退職届とは、退職日が確定した後に会社に届け出る書類です。退職理由は「一身上の都合により」、宛名は代表取締役社長宛てに作成するのが基本。退職願は退職を「お願い」する書類で、提出は任意です。いずれも白無地の便箋に黒ペンで記入し、白封筒に三つ折りで入れて直属の上司に手渡しします。
退職届を書くのは、おそらく人生で初めてという方がほとんどでしょう。「書き方のマナーを間違えたら恥ずかしい」「そもそも退職届と退職願の違いが分からない」——そんな不安を一発で解消するために、この記事ではコピペでそのまま使えるテンプレート2種(縦書き・横書き)と、書き方のポイント、封筒の入れ方、渡し方まで完全解説します。
この記事のポイント
- 退職届と退職願の違いを明確に理解できる
- コピペOKのテンプレート2種(縦書き・横書き)
- 書き方の6つのポイントを完全解説
- 封筒の書き方・折り方・渡し方のマナー
- 受理されない場合の法的対処法も網羅
退職届と退職願の違い——どちらを出せばいいのか
まず最初に明確にしておくべきは、退職届と退職願はまったく別の書類だということ。退職届は「届け出」であり原則撤回不可、退職願は「お願い」であり撤回の余地がある。この違いを理解しておかないと、提出後に後悔する可能性があります。
退職届=届け出(原則撤回不可)、退職願=お願い(撤回可能性あり)
| 退職届 | 退職願 | |
|---|---|---|
| 性質 | 退職の「届け出」(一方的な通知) | 退職の「お願い」(合意の申込み) |
| 撤回 | 原則撤回不可 | 人事責任者の承認前なら撤回可能 |
| 提出タイミング | 退職日が正式に決まった後 | 退職の意思を最初に伝える時 |
| 一般的な使い方 | 口頭合意後に提出 | 切り出しの際に手渡し |
正直なところ、多くの会社では「退職届」と「退職願」を厳密に区別していないケースも多いです。会社所定のフォーマットがある場合はそちらに従えば問題ありません。所定フォーマットがない場合は、この記事のテンプレートを使ってください。
まず口頭で伝え、合意後に退職届を提出するのが基本フロー
いきなり退職届を机の上に置く、というのはドラマの中だけの話。現実では、まず直属の上司に口頭で退職の意思を伝え、退職日や引き継ぎについて合意した後に、正式な書面として退職届を提出します。
- Step1:直属の上司に口頭で退職の意思を伝える
- Step2:退職日・引き継ぎについて合意する
- Step3:退職届を正式に提出する
切り出し方に不安がある方 → 「会社辞めたい言えない」を解決!上司への切り出し方完全マニュアル
切り出すベストなタイミング → 退職を切り出すベストタイミングはいつ?
準備物チェックリスト——文具店で揃うものだけ
準備するものは非常にシンプルです。特別な道具は必要なく、一般的な文具店で手に入るものばかり。
- 白無地の便箋(A4またはB5、罫線なし)
- 白無地の封筒(A4→長形3号、B5→長形4号)
- 黒のボールペンまたは万年筆(消せるペンは不可)
- 認印(シャチハタは避けるのが無難)
消せるボールペンや鉛筆は絶対に使わないでください。正式なビジネス文書のため、消去可能な筆記具は不適切とされています。コクヨなどの文具メーカーから退職届専用の便箋も販売されていますが、通常の白い便箋で十分です。
【テンプレート】コピペOK!そのまま使える退職届
ここからが本題です。会社の規定が特にない場合は、縦書きがより丁寧な印象を与えます。PC作成の場合は横書きでも問題ありません。〇の部分をあなたの情報に置き換えるだけで、正式な退職届が完成します。
テンプレート①:縦書き(最も丁寧な形式)
【コピーして使える】縦書き退職届テンプレート
退職届
私儀
この度、一身上の都合により、来たる令和〇年〇月〇日をもちまして、退職いたしたく、ここにお届け申し上げます。
令和〇年〇月〇日
〇〇部 〇〇課
氏名 〇〇 〇〇 印
株式会社〇〇
代表取締役社長 〇〇 〇〇 殿
テンプレート②:横書き(PC作成の場合)
【コピーして使える】横書き退職届テンプレート
退職届
令和〇年〇月〇日
株式会社〇〇
代表取締役社長 〇〇 〇〇 殿
〇〇部 〇〇課
氏名 〇〇 〇〇 印
私儀
この度、一身上の都合により、来たる令和〇年〇月〇日をもちまして、退職いたします。
以上
書き方の6つのポイント——間違えやすい部分を徹底解説
- 表題:一行目の中央に「退職届」と本文より少し大きく書きます。退職願の場合は「退職願」と記載。
- 私儀(わたくしぎ):「私のことで恐縮ですが」という意味の謙譲表現です。縦書きなら二行目の最も下、横書きなら本文冒頭に書きます。
