退職代行サービスの料金相場は、正社員で2万円~5万円、アルバイトで1万円~2万円です。しかし、この金額だけを見て「安いから」という理由だけで選ぶのは非常に危険です。料金の背後には、運営主体(民間・労働組合・弁護士)によるサービス範囲の決定的な違いが隠されています。この記事では、2025年の最新情報に基づき、単なる料金比較だけでなく、あなたが支払う金額が「未来への賢い投資」となるための費用対効果(コストパフォーマンス)の見極め方、そして絶対に避けたい「追加料金の罠」まで、お金に関する全ての疑問を徹底解説します。
この記事のポイントまとめ
- 料金相場は2万円~5万円:この価格帯が、現在の市場における標準的な料金です。
- 価格を決めるのは「交渉力」:料金の違いは、主に「会社と交渉できるか否か」で決まります。民間企業<労働組合<弁護士の順に、料金と対応範囲が広がります。
- 「安かろう悪かろう」に注意:交渉が必要な状況なのに、料金の安さだけで民間企業を選ぶと、問題が解決せず「安物買いの銭失い」になる可能性があります。
- 追加料金の確認は必須:「深夜対応」「相談回数」などで追加料金が発生しないか、依頼前に必ず確認しましょう。
- 費用対効果が最強なのは「労働組合」:2.5万円前後で確実な交渉まで行ってくれる労働組合が、多くの人にとって最もコストパフォーマンスの高い選択肢です。
退職代行の料金が決まる「3つの仕組み」
- 運営主体による法的権限の違いが最大の料金決定要因
- 民間企業(2-3万円)は伝達のみ、労働組合(2.5-3万円)は交渉可能、弁護士(5万円~)は訴訟対応まで
- サービス内容(24時間対応、転職サポート等)と雇用形態も料金に影響
なぜ、サービスによって料金に数万円もの差が生まれるのでしょうか?その理由は、主に3つの要因に分解できます。料金の背景を理解することで、あなたの状況に最適なサービスを選択できるようになります。
【最重要】運営主体による「法的権限」の違い
これが料金を決定づける最大の要因です。退職代行は、運営主体によって法的に行える業務が全く異なります。この違いが、サービス内容と料金設定の根本的な差を生み出しているのです。
運営主体 | 料金相場 | 対応可能業務 | 特徴 |
---|---|---|---|
民間企業 | 20,000円~30,000円 | 退職意思の「伝達」のみ | 法的な「交渉」ができないため、人件費や法的リスクが低く、料金を安く設定できる |
労働組合 | 25,000円~30,000円 | 有給消化や退職日などの「交渉」が可能 | 労働組合法に基づく「団体交渉権」という強力な武器を持つため、専門性や人件費が価格に反映 |
弁護士法人 | 50,000円~ | 交渉+法的請求・訴訟対応 | 未払い残業代や慰謝料の請求、損害賠償請求への対抗など、あらゆる法的トラブルに対応可能 |
民間企業を選ぶべき人:トラブルがなく、ただ辞意を伝えてほしいだけなら、最も経済的な選択肢
労働組合を選ぶべき人:有給消化や退職日の調整が必要で、確実な交渉を求める人にとって最適
弁護士を選ぶべき人:金銭的なトラブルを抱えており、法的な対応が必要な場合の最後の砦
運営主体の違いが、なぜこれほど重要なのか?その法的根拠を詳しく知りたい方は、こちらのピラー記事をご覧ください。
→ [退職代行とは?利用すべき人の診断チェックと基本知識【2025年版】]
サービス内容とサポート体制による料金への影響
- 24時間365日対応体制の構築コスト
- 返金保証制度の運営リスク
- 転職サポートや給付金申請サポートの付加価値
- カウンセラーによるメンタルケアサービス
料金には、基本的な退職代行業務以外にも、以下のような付加価値が反映されています。これらのサービスが充実しているほど、料金は高くなる傾向にありますが、その分手厚いサポートを受けることができます。特に、精神的に追い込まれている状況では、メンタルケアサービスの有無が重要な判断材料となります。
雇用形態による料金の違い
多くのサービスでは、交渉や手続きの難易度が低いアルバイト・パート向けの割引料金を設定しています。正社員と比較して、雇用契約が単純で、引き継ぎ業務が少ないため、退職代行業者の工数も削減できることが、料金差の理由です。アルバイト・パートの場合、1万円~2万円程度の料金設定が一般的で、正社員料金の半額程度になることが多いです。ただし、アルバイトでも有給消化などの交渉が必要な場合は、労働組合系のサービスを選択することが重要です。
