退職代行の違法性・訴訟リスク・バレるリスクを弁護士法に基づき完全解説|安全な選び方も

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退職代行は違法?会社にバレる?

退職代行の利用自体は違法ではありません。ただし、弁護士資格のない民間業者が退職条件の交渉や弁護士への有償紹介を行うと、弁護士法72条違反(非弁行為)に該当します。

結論から述べます。あなたが退職代行サービスを利用して会社を辞めること自体は、違法にはなりません。退職は憲法22条(職業選択の自由)と民法627条で保障された労働者の権利であり、その意思を第三者に伝達してもらうことも自由です。一方、違法性のリスクがあるのは「業者側」の行為——とりわけ、弁護士資格を持たない民間企業が交渉に踏み込む「非弁行為」です。2026年2月には業界最大手「モームリ」の社長が弁護士法違反で逮捕される事件も発生しました。

この記事のポイント

  • 利用者は合法。違法リスクは業者側
  • 非弁行為の罰則は拘禁刑or罰金
  • モームリ逮捕で業界地図が変化
  • 損害賠償で訴えられるリスクは極小
  • 労組型か弁護士型を選べば安全

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目次

退職代行の「違法性」を正しく理解する|利用者と業者で異なるリスク

退職代行における違法性の問題は、「利用者」と「業者」で全く異なります。利用者側に違法リスクはありません。問題となるのは業者側の行為であり、特に弁護士資格のない民間企業が法律上の「交渉」や「周旋」に踏み込んだ場合に非弁行為として違法になります。

  • 利用者の退職代行利用は法的に問題なし
  • 違法リスクは業者側の「非弁行為」にある
  • 2026年のモームリ逮捕で業界環境が変化
  • 安全な業者選びが唯一にして最大の防御策

あなた(利用者)の立場|退職代行の利用は違法ではない

まず安心してほしいのは、退職代行を利用してあなたが会社を辞めること自体は、法的にまったく問題がないという事実です。

根拠は明確。退職は、憲法22条(職業選択の自由)・憲法18条(奴隷的拘束の禁止)・民法627条1項で保障された労働者の基本的権利です。そして、その退職の意思を第三者に伝達してもらうこと——つまり退職代行サービスの利用——もまた、法的に自由な行為です。

ここで1つ、法律上の重要な区別を押さえておいてください。退職代行の業者が行うのは「代理」ではなく「使者(メッセンジャー)」としての伝達です。「代理」は法的な意思決定まで含む行為で弁護士法72条の問題に直結しますが、「使者」はあなたが決めた意思をそのまま相手に届ける行為。この違いは、退職代行の合法性を理解するうえで核心的なポイントです。

退職代行業者側の「非弁行為」リスク|弁護士法72条の壁

では、問題はどこにあるのか。業者側の行為です。

弁護士法72条は、弁護士または弁護士法人でない者が、報酬を得る目的で法律事務を取り扱うこと、またはこれらの周旋(仲介・紹介)をすることを禁じています。簡単に言えば、「弁護士以外が、お金をもらって法律トラブルの交渉やその仲介をしてはいけない」というルール。

退職代行の文脈で、民間企業が越えてはいけないラインは明確です。

  • 有給休暇の消化を会社と「交渉」する
  • 未払い残業代の支払いを「交渉」する
  • 退職日の変更を会社と「交渉」する
  • 法律事務を弁護士に有償で「紹介」する

これらはいずれも、弁護士資格のない民間企業が行えば非弁行為に該当します。4番目の「有償での紹介(周旋)」が新しく問題視されるようになったのは、まさに2026年のモームリ逮捕事件がきっかけです(詳しくは次のセクションで解説します)。

民間企業に許されているのは、あくまであなたの退職意思を会社に「伝達」する使者(メッセンジャー)としての役割だけ。会社が「有給は認めない」と反論してきた場合、民間業者はそれ以上のことができません。「あとはご自身でお願いします」と匙を投げるしかない——これが、民間業者に依頼する最大のリスクです。

ちなみに、労働組合は労働組合法に基づく「団体交渉権」を持つため、有給消化や退職日の調整については合法的に交渉ができます。ただし注意点として、労働組合にできるのは団交権の範囲内での交渉に限られ、訴訟代理や損害賠償請求の代理はできません。あらゆる法的手続きに対応可能なのは弁護士のみです。

非弁行為の罰則|弁護士法77条で「2年以下の拘禁刑or300万円以下の罰金」

非弁行為がどの程度重い違法行為なのか、具体的な罰則も押さえておきましょう。

弁護士法77条は、非弁行為を行った者に対して「2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金」を定めています。これは利用者に科される罰則ではなく、違法な業務を行った業者側に適用されるものです。

