18-「会社が辞めさせてくれない」は100%違法!法的対処法と相談先完全リスト

「会社が辞めさせてくれない」は100%違法!

退職を申し出たにもかかわらず、会社が辞めさせてくれない――その状況は、あなたの不安や責任感の問題ではなく、明白な「違法行為」です。労働者には、憲法と法律で保障された「退職の自由」があります。いかなる会社も、その権利を不当に妨害することは許されません。この記事では、あなたがその違法な拘束から脱出し、自分の人生を取り戻すための具体的な法的対処法と、すぐに頼れる相談先を完全解説します。

この記事のポイント

  • 辞めさせないのは100%違法:憲法・民法・労働基準法で、労働者の「退職の自由」は固く守られています
  • 「損害賠償」は脅し:退職を理由とした損害賠償請求が認められるケースは、極めて稀です。脅しに屈しないでください
  • 最強の武器は「内容証明郵便」:退職届を受け取ってもらえない場合、内容証明郵便で送付すれば、退職の意思表示をしたという動かぬ証拠になります
  • あなたは一人ではない:労働基準監督署、弁護士、労働組合など、あなたの味方になってくれる相談先は数多く存在します
  • 最終手段は「退職代行」:心身ともに限界なら、プロに任せて即座に脱出するのも、賢明な自己防衛策です
目次

なぜ「辞めさせない」が違法なのか?あなたを守る3つの法律

  • 日本国憲法第22条:職業選択の自由は基本的人権として保障
  • 民法第627条:退職の意思表示から2週間で労働契約は自動終了
  • 労働基準法第5条:強制労働の禁止で労働者の意思に反する労働を禁止
  • 法的根拠は強固:会社の同意なしでも退職は成立する

会社側の「辞めさせない」という言動が、なぜ違法なのか。その根拠となる、あなたを守る強力な法律を知っておきましょう。

日本国憲法 第22条「職業選択の自由」

何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

「どの会社で働くか」を選ぶ自由があるのと同様に、「その会社を辞める」自由も、憲法で保障された基本的人権です。

民法 第627条「退職の自由」

期間の定めのない雇用の当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

あなたが正社員(期間の定めのない雇用契約)であれば、退職の意思を伝えてから2週間が経てば、会社の同意がなくても、労働契約は自動的に終了します。

労働基準法 第5条「強制労働の禁止」

使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。

「辞めるなら損害賠償を請求する」といった脅し文句で退職を妨害する行為は、この「強制労働の禁止」に抵触する可能性のある、極めて悪質な違法行為です。

これらの法律が、あなたの「辞める権利」を強力にバックアップしています。自信を持ってください。

会社が使う、よくある違法な引き止め手口

会社が労働者を引き止めるために使う手口には、明らかに違法性のあるものが含まれています。これらの手口を知っておくことで、適切に対処できます。

典型的な違法手口一覧

  • 「後任が見つかるまで辞めさせない」:労働者の退職の自由を不当に制限
  • 「君が辞めたらプロジェクトが失敗する。損害賠償を請求するぞ」:恐怖による脅迫
  • 「退職届は受け取らない」:物理的な受理拒否による妨害
  • 「お世話になった恩を仇で返すのか」:感情論による罪悪感の誘導
  • 退職の話を無視・はぐらかし:時間稼ぎによる既成事実化

これらの言動はすべて、あなたの正当な権利を侵害するものです。毅然とした態度で、次の法的対処法に進みましょう。

【実践】会社が辞めさせてくれない時の法的対処法3ステップ

  • Step1:内容証明郵便で退職の意思表示を証拠として残す
  • Step2:労働基準監督署など公的機関に相談する
  • Step3:弁護士や退職代行など専門家に依頼する
  • 段階的アプローチ:感情的交渉から法的根拠に基づく対処へ

感情的な交渉はもはや無意味です。ここからは、法的な根拠に基づき、淡々と、しかし確実に行動していきましょう。

Step 1:退職の意思表示を「証拠」として残す【内容証明郵便】

【このステップの目的】
会社側が「聞いていない」「受け取っていない」という言い逃れを、完全に封じること。

上司や人事が退職届を受け取らない場合、「内容証明郵便」を使って、会社の代表者(社長)宛に退職届を郵送します。

内容証明郵便とは?
いつ、いかなる内容の文書を、誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した謄本によって日本郵便が証明する制度です。

これにより、あなたが退職の意思表示をしたという事実が、法的に揺るぎない証拠として記録されます。これが会社に届けば、その日から2週間後に、あなたは自動的に退職できるのです。

【書き方・出し方】

1. 退職届を作成する:手書きでもPC作成でも可。テンプレートは以下の記事を参考にしてください。
退職届の完璧な書き方はこちら
[15. 退職届・退職願の正しい書き方【テンプレート無料】]

2. 同じものを3部用意する:1部は会社送付用、1部は郵便局保管用、1部は自分の控えです。

3. 郵便局の窓口へ:集荷を行っている大きめの郵便局の窓口で、「内容証明郵便でお願いします」と伝えて手続きします。「配達証明」も付けると、相手が受け取った事実も証明できるため、より確実です。