【価格帯別】サービス内容の徹底比較
- 2万円台:最も競争が激しく、コストパフォーマンスに優れた価格帯
- 3万円~10万円:弁護士が運営する高機能・法的対応可能ゾーン
- 1万円台:アルバイト・パート向けの格安ゾーン
あなたの予算と目的に合ったサービスを見つけるため、価格帯別に受けられるサービス内容を詳しく見ていきましょう。この比較により、支払う料金に対して最大の価値を得られるサービスを選択できます。
価格帯①:2万円台【コスパ・標準ゾーン】
- 主なプレイヤー:退職代行ガーディアン、退職代行SARABA、辞めるんです、退職代行EXITなど
- 労働組合運営:退職の意思表示+有給消化や退職日の交渉まで対応
- 民間企業運営:退職意思の伝達に特化した低価格サービス
- おすすめ対象:「有給は消化したいけど、弁護士に頼むほどではない」人
現在の退職代行市場で、最も競争が激しい価格帯です。多くの人にとって、最も費用対効果が高い選択肢が集中しており、労働組合運営のサービスであれば、退職に必要な手続きのほとんどをカバーしてくれます。一方、民間企業運営のサービスは交渉ができない分、料金が安く設定されているため、「とにかく安く済ませたい」という場合の選択肢となります。この価格帯のサービスは、退職を検討している人の約80%のニーズを満たすことができる、まさに「退職代行のスタンダード」と言える価格帯です。
価格帯②:3万円~10万円【弁護士・高機能ゾーン】
弁護士法人が運営するサービスが、この価格帯の中心です。主なプレイヤーとしては、弁護士法人みやび、アディーレ法律事務所などがあります。受けられるサービス内容は、退職に関する全ての交渉に加え、未払い残業代・退職金・慰謝料の請求、損害賠償請求への法的対抗、訴訟対応まで可能です。
この価格帯のサービスは、「会社と金銭的なトラブルを抱えている」「パワハラで精神的苦痛を受けたので、慰謝料を請求したい」「会社と徹底的に戦う必要がある」といった、法的な専門知識が必要な複雑なケースに対応できる唯一の選択肢です。料金は高めですが、自力では解決困難な問題を法的に解決できる価値は計り知れません。
価格帯③:1万円台【アルバイト・格安ゾーン】
- 主なプレイヤー:退職代行モームリ(アルバイトプラン)、わたしNEXT(アルバイトプラン)など
- 受けられるサービス:正社員プランと同様のサービスを、より安価に提供
- 対象者:アルバイト・パートで、店長やオーナーが怖くて退職を言えない人
アルバイト・パート向けの料金プランや、民間企業のシンプルなサービスが該当します。雇用契約が比較的単純で、引き継ぎ業務も少ないため、退職代行業者の工数が削減できることから、この低価格が実現されています。アルバイトやパートの方にとっては、少ない収入からでも利用しやすい価格設定となっており、働きやすい環境を求めて転職する際の強い味方となります。
結局どのサービスがいいの?具体的なランキングと各社の特徴はこちら。
→ [【最新】退職代行おすすめランキング7選!料金・サービス徹底比較]
【要注意】知らないと損する「追加料金の罠」5選
- 深夜・早朝対応で別途料金が発生するケース
- 相談回数・連絡回数に制限があり、超過分は有料になるケース
- 基本料金は伝達のみで、交渉は別途オプション料金になるケース
- 書類作成・郵送費用が別途請求されるケース
- 労働組合費が別途必要になるケース
基本料金の安さに惹かれて依頼したら、後から次々と追加料金を請求された…そんな最悪の事態を避けるため、典型的な「追加料金の罠」を知っておきましょう。事前に確認すべきポイントを理解することで、予想外の出費を防ぐことができます。
罠①:深夜・早朝対応料金
「24時間対応」と謳いながら、深夜や早朝の連絡には追加料金がかかるケースがあります。特に、夜勤明けや早朝出勤前に連絡を取りたい場合、思わぬ追加費用が発生する可能性があります。真の24時間対応なのか、それとも営業時間外は別料金なのかを、依頼前に必ず確認しましょう。優良な業者は、基本料金内で24時間対応を提供しています。
罠②:相談回数・連絡回数の制限
- 「相談は3回まで無料」という制限があるケース
- 「会社への連絡が2回を超えると追加料金」という制限
- LINEでの相談回数に上限が設定されているケース