「懲役」ではなく「拘禁刑」となっているのは、2025年の刑法改正で名称が変更されたためです(実質的な内容は同等)。いずれにせよ、非弁行為は罰金で済む程度の軽い違反ではなく、刑事罰の対象になる犯罪行為です。利用者に直接の刑事責任が及ぶことはありませんが、違法な業者に依頼した場合、その業者を通じた退職手続き自体が法的に不安定になるリスクはあります。

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2026年モームリ逮捕事件から学ぶ「非弁提携」のリスク

2026年2月3日、退職代行業界を揺るがす事件が起きました。業界最大手「退職代行モームリ」を運営する株式会社アルバトロスの社長が、弁護士法違反(非弁行為・非弁提携)の疑いで警視庁に逮捕されたのです。この事件を正しく理解することは、退職代行を安全に利用するうえで欠かせません。

モームリ事件の概要|「周旋」とは何だったのか

報道によれば、容疑の核心は「弁護士への有償での顧客紹介(周旋)」でした。

仕組みはこうです。モームリは退職代行の依頼を受け、法的なトラブルが発生した場合に提携する弁護士に顧客を紹介していました。ここまでなら「弁護士監修」の体制として珍しくない。問題は、この紹介に対して弁護士側から1件あたり約16,500円の「紹介料(キックバック)」を受け取っていたとされる点です。

弁護士法72条は、法律事務の「取扱い」だけでなく「これらの周旋」——つまり法律事務を弁護士に仲介・紹介することも禁じています。無償の紹介ならグレーゾーンですが、報酬を得ての紹介は明確に違法。さらに、紹介を受けた弁護士側も弁護士法27条の「非弁提携」に該当する疑いで捜査対象になりました。

モームリは2022年の創業以来、累計4万件以上の退職代行を手がけた業界最大手。メディア露出も多く、知名度で選んだ利用者は少なくなかったはずです。正直に言って、この逮捕のインパクトは大きい。

「弁護士監修」と「弁護士運営」は全く違う

モームリ事件が浮き彫りにしたのは、「弁護士監修」と「弁護士運営」のあいだにある決定的な違いです。

「弁護士監修」とは、民間企業が弁護士にアドバイスを受けながら運営している状態を指します。運営主体はあくまで民間企業であり、弁護士が直接対応するわけではありません。この場合、業者が交渉に踏み込めば非弁行為のリスクが残ります。

「弁護士運営(弁護士法人)」は、弁護士自身が運営主体であり、すべての法的手続きを弁護士の責任のもとで行うサービスです。当然、非弁行為のリスクはゼロ。

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項目弁護士監修(民間企業)弁護士運営(弁護士法人)
運営主体民間企業(弁護士はアドバイザー)弁護士法人(弁護士が主体)
交渉の可否不可(伝達のみ)すべての交渉・請求が可能
非弁行為リスクあり(交渉すると違法)なし
料金相場15,000〜27,000円27,500〜77,000円
2026年の注意点「弁護士監修」でも非弁提携リスク法的に最も安全

「弁護士監修だから安心」という思い込みは、モームリ事件で覆されました。サービスを選ぶ際は「誰が監修しているか」ではなく「誰が運営しているか」を見る。これが2026年以降の鉄則です。

事件後に変わった業界地図

東京商工リサーチの調査によれば、退職代行サービスの事業者は全国に少なくとも52法人。そのうち弁護士法人による運営は3割強にとどまり、約6割が民間企業経営です。

モームリ逮捕後、マイベスト(比較サイト大手)が民間企業運営の退職代行をランキングから除外する方針を示すなど、業界の選別が始まっています。筆者の見解として、この流れは利用者にとってプラスだと考えています。安さだけで選ぶ時代は終わり、「法的な安全性」が最重要の選択基準になった。それは健全な変化でしょう。

では、退職代行を安全に利用したいなら、具体的にどうすればよいのか。答えはシンプルで、「労働組合が運営するサービス」か「弁護士法人が運営するサービス」を選べば、非弁行為のリスクはゼロになります。

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退職代行を使うと「会社から訴えられる」のか?損害賠償リスクの実態

退職代行を使ったことで会社から損害賠償請求が認められるケースは、極めて稀です。ただし「ゼロ」と断言するのは正確ではなく、ごく例外的に損害賠償が一部認容された判例も存在します。ここでは、恐怖を煽るのではなく、正直にリスクの全体像をお伝えします。