- 本文:退職理由は「一身上の都合により」が鉄則。具体的な理由を書く必要はありません。むしろ詳細を書くことでトラブルを招く可能性があります。なお、会社都合退職(リストラ・倒産等)の場合は「一身上の都合」と書いてはいけません。「部門縮小のため」等、事実に即した理由を記載してください。失業保険の受給条件に影響します。
- 提出日:退職届を提出する年月日を書きます。退職日ではなく、書類を提出する日付であることに注意。
- 所属と氏名:部署名は正式名称で。氏名の下に少し重なるように捺印します。
- 宛名と敬称:会社の正式名称と、代表取締役社長の役職・氏名を書きます。敬称は「殿」が伝統的で正式な表現ですが、近年は「様」を使う企業も増えています。会社の慣習に合わせるのが最も確実です。不安な場合は、事前に人事部や総務に確認しましょう。自分の名前より上(縦書きなら左)に書くのがマナーです。
退職理由の具体的な伝え方 → 退職理由の伝え方【例文15選】角が立たない無難な言い方集
【図解】封筒の書き方・入れ方・渡し方の完全マナー
中身が完璧でも、封筒の扱いで評価を下げてはもったいない。退職届は「最後の仕事」。最後の印象まで丁寧にしましょう。
封筒の表面・裏面の書き方
- 表面:中央に少し大きめの文字で「退職届」とだけ書きます。宛名は不要です。
- 裏面:左下に自分の所属部署と氏名をフルネームで書きます。
封筒に宛名を書く必要はありません。退職届は直接手渡しするものなので、中身の書類側に宛名(代表取締役社長名)が書かれていれば十分です。
三つ折りの折り方と封筒への入れ方
折り方は「下から3分の1→上から3分の1」が鉄則。受け取った相手が開封した時に、書き出し(退職届の表題)が最初に見えるように入れます。
- 下から3分の1を、書き出しが上になるように折り上げる
- 上から3分の1を被せるように折り返す
- 封筒の裏側から見て、便箋の右上が封筒の右上に来るように入れる
ちなみに、四つ折りでも構いませんが、三つ折りの方が折り目が少なく読みやすいため、こちらが主流です。
渡し方のマナー——手渡しと郵送の使い分け
- 手渡し(基本):上司に直接、両手で「よろしくお願いいたします」と一言添えて渡します。手渡しの場合は、封をせずに渡すケースも多くあります。会社の慣習に合わせましょう。封をする場合はのりで閉じ、中央に「〆」マークを書きます。
- 郵送(指定された場合):退職届を入れた封筒を、さらに一回り大きい封筒に入れ、「親展」と朱書きして郵送します。添え状(送付状)を同封するのがマナーです。
- 内容証明郵便(最終手段):会社が退職届を受け取ってくれない場合は、内容証明郵便で送付することで、法的に有効な退職の意思表示となります。詳しくは次のセクションで解説します。
退職届が受理されない・提出できない場合の対処法
「退職届を出したのに受け取ってもらえない」「上司が無視する」——こうした状況は違法の可能性があります。退職は労働者の権利であり、会社が一方的に拒否することはできません。段階的な対処法を整理します。
対処法1:人事部に直接提出する
直属の上司が受け取ってくれない場合は、上司を飛び越えて人事部や総務部に直接退職届を提出することができます。「上司に提出したが受理されなかった」という経緯を簡潔に説明すれば、人事部が対応してくれるはずです。
上司との関係が悪化するリスクはありますが、退職が進まないまま時間だけが過ぎる方がデメリットは大きい。ここは割り切って行動しましょう。
対処法2:内容証明郵便で法的に有効な意思表示を行う
人事部にも対応してもらえない場合は、内容証明郵便で会社に退職届を送付することで、法的に有効な退職の意思表示が完成します。内容証明郵便は「いつ・誰が・誰に・どのような文書を送ったか」を郵便局が証明してくれるサービスです。
内容証明郵便が会社に届いた時点で退職の意思表示が完了し、そこから2週間で雇用契約は終了します(民法627条)。会社がどんなに抵抗しても、法的には退職は成立するのです。
会社が違法に辞めさせてくれない場合 → 「会社が辞めさせてくれない」は100%違法!法的対処法と相談先一覧
対処法3:退職代行サービスを利用する
「上司と顔を合わせるのが怖い」「パワハラで精神的に限界」——こうした状況なら、退職代行サービスの利用も現実的な選択肢です。弁護士や労働組合が運営するサービスなら、退職届の提出から有給消化の交渉まで代行してくれます。
- 費用は2.5万〜5万円程度
- 弁護士型なら法的交渉も可能
- 即日対応のサービスが多い
退職代行の基本知識 → 退職代行とは?利用すべき人の診断チェックと基本知識【2026年版】
即日退職を合法的に実現する方法 → 即日退職は違法?合法的に今すぐ会社を辞める方法
よくある質問
- 手書きとパソコン、どちらで作成すべきですか?