退職がスムーズに進まない場合、会社との交渉が長期化することもあります。そんな時に、連絡回数の制限があると、途中で追加料金を請求される可能性があります。特に、会社が引き止めを行ったり、手続きが複雑になったりする場合は、複数回の連絡が必要になることが多いため、無制限でサポートしてくれる業者を選ぶことが重要です。
罠③:交渉料金
基本料金は「意思伝達のみ」で、有給消化などの「交渉」を依頼すると、オプションとして追加料金が発生するケースがあります。特に民間企業系のサービスに多く見られる仕組みで、最初は安く見えても、実際に必要なサービスを受けるには結果的に高額になってしまうことがあります。有給消化や退職日の調整が必要な場合は、最初から交渉まで含まれた労働組合系のサービスを選ぶのが安全です。
罠④:書類作成・郵送費用
退職届のテンプレート作成や、内容証明郵便の郵送実費などが、別途請求されるケースがあります。一見小さな金額に見えますが、複数の書類が必要になると、意外と高額になることもあります。特に、法的な効力を持つ書類の作成が必要な場合は、作成費用だけでなく、郵送費や印紙代なども含めた総額を事前に確認することが大切です。
罠⑤:労働組合費
労働組合運営のサービスで、表示料金とは別に、組合への加入金や月会費が別途必要になるケースがあります。退職完了まで数ヶ月かかる場合、月会費が積み重なって予想以上の出費になることがあります。優良な労働組合系サービスでは、組合費も込みの料金を表示していますが、そうでない場合は総額でいくらになるのかを必ず確認しましょう。
【自衛策】依頼前の無料相談の段階で、必ず「表示されている金額以外に、いかなる名目でも追加料金は発生しませんか?」と、一言確認しましょう。優良な業者は「一切ありません」と明確に答えてくれます。
費用対効果を最大化するサービスの選び方
- トラブルなし・安さ最優先なら民間企業(約2万円)を選択
- 有給消化・退職日交渉なら労働組合(約2.5万円)が最もコスパ良し
- 未払い残業代・慰謝料請求なら弁護士(5.5万円~)で大きなリターン狙い
支払う料金以上の価値を得るための、賢いサービスの選び方を伝授します。あなたの状況を正確に把握し、最適な投資対効果を実現する選択をすることで、退職代行は単なる出費ではなく、将来への価値ある投資となります。
ケース1:トラブルなし、安さ最優先の場合
- 選ぶべきサービス:民間企業(例:退職代行EXIT)
- 費用:約2万円で最もストレスのかかる「退職の第一声」を代行
- 効果:精神的な負担を回避できる対価として十分に価値あり
会社との関係が良好で、特に交渉事項がない場合は、民間企業の退職代行が最もコストパフォーマンスに優れています。約2万円で、最もストレスのかかる「退職の第一声」を代行してもらえるため、精神的な負担を回避できる対価と考えれば、十分に価値があります。有給消化などの交渉が不要で、ただ退職の意思を伝えたいだけであれば、この選択肢が最も経済的です。
ケース2:有給消化や退職日の交渉が必要な場合
この場合は、労働組合系のサービス(例:退職代行ガーディアン、SARABA)を選ぶべきです。費用は約2.5万円ですが、もし1ヶ月分の有給(20日)を消化できれば、給与30万円の人なら、2.5万円の投資で30万円のリターンが得られる計算になります。これは、極めて費用対効果の高い投資と言えるでしょう。
さらに、労働組合の団体交渉権により、会社側も無視できない法的な圧力がかかるため、交渉成功率が高いことも大きなメリットです。多くの人にとって、最もバランスの取れた選択肢となります。
ケース3:未払い残業代や慰謝料を請求したい場合
弁護士法人(例:弁護士法人みやび)を選ぶべきケースです。費用は5.5万円~+成功報酬がかかりますが、仮に100万円の未払い残業代を回収できれば、成功報酬(20%=20万円)と基本料金を支払っても、手元に70万円以上が残ります。
自力では泣き寝入りしていたであろうお金を取り戻せるなら、弁護士費用は決して高くありません。特に、サービス残業が常態化していた会社や、パワハラによる精神的苦痛を受けた場合など、法的な専門知識が必要なケースでは、弁護士以外に解決手段がないため、高い費用対効果を期待できます。
サービス選びで失敗したくない方は、デメリットやリスクについても理解しておきましょう。
→ [退職代行のデメリット7つと失敗を避ける方法【利用前必読】]
支払い方法の知識 – 後払い・分割は可能?