損害賠償請求が認められるための3つの高いハードル

会社があなたに損害賠償を請求するためには、以下の3つの要件を会社側が証拠をもって証明しなければなりません。これはかなり高いハードルです。

  • あなたの退職に契約違反などの「違法性」があること
  • あなたの退職によって会社が「具体的な損害」を被ったこと
  • あなたの退職と会社の損害のあいだに「因果関係」があること

民法627条は、期間の定めのない雇用契約であれば「いつでも解約の申入れができる」と定めています。つまり、通常の退職そのものに「違法性」が認められること自体がまずありません。1つ目のハードルをクリアできない時点で、請求は成り立たない。

「損害賠償請求する」という言葉を会社から言われたら、それは正直なところ「脅し文句」である可能性が極めて高い。冷静に受け止めてください。

実際の判例から見る現実|損害賠償が認容されたケースも含めて

ここは正直に書きます。「退職で損害賠償が認められたケースは一切ない」と言い切る記事がネット上には多いのですが、厳密には正しくありません。ごく例外的に、損害賠償が一部認容された判例は存在します。

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ケース請求内容裁判所の判断出典
通常の退職突然の退職による損害請求棄却(退職の自由を重視)一般的な判例傾向
入社直後の突然退職取引先契約解除による損害一部認容(70万円。ただし会社側管理責任も考慮し大幅減額)ケイズインターナショナル事件(東京地裁平成4年9月30日)
短期間での退職研修費用の返還請求ケースにより判断が分かれる(業務必須研修なら棄却傾向、任意研修で貸与契約ありなら認容の可能性)複数判例
機密情報持ち出し損害賠償請求悪質性により一部認容不正競争防止法関連判例

ケイズインターナショナル事件は、入社わずか数日で退職した社員に対し70万円の損害賠償が認容されたケース。ただし、これは「入社直後に突然連絡を絶って退職し、それが直接の原因で取引先との契約が解除された」という極めて特殊な事例です。しかも裁判所は会社側の管理責任も指摘し、請求額から大幅に減額しています。

通常の退職——まして退職代行を通じて正式に退職意思を伝えるケース——で、このような判決が出る可能性は現実的にはほぼ考えられません。「ほぼゼロだが、理論上はゼロではない」——これが正直な回答です。

例外的にリスクがゼロではないケース

念のため、退職それ自体ではなく、退職に伴う「悪質な行為」によって責任を問われうるケースを整理しておきます。

  • 顧客情報や機密を悪意で持ち出す
  • 会社のシステムやデータを故意に破壊
  • 重要プロジェクトの責任者が意図的に損害を与える

常識的に考えて、このような行為をしない限り心配は不要です。退職代行を利用する=正式なルートで退職の意思を伝えているわけですから、むしろ「バックレ」や「無断欠勤」よりもはるかに法的にクリーンな手段と言えます。

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退職代行は「親や転職先にバレる」のか?プライバシーリスクの全貌

退職代行の利用が周囲に知られるリスクは、完全にゼロとは言い切れませんが、正式な経路で伝わる可能性は極めて低いです。転職先バレと家族バレ、それぞれの実態と対策を整理します。

転職先にバレるリスク|正式な経路では極めて低い

結論として、転職先に退職代行の利用が正式な経路で伝わる可能性は極めて低いです。

転職先の企業が、あなたの前職での退職方法を正式に調査する権利は限定的です。前の会社や退職代行業者があなたの個人情報を無断で第三者に漏らせば、それはプライバシーの侵害にあたり、民法上の不法行為として損害賠償の対象となり得ます。履歴書や面接で退職代行の利用を伝える義務も一切ありません。

ただし——ここは正直に書いておくと——同業界内での口コミや前職の同僚経由で伝わる可能性はゼロではありません。特に地方の狭い業界ではそのリスクが若干高まります。とはいえ、それは退職代行を使わなくても「退職した」という事実自体は伝わり得る話で、退職代行固有のリスクとは言いにくい。

では、万が一バレたらどうなるか。実は、転職先から退職代行の利用を理由に不採用にされたり、内定を取り消されたりする法的根拠はありません。退職代行の利用は適法な行為であり、それを理由とする不利益取り扱いは許されない。ピンとこないかもしれませんが、「タクシーで出勤したか自転車で出勤したか」と同じレベルの話です。退職の「手段」は、その人の能力や適性とは無関係だからです。

