ月前が目安です。ただし就業規則で「2ヶ月前まで」「3ヶ月前まで」と定めている企業もあるため、必ず自社の規定を確認してください。民法上は2週間前の通知で退職可能ですが、引き継ぎ期間を考えると1ヶ月以上の余裕を持つのが円満退職のコツです。
- 退職届と退職願の違いは?
-
退職届は退職を「届け出る」書類で、受理後は原則撤回できません。退職願は退職を「お願いする」書類で、会社が承諾するまでは撤回可能です。多くの場合、まず口頭で退職の合意を得てから退職届を提出する流れになります。
- 退職後の健康保険はどれを選ぶべき?
-
前年の年収が高い方は「任意継続」、所得が低い方は「国民健康保険」、配偶者の扶養に入れる方は「扶養加入」が有利になる傾向があります。任意継続は2022年1月以降、途中脱退が可能になったため、まず任意継続を選び、後から見直す戦略も有効です。
- 離職票が届かない場合はどうする?
-
退職後2週間を過ぎても届かない場合は、まず退職した会社の人事担当に問い合わせてください。それでも解決しない場合は、住所地を管轄するハローワークに直接相談すれば、会社への督促や仮手続きの案内を受けられます。2025年1月以降は、マイナポータル経由での受取も選択肢になりました。
- 自己都合退職の失業保険はいつからもらえる?
-
2025年4月以降の自己都合退職は、7日間の待期期間+1ヶ月の給付制限を経て受給開始です。つまり、ハローワークでの手続きから約1ヶ月半後が目安になります。さらに、厚生労働省指定の教育訓練を受講していれば給付制限が解除され、待期期間7日の直後から受給できます。
- 退職後の住民税はどうなる?
-
住民税は前年の所得に対して課税されるため、退職後も支払い義務があります。1月〜4月の退職は最後の給与から一括天引きが原則。6月〜12月の退職は普通徴収に切り替わり、市区町村から届く納付書で自分で支払います。退職前に概算額を把握しておくと安心です。
- 確定申告は必要?
-
年の途中で退職し、12月31日までに再就職しなかった場合は必要です。退職により年収が下がると、天引きされていた所得税が払いすぎになっているケースが多く、確定申告をすれば還付(税金が戻ってくる)を受けられる可能性が高いです。e-Taxを使えば自宅から手続きできます。
- 年金手帳は廃止されたって本当?
-
はい、年金手帳の新規発行は2022年4月1日に廃止されました。以降は「基礎年金番号通知書」が交付されています。既に年金手帳を持っている方はそのまま使えますが、紛失時の再発行は基礎年金番号通知書になります。マイナンバーでの手続きも進んでいるため、実務上の影響は限定的です。
- マイナポータルで離職票を受け取るには?
-
2025年1月20日から利用可能です。条件は、①マイナンバーがハローワークに登録済み、②マイナポータルで「雇用保険WEBサービス」との連携設定を完了、③会社が電子申請で離職手続きを実施、の3つ。すべて満たせば、ハローワークの審査完了後にマイナポータルへ直接離職票が届きます。
- 退職後いくら貯金があれば安心?
-
最低でも生活費3ヶ月分が目安です。2025年4月以降は自己都合退職でも約1ヶ月半で失業保険の受給が始まりますが、手続きの遅れや予期せぬ出費に備え、余裕を持った資金計画が安心です。退職前に毎月の固定費を書き出し、必要額を逆算しておくことをおすすめします。
まとめ:退職手続きは「知っている人」が圧倒的に有利
初めての退職は、分からないことだらけで不安になるのが当然です。でも、この記事で解説した4フェーズの流れと書類チェックリストを手元に置いておけば、やるべきことは明確に見えているはず。
2025年4月の雇用保険法改正で失業保険の給付制限が1ヶ月に短縮されたこと、年金手帳が2022年に廃止されて基礎年金番号通知書に切り替わったこと、マイナポータルで離職票が受け取れるようになったこと――こうした最新の変更点を知っているかどうかで、手続きのスムーズさは大きく変わります。
退職は終わりではなく、新しいスタートの準備期間。手続きを確実にこなして、晴れやかな気持ちで次の一歩を踏み出してください。
退職を切り出す勇気がまだ出ない方は(上司への切り出し方完全マニュアル)を、どうしても自分から言えない方は(退職代行おすすめランキング25社比較)もぜひ参考にしてみてください。
公式/参考URL一覧
- 厚生労働省「令和6年雇用保険制度改正」PDF:https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/001293213.pdf
- 日本年金機構「基礎年金番号通知書」:https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2022/0401.files/06_0401tetilyou.pdf
- 日本年金機構「会社を退職した時の手続き」:https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/kanyu/20140710-03.html
- 協会けんぽ「任意継続」:https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3270/r147/
- ハローワーク「雇用保険の手続き」:https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_procedure.html
- 厚生労働省「マイナポータル離職票」PDF:https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001353163.pdf
- 国税庁「退職所得の源泉徴収票」:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hotei/7421.htm