- 後払いサービス:「辞めるんです」「退職代行Jobs」などが完全後払いに対応
- クレジットカード分割払い:一括での支払いが難しい場合の救済措置
- 支払いタイミング:サービスによって前払い・後払いが異なる
退職代行を利用したいけれど、すぐに料金を支払うのが難しい場合もあるでしょう。そんな時に知っておきたい、支払い方法の選択肢について解説します。
後払いサービスの活用
「本当に退職できるか不安」「今すぐお金が用意できない」という方向けに、「辞めるんです」や「退職代行Jobs」など、一部の業者では完全後払いに対応しています。退職が完了してから料金を支払うシステムのため、サービスの確実性を重視する人にとって安心できる仕組みです。
ただし、後払いサービスは限られた業者のみが提供しているため、選択肢が狭くなることがデメリットです。また、後払いを悪用する利用者を防ぐため、事前の身元確認が厳しい場合もあります。
クレジットカード分割払いの活用
一括での支払いが難しい場合でも、クレジットカードの分割・リボ払いを利用すれば、月々の負担を抑えることができます。例えば、3万円のサービスを12回分割すれば、月々2,500円程度の負担で済みます。ただし、分割手数料やリボ払い金利が発生するため、総支払額は増加することを理解しておきましょう。
多くの退職代行サービスがクレジットカード決済に対応しているため、現金が手元になくても利用しやすい環境が整っています。
よくある質問
- なぜ業者によってこんなに料金が違うのですか?
-
主に、本記事で解説した「運営主体(法的権限)」の違いによる、人件費や専門性のコストの差です。弁護士資格を持つスタッフが対応する場合、当然コストは高くなります。民間企業は伝達のみで2-3万円、労働組合は交渉可能で2.5-3万円、弁護士は法的対応まで可能で5万円以上という料金体系になっています。
- 料金が安すぎる業者は、怪しいですか?
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1万円を切るような極端に安い業者は、必要なサポートが受けられなかったり、後から高額なオプションを勧められたりするリスクがあるため、注意が必要です。相場である2万円前後を目安に検討するのが安全です。極端に安い場合は、追加料金の仕組みがないか、サービス内容に制限がないかを必ず確認しましょう。
- 無料の退職代行サービスはありますか?
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無料の退職代行サービスは存在しません。「実質無料」を謳うサービスは、転職サポートとセットになっており、転職が成功した場合に転職エージェントからの紹介料で費用を賄う仕組みです。転職する意思がない場合は利用できません。また、転職先の選択肢が限定される可能性もあるため、注意が必要です。
- 追加料金を避けるにはどうすればいいですか?
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依頼前の無料相談の段階で、必ず「表示されている金額以外に、いかなる名目でも追加料金は発生しませんか?」と確認しましょう。また、深夜対応料金、相談回数制限、交渉料金、書類作成費、労働組合費などの典型的な追加料金パターンについて、具体的に質問することが重要です。優良な業者は明確に答えてくれます。
- 一番コストパフォーマンスが良いのはどのタイプですか?
-
多くの人にとって最もコストパフォーマンスが良いのは、労働組合系のサービスです。約2.5万円で退職の意思伝達から有給消化・退職日の交渉まで対応してくれるため、民間企業の伝達のみのサービスと比べて、わずかな料金差で大幅にサービス内容が向上します。特に有給消化ができれば、投資額を大きく上回るリターンが期待できます。
まとめ:料金とは、あなたが手に入れる「安心」の値段である
退職代行の料金は、単なる「代行手数料」ではありません。それは、あなたが理不尽な引き止めやストレスから解放されるための「チケット代」であり、失われるはずだった有給や未払い賃金を取り戻すための「投資」であり、そして何より、あなたの心と体の平穏を守るための「安心料」なのです。
この記事を参考に、料金の表面的な安さだけに惑わされることなく、あなたの状況に本当に見合った、最高の費用対効果を持つサービスを選び抜いてください。
正社員の相場は2万円~5万円、アルバイトは1万円~2万円。運営主体の違いが料金を決定し、労働組合系(2.5万円前後)が最もコストパフォーマンスに優れています。追加料金の確認を怠らず、あなたの状況に最適なサービスを選択することで、退職代行は確実にあなたの人生を良い方向に導いてくれるでしょう。
■ 公式/参考URL一覧
- 国民生活センター – 「退職代行サービス」に関する相談が増加しています
- 料金に関するトラブル(追加料金請求など)の実例や、消費者への注意喚起について、公的な情報源として参照。
- 日本弁護士連合会 – 弁護士法 第72条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
- 料金の背景にある、民間企業の「非弁行為」のリスクを解説する上での、最も重要な法的根拠として参照。
- 労働基準調査組合 – 退職代行は弁護士運営と労働組合運営で何が違う?違法リスクと交渉力を解説
- 労働組合がなぜ会社と「交渉」できるのか、その根拠となる「団体交渉権」の役割と、組合費の考え方について、一次情報として参照。
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