介護職は無資格でも働けます。2026年現在、人手不足が深刻な介護業界では、無資格・未経験者の採用が活発に行われています。
ただし「ずっと無資格のまま」で働き続けるのは難しくなっています。2024年4月に完全義務化された認知症介護基礎研修を採用後1年以内に受講する必要があり、訪問介護(身体介護)は初任者研修以上の資格が必須です。厚生労働省の令和6年度調査では無資格常勤の平均月給は290,620円ですが、初任者研修を取得すると324,830円に、介護福祉士まで進めば350,050円まで上がります。この記事では、無資格からのスタート方法と、働きながら資格を取る3つのルートを解説します。
この記事のポイント
- 2026年も無資格で就業可能(認知症基礎研修は1年以内に受講必須)
- 施設介護なら身体介護もOK(訪問介護は初任者研修が必要)
- 無資格の平均月給は29万円(厚労省R6調査)
- 働きながら無料〜低コストで資格を取る3つの方法あり
- 初任者研修を取れば月給3.4万円アップ+キャリアの起点に
【2026年現状】介護職は無資格でも働ける?
結論から言えば、無資格・未経験でも介護施設で働くことは可能です。ただし、2024年4月に完全義務化された認知症介護基礎研修の受講が必須条件となっており、「ずっと無資格のまま何もしなくていい」わけではありません。

採用されるが「認知症介護基礎研修」の受講義務あり
多くの介護施設では、人手不足を背景に無資格・未経験者の採用を積極的に行っています。やる気と人柄があれば採用される確率は高いのが現状です。
ただし、採用後に1つだけ条件があります。「認知症介護基礎研修」を採用日から1年以内に受講・修了することです。この研修はeラーニング形式で動画視聴は約150分、費用は無料〜5,000円程度(施設負担が多い)。不合格になることはまずなく、ハードルは低めです。
認知症介護基礎研修の詳しい内容は「認知症介護基礎研修とは?義務化ガイド」で解説しています。
無資格でできる仕事・できない仕事の一覧
「資格がないと何もできないのでは?」と心配する方もいますが、施設内(老人ホーム等)でチームの一員として働く場合は、無資格でも身体介護を含む幅広い業務を行えるのが実情です。
| 仕事内容 | 無資格で可能? | 備考 |
|---|---|---|
| 生活援助(掃除・洗濯・配膳等) | ○ | 資格不問 |
| 身体介護(入浴・排泄・食事介助等) | △(施設内ならOK) | 有資格者の指導のもとで実施 |
| 訪問介護(身体介護中心型) | ×(初任者研修以上が必須) | 生活援助のみなら生活援助従事者研修でOK |
| 送迎・事務 | ○ | 運転免許等は必要だが介護資格は不要 |
| 夜勤 | △(施設による) | 業務に慣れてから。未経験でいきなりは原則不可 |
訪問介護で働くには初任者研修以上が必要
注意が必要なのは訪問介護です。利用者の自宅を訪問して身体介護(入浴・排泄介助等)を行うには、介護職員初任者研修以上の資格が必須です(厚生労働省「訪問介護の人員基準」)。
ただし、訪問介護でも「生活援助のみ」を行う場合は「生活援助従事者研修」(約59時間)でOKという制度もあります。「訪問介護で働きたい」という方は、まず初任者研修の取得を目指すのが王道ルートです。初任者研修の費用は「初任者研修の費用相場【2026年版】」で確認できます。
厚労省データで見る無資格者の給与実態
「無資格だと給料が安いのでは?」と不安に思う方のために、厚生労働省の最新データで正確な給与実態を確認しましょう。結論から言えば、無資格でも月29万円台の平均月給があり、資格を取るごとに着実にアップしていきます。
無資格常勤の平均月給は290,620円(令和6年度調査)
厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2025年12月公表)によると、無資格の介護職員(月給・常勤)の平均給与は月290,620円です。
この数字は基本給+手当+一時金(4〜9月支給額の1/6)を含んだ金額であり、手取りは社会保険料・税金を差し引いた約23万円前後になります。「介護は月給20万円」というイメージを持っている方もいるかもしれませんが、処遇改善加算の効果もあり、実態はそれより高い水準です。
資格を取ると給料はどう変わる?資格別の月給比較