Step 2:外部の公的機関に「相談」する

内容証明郵便を送っても、会社が嫌がらせをしてきたり、離職票の発行を拒否したりする場合があります。その際は、公的な第三者機関に相談しましょう。

【このステップの目的】
公的機関から会社へ指導・助言をしてもらい、状況の改善を図ること。

【相談先】

総合労働相談コーナー:全国の労働局や労働基準監督署内に設置されている、無料の相談窓口です。予約不要で、匿名での相談も可能です。

労働基準監督署(労基署):「給料が支払われない」「明らかに違法な長時間労働がある」など、労働基準法違反が明確な場合に、会社への立ち入り調査や是正勧告を行ってくれる可能性があります。

Step 3:あなたの代理人となる「専門家」に依頼する

【このステップの目的】
もはや自分一人で戦うのではなく、交渉のプロに全てを任せ、安全かつ確実に退職を実現すること。

【依頼先】

弁護士:未払い残業代や慰謝料の請求も視野に入れる場合、最も強力な代理人です。弁護士の名前で通知を送るだけで、会社の態度が豹変することも少なくありません。

労働組合(ユニオン):社内に労働組合がなくても、社外の誰でも一人で加入できる「合同労働組合(ユニオン)」があります。組合には会社との団体交渉権があり、あなたの代わりに退職交渉を行ってくれます。

退職代行サービス:あなたに代わって、退職の意思表示から必要書類の請求まで、全ての手続きを代行してくれます。心身ともに限界で、もう会社と一切関わりたくない場合に、最も有効な手段です。

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【完全版】あなたの状況に合わせた相談先一覧・比較表

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相談先メリットデメリットこんな人におすすめ
総合労働相談コーナー・無料で匿名相談が可能
・予約不要でハードルが低い
・直接的な強制力はない
・あくまで助言が中心
・まず何からすべきか知りたい
・法的な選択肢を整理したい
労働基準監督署・無料で相談・申告が可能
・違法性が高いと判断されれば、会社に是正勧告などを行ってくれる
・明らかな労働基準法違反でないと動いてくれない
・個人の退職交渉そのものには介入しにくい
・給与未払いや違法残業がある
・労災関連の悩みがある
弁護士・法的強制力が最も強い
・未払い賃金や慰謝料請求も可能
・相手への強力なプレッシャーになる
・費用がかかる(相談料、着手金など)・損害賠償請求など、金銭的な請求もしたい
・会社と徹底的に戦いたい
労働組合(ユニオン)・比較的安価に団体交渉を依頼できる
・法的拘束力のある労働協約を結べる可能性がある
・組合への加入が必要
・解決までに時間がかかる場合がある
・会社全体の問題として、労働環境の改善も求めたい
退職代行サービス・即日対応してくれる場合が多い
・会社と一切連絡を取らずに辞められる
・精神的負担がゼロに近い
・費用がかかる
・非弁行為を行う悪質業者に注意が必要(弁護士や労働組合が運営するサービスを選ぶこと)
・心身ともに限界で、一刻も早く辞めたい
・上司が怖くて話せない

あなたの状況と求める解決の内容によって、最適な相談先は異なります。まずは無料で相談できる公的機関から始めて、必要に応じて専門家に依頼するという段階的なアプローチが効果的です。

FAQ(よくある質問)

本当に損害賠償を請求されることはないのでしょうか?

可能性はゼロではありませんが、極めて稀です。会社側が損害を立証するハードルは非常に高く、あなたがよほど特殊なプロジェクトの責任者で、悪意を持って情報を持ち出すなどの行為がない限り、裁判で認められることは、まずないと考えてよいでしょう。

辞めさせてくれないまま欠勤したら、どうなりますか?

退職届を内容証明郵便で送付した上で、2週間が経過する前に欠勤した場合、その間の給与は支払われない可能性があります。しかし、パワハラなどが原因で精神的に出社できない場合は、医師の診断書があれば、傷病手当金の対象となることもあります。無断欠勤(バックレ)はリスクが高いため、必ず意思表示をした上で休みましょう。

離職票や源泉徴収票を発行してくれません。

これらの書類の発行は、会社の法的な義務です。発行を拒否するのは違法行為です。ハローワークや税務署に相談すれば、行政から会社へ指導が入ります。

まとめ:正しい知識で、不当な支配から自由になろう

「会社が辞めさせてくれない」という状況は、あなたを無力感と絶望の淵に突き落とします。
しかし、今日あなたが手に入れた「法律」という知識は、その不当な支配を打ち破るための、何よりも強力な武器です。

あなたは、奴隷ではありません。自分の人生を、自分の意思で選択する権利を持った、一人の人間です。
一人で抱え込まず、ためらわずに専門家の力を借りて、あなた本来の自由な未来を取り戻してください。

■ 公式/参考URL一覧

  1. 厚生労働省 – 総合労働相談コーナーのご案内:
    • 労働に関するトラブルの最初の相談窓口として、最も信頼性が高い公的機関の情報を参照。
  2. 日本郵便 – 内容証明:
    • 記事の中核となる法的対処法「内容証明郵便」について、その制度概要や利用方法を公式サイトから正確に引用・解説するために参照。
  3. 法テラス(日本司法支援センター):
    • 経済的な理由で弁護士への相談をためらう読者に対して、無料の法律相談が可能な公的機関の選択肢を提示するために参照。
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