10-【例文あり】「会社辞めたいけど言えない」を解決!上司への切り出し方・伝え方完全攻略マニュアル

「会社辞めたいけど言えない」を解決!上司への切り出し方

「会社を辞めたい」という決意は固まったのに、上司の顔を思い浮かべた瞬間に言葉が喉につかえてしまう――その辛い状況を解決する鍵は、「正しい準備」と「具体的な手順」を知ることです。退職の意思表示は、曖昧な「相談」ではなく、覆らない「報告」として伝える必要があります。この完全マニュアルでは、あなたの心理的なブレーキを外し、自信を持ってその一歩を踏み出すための、アポイントの取り方から具体的な会話のスクリプト、引き止めへの対処法までを、ステップバイステップで徹底解説します。

この記事のポイント

  • 法的権利を認識する:退職は労働者に認められた正当な権利です。罪悪感を感じる必要はありません
  • 「相談」ではなく「報告」:退職の意思は、揺るがない決定事項として、毅然とした態度で伝えましょう
  • 準備が9割:切り出す前に、退職理由、希望退職日、引き継ぎプランを明確にしておくことが、交渉をスムーズに進める鍵です
  • アポはメールで:「今後のキャリアに関するご報告」など、少し改まった件名で、事前に時間を確保してもらいましょう
  • スクリプトを用意する:切り出しの第一声から退職理由まで、話す内容を事前に用意し、練習しておくことで、当日の緊張が和らぎます
  • 引き止めには感謝で応じる:強い引き止めにあっても、感情的にならず、感謝の意を伝えつつ、退職の意思が変わらないことを冷静に伝えましょう
目次

なぜ、私たちは「辞めたい」と言えないのか?4つの心理的ブレーキ

  • 罪悪感のブレーキ:お世話になった人への申し訳なさと職場への迷惑を心配する気持ち
  • 恐怖心のブレーキ:上司の反応や今後の人間関係への不安
  • 恩義のブレーキ:育ててもらった恩や期待を裏切ることへの抵抗
  • 自信のなさのブレーキ:決断への迷いと未来への不安

退職の意思を伝えられない背景には、主に4つの心理的なブレーキが働いています。まずは、自分の心を縛っているものの正体を知りましょう。

罪悪感のブレーキ

「お世話になった上司や同僚を裏切るようで申し訳ない」「自分が抜けたら職場に迷惑がかかる」という、責任感や誠実さからくる罪悪感。

これは、あなたがこれまで真面目に仕事に取り組んできた証拠でもあります。しかし、退職は労働者に認められた正当な権利であり、あなたが過度に罪悪感を抱く必要はないのです。

恐怖心のブレーキ

「上司に怒鳴られたらどうしよう」「引き止められて、気まずくなったらどうしよう」という、相手の反応やその後の人間関係に対する恐怖心。

未知の反応への恐怖は自然な感情ですが、適切な準備と伝え方を身につけることで、この恐怖心を大幅に軽減することができます。

恩義のブレーキ

「ここまで育ててもらったのに」「期待を裏切ってしまう」という、会社や上司から受けた恩義に報いなければならないという気持ち。

恩義を感じることは美しい感情ですが、それがあなたの人生の選択を縛る理由にはなりません。恩義への感謝は、退職後も様々な形で表現することができます。

自信のなさのブレーキ

「本当に辞めて後悔しないだろうか」「次の職場でもやっていけるだろうか」という、自分の決断や未来に対する自信のなさ。

エン・ジャパン社の調査では、転職経験者が「退職時に苦労したこと」として「上司への退職意向の伝達」が上位にランクインしています。あなたが「言えない」と悩むのは、決して特別なことではないのです。

特に「罪悪感」が強い方は、まずこちらの記事で心を軽くしてください。
[ 退職の罪悪感が消えない理由と心を軽くする7つの方法]

【準備編】切り出す前に、あなたがやるべき5つのこと

  • 退職意思を固める:「相談」ではなく確固たる「決断」として準備する
  • 退職理由を明確にする:個人的で前向きな理由を用意し、会社への不満は避ける
  • 希望退職日を決める:就業規則を確認し引き継ぎ期間を考慮した具体的な日程設定
  • 引き継ぎの算段をつける:担当業務の整理と引き継ぎプランの策定
  • 話す内容をシミュレーションする:実際に声に出して練習を重ねる

交渉の成否は、準備で9割決まります。自信を持ってその日を迎えるために、以下の5つを必ず済ませておきましょう。

退職意思を固める

「辞めようか迷っています」という相談ではなく、「〇月〇日付で退職いたします」と断言できるレベルまで、自分の意思を固めます。ここが揺らぐと、引き止めの格好の的になります。

退職理由を明確にする

本音は「人間関係」や「給与」でも、伝える際は「新しい分野に挑戦したい」といった、個人的で前向きな理由を準備します。会社の不満を理由にすると、「改善するから」と引き止めの口実を与えてしまいます。