| 保有資格 | 平均月給 | 無資格との差 | 年収換算(×12) |
|---|---|---|---|
| 無資格 | 290,620円 | ― | 約349万円 |
| 初任者研修 | 324,830円 | +34,210円 | 約390万円 |
| 実務者研修 | 327,260円 | +36,640円 | 約393万円 |
| 介護福祉士 | 350,050円 | +59,430円 | 約420万円 |
(出典:厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」統計表第89表。月給・常勤。)
初任者研修を取るだけで月給が約3.4万円(年間約41万円)アップする計算です。さらに介護福祉士まで進めば、無資格から月約6万円・年約71万円のアップになります。
2026年6月改定で全従事者に月1万円の賃上げ
2026年6月の臨時介護報酬改定では、介護従事者全体に月額1万円(3.3%)の賃上げが実施されます。無資格者も対象です。さらに生産性向上に取り組む事業所では月額7,000円の上乗せがあり、定期昇給分を含めると最大月額1.9万円の引き上げが見込まれます。
介護職の給与は年々上昇傾向にあり、「介護は給料が安い」というイメージは過去のものになりつつあります。資格別の給料の詳細は「実務者研修修了で給料はいくら上がる?」で確認できます。
働きながら無料(または低コスト)で資格を取る3つの方法
「資格を取りたいけどお金がない」という方には、費用を大幅に抑える(またはゼロにする)方法が3つあります。それぞれのメリット・注意点を正確に把握したうえで、自分に合った方法を選びましょう。
方法① ハローワークの職業訓練(受講料無料)
離職中の方は、ハローワーク経由の職業訓練(公共職業訓練・求職者支援訓練)として開講されている初任者研修を受講する方法があります。受講料は無料で、テキスト代(1〜2万円程度)のみ自己負担です。
求職者支援訓練の場合、月額10万円の「職業訓練受講給付金」を受け取れる可能性もあります(収入・資産等の条件あり)。最もコストを抑えられる方法ですが、開講時期・地域・定員に制約があるため、早めにハローワークに相談しましょう。
詳しくは「ハローワークで介護資格を無料で取る!職業訓練の条件と注意点」をご覧ください。
方法② 教育訓練給付金の活用(最大80%還付)
雇用保険に加入して働いている方(または離職後1年以内の方)は、教育訓練給付金を利用できます。初任者研修は「一般教育訓練給付金」の対象が多く、受講費用の20%(上限10万円)がハローワークから支給されます。
実務者研修であれば「専門実践教育訓練給付金」の対象講座が多く、最大80%が還付されます。雇用保険の被保険者期間が原則3年以上(初めて利用する方は一般教育訓練は1年以上、専門実践は2年以上)の方が対象です。
方法③ 勤務先の資格取得支援制度(条件をよく確認)
介護施設の中には、従業員の初任者研修・実務者研修の受講費用を全額または一部負担する「資格取得支援制度」を設けているところがあります。求人広告で「資格取得費用・全額会社負担!」と謳っているケースです。
ただし、多くの場合は「資格取得後、一定期間(1〜3年程度)は勤務を継続すること」が条件になっています。規定期間内に退職する場合は費用の返済を求められるケースもあるため、契約内容をよく確認しましょう。
なお、このような返済条件が労働基準法16条(賠償予定の禁止)に抵触する可能性がある場合もあります。契約内容に疑問がある場合は、労働基準監督署やハローワークに相談することをおすすめします。資格取得支援制度の選び方は「資格取得支援制度がある介護施設の見分け方」で詳しく解説しています。
正社員 vs 派遣|メリット・デメリットの公平な比較
介護業界では「正社員」と「派遣」のどちらで働くかによって、収入の構造やキャリアの積み上げ方が大きく異なります。どちらが優れているかは個人の状況や価値観次第であり、一概に言えるものではありません。ここでは両方のメリット・デメリットを公平に整理します。
正社員のメリット(賞与・退職金・昇給・安定性)
正社員の最大のメリットは長期的な安定性です。毎月の基本給に加え、賞与(ボーナス)、退職金、昇給、社会保険の事業主負担(個人の実質的な手取りを押し上げる)、有給休暇の取得しやすさなど、短期的な時給では見えにくい長期メリットがあります。