-
会社の規定がなければ、どちらでも問題ありません。手書きの方が丁寧な印象を与えやすいですが、字に自信がない場合はパソコン作成の方が読みやすいでしょう。署名部分だけ手書きにするという方法も一般的です。
- パートやアルバイトでも退職届は必要ですか?
-
就業規則で「退職届の提出」が定められていれば必要です。定めがない場合は法的義務はありませんが、口頭のみでは「言った・言わない」のトラブルに発展するリスクがあるため、書面で提出しておくのが安全です。
- 退職届を出した後、撤回はできますか?
-
退職届は原則として撤回できません。会社が承諾した時点で退職の合意が成立するため、「やっぱり続けたい」と思っても後戻りは困難です。退職の意思が完全に固まっていない段階では、退職届ではなく退職願を提出するか、まずは口頭で相談するにとどめましょう。
- 退職届を出すタイミングはいつがベスト?
-
口頭で退職の意思を伝え、退職日が合意された後に提出するのが基本です。就業規則で「退職日の1ヶ月前まで」等と定められている場合は、それに従って提出しましょう。切り出す前に念のため封筒に入れてカバンに忍ばせておくと、スムーズに事が運びます。
- 会社都合退職の場合、退職届に何と書けばいい?
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「一身上の都合」とは書かないでください。会社都合退職(リストラ・倒産・契約終了等)の場合は「部門縮小のため」「会社都合により」など、事実に即した理由を記載します。「一身上の都合」と書くと自己都合退職として処理され、失業保険の受給条件で不利になる可能性があります。
- 退職届の敬称は「殿」と「様」どちらが正しい?
-
どちらも正しいです。「殿」は伝統的で正式な表現として広く使われていますが、近年は「様」を採用する企業も増えています。会社の慣習に合わせるのが最も確実です。不安なら人事部に確認するか、過去の退職届のフォーマットを参考にしてください。
- 退職届が受理されない場合はどうすればいい?
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人事部への直接提出を試みてください。それでもダメなら、内容証明郵便で会社に送付することで法的に有効な退職の意思表示が完了します。内容証明の到達から2週間で退職は成立します(民法627条)。退職代行サービスの利用も選択肢の一つです → 退職代行とは?基本知識と利用すべき人の診断チェック【2026年版】
まとめ——最後の手続きをきちんと済ませ、気持ちよく次のステージへ
退職届は、あなたがこの会社で行う「最後の仕事」です。たかが書類、されど書類。丁寧に仕上げることで、最後の印象が良くなり、退職後の人間関係や評判にもプラスに作用します。
- 退職届=届け出(撤回不可)、退職願=お願い(撤回可能性あり)
- 理由は「一身上の都合」、敬称は「殿」か「様」
- 白便箋・白封筒・黒ペン・認印の4つで完結
- 三つ折りにして封筒に入れ、上司に手渡し
- 受理されなければ内容証明郵便で法的に退職が成立
この記事のテンプレートをコピーし、〇の部分を書き換えるだけで準備は完了します。あとは堂々と提出するのみ。あなたが気持ちよく次のステージに進めることを願っています。
退職手続き全体の流れ → 【初心者向け】退職手続きの流れと必要書類チェックリスト完全版
公式/参考URL一覧
- e-Gov法令検索 民法627条:https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
- doda「退職願・退職届の正しい書き方」(社労士監修):https://doda.jp/guide/naiteitaisyoku/001.html
- マイナビ転職「退職届・退職願の書き方」:https://tenshoku.mynavi.jp/knowhow/taishoku/09/
- 連合 労働相談Q&A:https://www.jtuc-rengo.or.jp/soudan/qa/data/QA_22.html