角が立たない退職理由の伝え方は、こちらの記事に例文が満載です。
[退職理由の伝え方【例文15選】角が立たない無難な言い方集]

希望退職日を決める

会社の就業規則(通常は1ヶ月前まで)を確認し、引き継ぎ期間を考慮した上で、具体的な希望退職日を設定します。民法上は2週間前でも可能ですが、円満退職を目指すなら1~2ヶ月の余裕を持つのが一般的です。

引き継ぎの算段をつける

自分が担当している業務をリストアップし、誰に、どのように引き継ぐかの簡単なプランを考えておくと、「無責任だ」という批判を封じ、あなたの誠実さを示すことができます。

話す内容をシミュレーションする

この後紹介するスクリプトを参考に、実際に声に出して何度も練習しましょう。いざという時に、スラスラと言葉が出てくるようになります。

【実践編】上司への切り出し方・完全フローチャート

  • Step1:アポイントを取る – メールで事前に時間を確保
  • Step2:切り出す – 結論から明確に意思表示
  • Step3:退職理由を伝える – 前向きで個人的な理由を簡潔に
  • Step4:引き止めへの対処 – 感謝と意思の変わらなさをセットで伝達

準備が整ったら、いよいよ実行です。以下のフローに沿って進めれば、誰でもスムーズに退職の意思を伝えることができます。

Step 1:アポイントを取る【メール例文あり】

退職の切り出しは、廊下や立ち話ではなく、会議室など二人きりになれる場所で、必ず直属の上司に行います。そのための時間を、事前にメールで依頼しましょう。

件名:面談のお願い(自分の氏名)

本文:
〇〇部長

お疲れ様です。〇〇部の(自分の氏名)です。

今後のキャリアについて、ご報告したいことがございまして、
〇分ほど、個別にお時間をいただくことは可能でしょうか。

つきましては、以下の日程でご都合の良い時間帯を
いくつかお教えいただけますと幸いです。

(候補日を3つほど提示)

お忙しいところ恐縮ですが、何卒よろしくお願い申し上げます。

(自分の氏名)

「相談」ではなく「報告」という言葉を選ぶことで、決定事項であることを示唆します。また、具体的な用件は書かず、対面で話したいという姿勢を見せるのがマナーです。

Step 2:切り出す【会話スクリプトあり】

席に着いたら、まず時間を作ってくれたことへの感謝を述べ、遠回しな世間話はせず、すぐに本題に入ります。

あなた:「お忙しいところ、お時間をいただきありがとうございます。」

あなた:「突然のご報告で大変恐縮なのですが、この度、一身上の都合により、退職させていただきたく、ご報告に参りました。」

あなた:「〇月末日をもちまして、退職させていただきたく考えております。」

ここで最も重要なのは、「退職したいと考えておりまして…」といった曖昧な表現ではなく、「退職させていただきます」と、明確な意思表示をすることです。最初に結論を伝えることで、相手に交渉の余地を与えません。

Step 3:退職理由を伝え、質疑応答に応じる

退職理由は、準備した「個人的で前向きな理由」を簡潔に伝えます。会社の不満や人間関係の愚痴は、絶対に口にしてはいけません。

上司:「差し支えなければ、理由を聞かせてもらえるか?」

あなた:「はい。現職で〇〇という経験を積ませていただく中で、以前から興味のあった△△の分野に挑戦したいという気持ちが強くなりました。自分のキャリアプランを考えた上で、新たな環境で挑戦することを決意いたしました。」

Step 4:強い引き止めへの対処法

最もエネルギーを使うのが、引き止めへの対処です。上司のタイプ別に、冷静に対応しましょう。

同情型(「君がいないと困る」)
→ 「そう言っていただけて、大変光栄です。ご迷惑をおかけすることは重々承知しており、大変申し訳なく思っております。しかし、自分の将来を考え、決意したことです。ご理解いただけますと幸いです。」

提案型(「給与を上げるから」「部署を異動させるから」)
→ 「大変ありがたいお話ですが、待遇面が退職の理由ではございません。あくまで、私個人のキャリアプランの上での決断ですので、お気持ちだけ頂戴いたします。」

威圧型(「無責任だ」「恩を仇で返すのか」)
→ 冷静に、毅然と対応します。「ご期待に沿えず、申し訳ございません。しかし、退職の意思は変わりません。後任の方への引き継ぎは、責任を持って最後まで全力で務めさせていただきます。」

どんな引き止めにあっても、感謝の気持ちと退職の意思は変わらないことを、セットで伝え続けるのが基本戦略です。

上司が威圧的で身の危険を感じる場合は、一人で戦う必要はありません。
[上司が怖くて退職言えない時の対処法【威圧的上司攻略術】]