また、同じ施設で長く勤務することで利用者との信頼関係が深まり、リーダー職への昇進など施設内でのキャリアアップがしやすいのも正社員ならではの特徴です。
派遣のメリット(時給直接反映・シフト柔軟・施設選び)
派遣のメリットは資格が時給に直接反映される即効性です。正社員の場合、資格手当がゼロの職場が半数以上ある一方で、派遣は保有資格に応じた時給設定が明示されます。エフネクストの介護派遣では、資格や経験に応じて時給1,900〜2,100円の高水準な求人があります。
シフトの柔軟性も大きなメリットです。「週3日だけ」「日勤のみ」など、ライフスタイルに合わせた働き方を選べます。さらに、複数の施設で働くことで「自分に合う職場」を見極めてから正社員になるという選択肢もあります。
公平な比較表|自分に合う働き方を選ぼう
| 比較項目 | 正社員 | 派遣 |
|---|---|---|
| 月給の目安(無資格) | 約29万円(厚労省R6平均) | 時給×実働時間(時給1,500〜2,100円でばらつき大) |
| 賞与(ボーナス) | あり(年2回が一般的) | なし(時給に含む) |
| 退職金 | あり(勤続年数による) | なし(退職金制度対象外が多い) |
| 昇給 | あり(定期昇給+処遇改善) | なし(契約更新時に交渉) |
| 資格の給与反映 | 資格手当(53.6%は手当なし) | 時給に直接反映(即効性◎) |
| シフトの自由度 | 施設の規定に従う | 高い(週3日・日勤のみ等可) |
| 雇用の安定性 | 高い(無期雇用) | 契約期間ごとの更新 |
| キャリアアップ | 施設内昇進(リーダー・主任等) | 複数施設で経験を積める |
(※正社員の月給は厚労省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」に基づく全国平均。派遣の時給はエリア・施設・経験により大きく異なります。)
「正社員の方が得」「派遣の方が得」と一概には言えません。安定した雇用と長期的なキャリアを重視するなら正社員、即効性のある時給アップとシフトの柔軟性を重視するなら派遣。自分のライフステージと価値観に合った選択が大切です。
未経験から介護職を始めるための最短ロードマップ
未経験・無資格から介護福祉士(国家資格)まで最短で到達するためのロードマップを、費用・期間・給料の変化とともに整理します。
STEP1|無資格で働き始める→認知症基礎研修を受講
まずは無資格の状態で介護施設に就職し、働きながら現場を知ることからスタートします。採用後1年以内に認知症介護基礎研修(eラーニング・約150分・費用3,000円程度)を受講すれば、義務はクリアです。
この段階で重要なのは「自分に合う施設」を見つけることです。派遣なら複数の施設で働いて相性を確認できるため、「思っていた仕事と違った…」というミスマッチを防ぎやすくなります。
STEP2|初任者研修を取得(費用3〜10万円・最短1.5ヶ月)
現場に慣れたら、次は初任者研修(130時間)の取得を目指します。通学+通信の併用スタイルで、最短1.5ヶ月・週1回の通学で約4ヶ月が標準です。
費用は約3〜10万円ですが、教育訓練給付金(20%還付)やスクールの就職支援キャンペーン(実質0円のスクールもあり)を活用すれば、自己負担を大幅に減らせます。初任者研修を取得すると認知症介護基礎研修は免除になり、訪問介護の仕事もできるようになります。
初任者研修の具体的なスケジュールは「初任者研修を働きながら最短で取るスケジュール」をご覧ください。
STEP3|実務者研修→介護福祉士へステップアップ
初任者研修修了後は、実務経験2〜3年目のタイミングで実務者研修(320時間・約4ヶ月・費用6〜12万円)を取得します。実務者研修を修了するとサービス提供責任者になれるほか、介護福祉士国家試験の受験資格が得られます。
実務経験3年を満たした時点で介護福祉士国家試験を受験し、合格すれば月給は350,050円(年収約420万円)まで上がります。無資格からの最短3年半で、年収が約71万円アップする計算です。
介護資格の取得ルートの全体像は「介護資格はどの順番で取るのが正解?」で、実務者研修と初任者研修の違いは「実務者研修と初任者研修の違いを徹底比較」で確認できます。
よくある質問
- 介護職は無資格でも働けますか?