親・家族にバレるリスクと具体的対策

こちらは対策をしなければバレる可能性があります。最大の原因は、退職後に自宅に届く公的な書類です。

  • 国民健康保険証・保険料の納付書
  • 国民年金の加入通知・納付書
  • 住民税の納付書

これらが同居家族の目に触れることで、退職の事実が発覚します。対策としては、郵便物の転送サービス、配達時間の指定、郵便局留めの活用が有効です。ただ筆者としては、可能であれば事前に家族に状況を相談することを推奨します。隠し通そうとすること自体が、のちのち大きなストレスになるケースが少なくないからです。

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法的根拠はプライバシー権侵害(民法上の不法行為)

先ほど「前の会社が情報を漏らせばプライバシー侵害になる」と書きました。ここは法的根拠を少し補足しておきます。

退職代行を利用した事実を無断で第三者に漏らす行為は、プライバシーの侵害として民法上の不法行為(民法709条)に該当する可能性があります。「個人情報保護法違反」と説明するサイトもありますが、厳密には「退職代行の利用」が個人情報保護法上の「個人データ」に該当するかは解釈が分かれる部分です。法的根拠としてはプライバシー権侵害の方がより確実です。

安全な退職代行サービスを選ぶための法的チェックポイント

ここまで読んでいただいた方には明確になっていると思いますが、退職代行の法的リスクのほとんどは「業者選び」で回避できます。2026年のモームリ逮捕事件を踏まえた、最新の安全基準をまとめます。

運営主体の確認方法|弁護士法人・労働組合・民間企業の権限比較

最も重要なのは「誰が運営しているか」を確認することです。サイトの「会社概要」や「運営者情報」で運営主体を必ずチェックしてください。

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運営主体確認方法安全性対応範囲
弁護士法人弁護士登録番号の確認(日弁連サイト)最高すべての法的手続き
労働組合労働委員会への届出確認高い団体交渉権の範囲内 ※訴訟代理は不可
民間企業法務関連の監修体制を確認要注意意思伝達のみ

ここで重要な注意点を1つ。前述のとおり、労働組合は団体交渉権の範囲内での交渉が可能ですが、訴訟代理や損害賠償請求の代理はできません。未払い残業代の回収や損害賠償請求への対抗が必要な場合は、弁護士法人一択です。

契約前に確認すべき5つの重要事項

サービスを申し込む前に、以下の5点は必ず確認しましょう。

  • 何ができて何ができないか明示されているか
  • 追加料金が後から発生しないか
  • 返金保証の適用条件は明確か
  • 個人情報の取り扱いポリシーがあるか
  • 会社が反発した場合の対応方針

特に1番目が重要。「何でも交渉できます」と無制限を謳っている民間企業は、むしろ危険信号。法的にできないことを「できる」と言っている可能性があるからです。

避けるべき危険な業者の特徴【2026年版】

モームリ事件を踏まえ、2026年版として整理した「危険な業者」の特徴は以下のとおりです。

  • 運営主体が不明確、または虚偽の表示がある
  • 「何でも交渉可能」と謳う民間企業
  • 料金が相場(2万円〜)の半額以下で異常に安い
  • 「弁護士監修」を強調するが運営主体は民間企業
  • 契約書面や重要事項の説明が不十分

4番目の「弁護士監修アピール」は、モームリ事件前は特に問題視されていませんでした。しかし事件後は、「弁護士監修」であっても非弁提携のリスクが存在することが実証されています。繰り返しになりますが、見るべきは「監修者」ではなく「運営主体」です。

民間企業をすべて否定しているわけではない点も付け加えておきます。単純に「退職の意思を伝えてほしい」だけで、有給消化や退職日の交渉が不要な場合は、民間企業の退職代行でも問題ありません。その場合の費用は2万円前後で、コストパフォーマンスとしては悪くない。ただし、交渉事項が1つでも発生する可能性があるなら、最初から労組型か弁護士型を選んでおく方が結果的に安上がりです。あとから業者を変えると二重に費用がかかるケースもありますから。

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よくある質問

退職代行を使うと違法になりますか?

利用者が退職代行を使うこと自体は違法になりません。退職は憲法・民法で保障された権利であり、その意思を第三者に伝達してもらうことは法的に自由です。違法リスクがあるのは業者側で、弁護士資格のない民間企業が交渉に踏み込むと弁護士法72条違反(非弁行為)に該当します。

退職代行を使って会社から訴えられることはありますか?