退職を伝えるタイミングとマナーの重要ポイント

退職の意思を伝える際には、タイミングとマナーが成功の鍵を握ります。適切な時期と方法を選ぶことで、円滑な退職プロセスを実現できます。

ベストタイミングの見極め方

  • 繁忙期は避ける:大きなプロジェクトの直前や決算期などは控える
  • 上司の心理状態を考慮:比較的落ち着いている時間帯を狙う
  • 週初めの朝や金曜の夕方:話を聞いてもらいやすい時間を選択
  • プライベートな空間:会議室など他の人に聞かれない環境を確保

会社の繁忙期や、大きなプロジェクトの直前は避けるのが賢明です。上司が比較的落ち着いて話を聞ける時間帯を狙ってアポイントを取りましょう。

退職を切り出すベストタイミングについて、より詳しく知りたい方はこちら。
[ 退職を切り出すベストタイミングはいつ?失敗しない伝え方の手順]

報告順序とマナー

基本的には直属の上司に最初に伝えるのがマナーです。上司を飛び越えて人事部や更に上の役職者に先に報告すると、直属の上司の顔を潰すことになり、円満退職から遠ざかってしまいます。

ただし、直属の上司がハラスメントの原因であるなど、正当な理由がある場合は、人事部に先に相談するのが適切です。

転職先についても、具体的な社名を伝える必要はありません。「次の職場は?」と聞かれても、「おかげさまでご縁がございました」や「正式に決まりましたら、改めてご報告いたします」といったように、詳細は避けるのが一般的です。

FAQ(よくある質問)

退職を伝えるのは、どのタイミングがベストですか?

会社の繁忙期や、大きなプロジェクトの直前は避けるのが賢明です。上司が比較的落ち着いて話を聞ける時間帯(週初めの朝や、金曜の夕方など)を狙ってアポイントを取りましょう。

直属の上司を飛び越えて、さらに上の役職者や人事に先に伝えるのはアリですか?

基本的にはNGです。直属の上司の顔を潰すことになり、円満退職から遠ざかってしまいます。ただし、直属の上司がハラスメントの原因であるなど、正当な理由がある場合は、人事部に先に相談するのが適切です。

既に転職先が決まっている場合、伝えるべきですか?

伝える必要はありません。「次の職場は?」と聞かれても、「おかげさまでご縁がございました」や「正式に決まりましたら、改めてご報告いたします」といったように、具体的な社名を言うのは避けるのが一般的です。

退職届は、どのタイミングで渡せばいいですか?

まずは口頭で退職の意思を伝え、退職日などが正式に合意できた後、会社の規定に従って提出します。切り出す当日に、念のためカバンに忍ばせておくとスムーズです。

電話やメールだけで退職を伝えるのは、非常識ですか?

やむを得ない事情(体調不良で出社できない、上司が常に不在など)がない限り、対面で伝えるのが社会人としてのマナーです。ただし、対面が精神的に大きな負担となる場合は、メールなどで伝えた上で、電話で補足するという形も考えられます。

一度「辞めます」と言った後、撤回することはできますか?

非常に困難です。退職の意思表示は、法的には「雇用契約の解約の申入れ」にあたり、会社が承諾すれば合意が成立します。引き止められた結果、考え直すケースもありますが、基本的には「一度伝えたら後戻りはできない」という覚悟で臨みましょう。

どうしても、どうしても自分から言えません。

様々な手を尽くしても、恐怖心や罪悪感からどうしても言い出せない、あるいは会社が辞めさせてくれないといった状況であれば、最終手段として「退職代行サービス」を利用することも一つの選択肢です。あなたの心身の健康を守ることが最優先です。

退職代行について詳しく知りたい方はこちら。
[退職代行とは?利用すべき人の診断チェックと基本知識【2025年版】]

まとめ:「言えない」を乗り越え、次のステージへ

「会社を辞めたい」と言えない自分を、これ以上責めないでください。それは、あなたがこれまで真摯に仕事と向き合ってきた証拠です。

しかし、あなたの人生のハンドルを握っているのは、上司でも会社でもなく、あなた自身です。

このマニュアルで紹介した「正しい準備」と「具体的な手順」は、あなたの恐怖心を和らげ、自信を持って一歩を踏み出すための強力な武器となるはずです。

その一言を伝える勇気が、あなたのキャリアを新しいステージへと導きます。応援しています。

■ 公式/参考URL一覧

  1. e-Gov法令検索 – 民法(明治二十九年法律第八十九号)第六百二十七条:
    • 退職の意思表示から2週間で雇用契約が終了するという、労働者の法的権利の根拠として参照。
  2. AJS – アサーション(アサーティブコミュニケーション):
  3. マイナビエージェント – 退職の切り出し方はどうすればいい?
    • 退職時に多くの人が「上司への報告」に苦労しているという客観的なデータの裏付けとして参照。
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エフネクストの経営理念「キッカケ」はいつも人から。

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