-
はい、施設介護であれば無資格・未経験でも働けます。ただし、採用後1年以内に「認知症介護基礎研修」を受講する義務があります。訪問介護(身体介護)に従事するには初任者研修以上の資格が必要です。
- 無資格の介護職の給料はいくらですか?
-
厚生労働省の令和6年度調査によると、無資格の介護職員(常勤)の平均月給は290,620円(年収約349万円)です。初任者研修を取得すると324,830円に、介護福祉士まで進めば350,050円まで上がります。
- 働きながら無料で介護資格を取る方法はありますか?
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ハローワークの職業訓練なら受講料無料(テキスト代のみ自己負担)で初任者研修を取得できます。また、カイゴジョブアカデミーの「介護職デビューキャンペーン」のように受講料実質0円のスクールもあります。教育訓練給付金を使えば受講費用の20〜80%が還付されます。
- 「資格取得費用・全額会社負担」の求人は安全ですか?
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多くの場合、「資格取得後1〜3年は勤務を継続すること」が条件になっています。規定期間内に退職すると費用の返済を求められるケースもあるため、契約条件をよく確認しましょう。制度自体は合法ですが、条件が厳しいと感じた場合は労働基準監督署に相談できます。
- 中卒でも介護資格は取れますか?
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はい、取れます。初任者研修・実務者研修に学歴要件はありません。国家資格である介護福祉士も、実務経験ルート(実務経験3年+実務者研修修了)で受験する場合、学歴は不問です。
- 正社員と派遣、どちらが得ですか?
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一概には言えません。正社員は賞与・退職金・昇給・雇用安定性が魅力です。派遣は資格が時給に直接反映される即効性と、シフトの柔軟性がメリットです。長期安定を重視するなら正社員、即効性とライフスタイルの自由度を重視するなら派遣が向いています。
- 無資格で夜勤はできますか?
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施設によりますが、入職直後の未経験者がいきなり夜勤に入ることは原則ありません。業務に慣れてから(通常数ヶ月後)、先輩と一緒に夜勤に入る形が一般的です。夜勤ができるようになると夜勤手当が加わり、月収が大きく上がります。
- 認知症介護基礎研修を受けないとどうなりますか?
-
事業所が運営基準違反と判断され、行政指導や介護報酬の減算を受けるリスクがあります。本人もシフトに入れてもらえなくなる可能性があります。eラーニングで動画約150分+テストを受けるだけなので、対象者は早めに受講しましょう。
まとめ:無資格スタートでも「資格を取る意志」が年収を変える

2026年の介護業界は、無資格・未経験者にとって間口が広い一方で、「資格を取るかどうか」で年収に大きな差がつく構造になっています。
厚労省のデータでは、無資格(月29万円)→初任者研修(月32.5万円)→介護福祉士(月35万円)と、資格を上げるごとに月給が着実にアップしていきます。2026年6月の処遇改善加算改定でさらに月1万〜1.9万円の上乗せも見込まれています。
ハローワークの職業訓練や教育訓練給付金を使えば、費用の壁は大幅に下げられます。「いつか取ろう」ではなく、「働きながら今すぐ動き出す」ことが、3年後の年収を変える最短ルートです。
公式/参考URL一覧
- 厚労省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/24/dl/r06gaiyou.pdf
- 三幸福祉カレッジ「無資格でも介護の仕事はできる?」 https://www.sanko-fukushi.com/news/mushikaku_kaigo_colum/
- カイゴジョブアカデミー「認知症介護基礎研修が義務化」 https://kaigojob-academy.com/column/knowledge/ninchishokiso/
- ジョブメドレー「認知症介護基礎研修の概要」 https://job-medley.com/tips/detail/24988/
- 厚労省「訪問介護の人員基準」 https://jsite.mhlw.go.jp/ishikawa-roudoukyoku/content/contents/001790771.pdf