通常の退職で損害賠償請求が認められる可能性は極めて低いです。裁判所は労働者の退職の自由を尊重しており、よほど悪質な行為(機密情報の持ち出し等)がない限り、企業側の請求は退けられる傾向にあります。「訴える」という発言の多くは退職を思いとどまらせるための脅し文句です。

退職代行モームリの逮捕事件はどういう問題ですか?

2026年2月3日、退職代行「モームリ」の運営会社社長が弁護士法違反で逮捕されました。容疑は、弁護士に顧客を有償で紹介(周旋)し、1件あたり約16,500円のキックバックを受け取っていたことです。弁護士法72条は法律事務の周旋も禁じており、この行為が非弁行為に該当するとされました。

「弁護士監修」と「弁護士運営」の退職代行は何が違いますか?

「弁護士監修」は民間企業が弁護士のアドバイスを受けて運営している形態で、運営主体は民間企業のままです。交渉に踏み込めば非弁行為のリスクがあります。「弁護士運営」は弁護士法人が直接運営し、すべての法的手続きを弁護士の責任で行うため、非弁行為のリスクはゼロです。

非弁行為の罰則はどのくらいですか?

弁護士法77条により「2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金」が科されます。これは業者側に適用される罰則で、利用者に刑事責任が及ぶことはありません。ただし違法な業者を利用すると、退職手続き自体が法的に不安定になるリスクはあります。

退職代行を使ったことが転職先にバレますか?

正式な経路で転職先に伝わる可能性は極めて低いです。前の会社や退職代行業者が利用の事実を第三者に漏らせば、プライバシーの侵害として不法行為に該当し得ます。履歴書や面接で退職代行の利用を伝える義務もありません。ただし同業界の口コミ経由での伝達可能性は完全にはゼロにできません。

退職代行を使ったことが離職票に書かれますか?

書かれることはありません。離職票に記載されるのは、離職理由(自己都合・会社都合等)や賃金支払い状況など、雇用保険法施行規則で定められた情報のみです。退職の手段を記載する欄は存在しないため、退職代行の利用が離職票に反映されることはあり得ません。

退職代行を使ったら懲戒解雇にされますか?

退職代行の利用を理由とした懲戒解雇は、労働契約法16条に基づく解雇権の濫用として無効です。退職代行の利用は法的に認められた行為であり、それのみを理由に懲戒処分を行うことは許されません。そのような示唆を受けた場合はパワハラに該当する可能性もあるため、速やかに業者に報告してください。

労働組合と弁護士法人、どちらの退職代行が安全ですか?

どちらも非弁行為のリスクはなく安全です。ただし対応可能な範囲に差があります。労働組合は団体交渉権の範囲内(有給消化・退職日調整等)での交渉が可能ですが、訴訟代理や損害賠償請求はできません。弁護士法人はあらゆる法的手続きに対応可能で、法的トラブルが絡むケースでは弁護士法人が最適です。

会社が退職代行からの連絡を無視したらどうなりますか?

弁護士や労働組合が運営するサービスであれば、会社が無視し続けることは実質的に困難です。弁護士なら内容証明郵便の送付や法的手続き、労働組合なら団体交渉の申し入れにより、会社が対応せざるを得ない状況を作れます。民間企業の場合はこうした法的手段がないため、無視されるリスクが相対的に高くなります。

まとめ|正しい知識はあなたを恐怖から解放する

「違法かも」「訴えられるかも」「バレるかも」——これらの不安は、正しい法的知識がないことから生まれる漠然とした恐怖です。この記事を読んだあなたは、もうその恐怖に振り回される必要はありません。

整理しておきましょう。あなたの退職は民法627条で守られた正当な権利です。退職代行を利用してその意思を伝達してもらうことも、法的にまったく問題ない。違法リスクがあるのは、交渉権のない民間業者が非弁行為に踏み込んだ場合であり、それはあなた自身のリスクではなく業者のリスクです。

損害賠償で訴えられる可能性も、通常の退職であれば限りなくゼロに近い。ケイズインターナショナル事件のように例外的なケースは存在しますが、これは入社直後に連絡を絶って退職し取引先に実害が出たという極めて特殊な状況でした。退職代行を通じて正式に意思を伝達する形式は、むしろ「無断退職」や「バックレ」よりもはるかに法的にクリーンです。

ただし、2026年のモームリ逮捕事件が示したように、「弁護士監修」の看板があっても安全とは限りません。見るべきは「運営主体」。労働組合が運営するサービスか、弁護士法人が運営するサービスを選べば、あなたの法的リスクは限りなくゼロに近づきます。

正しい知識で武装し、恐怖ではなく事実に基づいた判断で、新しい未来への一歩を踏み出してください。

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