30代の転職で最も重要な関門、それが「書類選考」ですよね。
20代なら「ポテンシャル」で勝負できたかもしれません。でも、企業が30代に求めるのは「即戦力の証拠」なのです。あなたの10年以上のキャリアを、A4用紙数枚でどう魅力的に伝えるか。正直、これが30代転職の成否を分けるといっても過言ではないでしょう。
「特別な実績なんてない…」そう感じている方もいるかもしれませんね。でも実は、どんな経験も「数字」で語れば、驚くほど説得力が増すのです。
この記事のポイント
- 書類選考通過の鍵は実績の数値化
- 履歴書と職務経歴書の役割の違い
- 職種別テンプレートで即実践可能
- 採用担当者の目を引く書き方
この記事では、「履歴書」と「職務経歴書」の根本的な違いから、採用担当者の心を掴む書き方、さらには営業・事務・技術職の3職種でそのまま使える「職務経歴書テンプレート」まで、あなたの書類選考通過率を劇的に上げるための全知識をお伝えします。
30代の書類作成|「履歴書」と「職務経歴書」の根本的な違い

まず押さえておきたいのが、この2つの書類の役割です。ここを間違えると、せっかくのアピールがぼやけてしまうのですよね。
- 履歴書は正確な基本情報を伝える
- 職務経歴書は価値をアピールする
- 勝負が決まるのは職務経歴書
履歴書の役割を理解する
履歴書(JIS規格など)は、あなたの「基本情報」を正確に伝えるための公的書類です。氏名、年齢、住所、学歴、職歴、資格などを間違いなく伝えることが目的ですね。評価ポイントは正確性と丁寧さ。誤字脱字がないか、フォーマットが整っているかがチェックされます。
正直、履歴書で加点を狙うのは難しい。減点されないことが最優先だと考えましょう。
職務経歴書の本質とは
一方、職務経歴書は、あなたの「価値」をアピールするためのプレゼン資料なのです。これまでどんな経験を積み、どんな成果を出し、入社後にどう貢献できるかを売り込むことが目的ですね。
評価されるのは具体性、論理性、即戦力性。「何をやってきたか」「何ができるか」を明確に示す必要があります。
30代の転職活動において、勝負が決まるのは9割が「職務経歴書」だといえるでしょう。履歴書は「減点されない」ことが目的、職務経歴書は「加点を狙う」ことが目的。この違いを理解することが、書類作成の第一歩なのです。
30代の「履歴書」の書き方|基本と疑問を解消
履歴書は「正確さ」が命です。Web上で作成・印刷するのが一般的ですが、手書きを求める企業も稀にあるため、募集要項は必ず確認しましょう。
- 基本項目の正確な記載が必須
- 学歴は高校卒業から書く
- 職歴は簡潔に時系列で
履歴書の基本項目(学歴・職歴)
まず押さえておきたい基本項目について見ていきましょう。
日付は提出日を記載します。持参なら当日、郵送なら投函日、Webなら送信日ですね。写真は3ヶ月以内に撮影した、スーツ着用の証明写真を使いましょう。清潔感が何より重要です。
学歴については後述のFAQで詳しく解説しますが、高等学校卒業から書くのが一般的。職歴は会社名を略さず「株式会社〇〇」と正式名称で記載します。詳細は職務経歴書に譲り、「株式会社〇〇 入社」「一身上の都合により退職」と簡潔に書くのがポイントですね。
在職中の場合は「現在に至る」と記載。免許・資格は運転免許などを取得順に記載しましょう。
本人希望欄は、原則として「貴社規定に従います」と記載します。ただし、どうしても譲れない条件がある場合のみ簡潔に記載するのがマナーです。
履歴書FAQ①「学歴はいつから書くべき?」
これ、意外と迷う方が多いんですよね。
回答としては、高等学校卒業から書くのが最も一般的です。義務教育(小・中学校)は省略し、「〇〇高等学校 入学」「〇〇高等学校 卒業」から書き始めるのがビジネスマナーとして無難でしょう。
学歴が大学院卒などで欄が足りなくなる場合に限り、大学から記載することもあります。でも、迷ったら高等学校からと覚えておけば間違いないですね。
履歴書FAQ②「職務経歴書があるのに、履歴書の職歴欄には何を書く?」
これもよくある質問です。
回答としては、履歴書の職歴欄は「ダイジェスト」だと考えましょう。詳細を書く必要はありません。入社と退社(または在職中)の事実だけを時系列で記載すればOKです。
例えばこんな感じですね。
平成25年 4月 株式会社〇〇 入社
平成30年 3月 一身上の都合により退職
平成30年 4月 株式会社△△ 入社
現在に至る
以上
シンプルに、事実だけを記載する。これが履歴書の職歴欄の書き方なのです。
30代の「職務経歴書」の書き方|ここで差をつける!
ここからが本番です。職務経歴書は、あなたの「営業資料」だと考えましょう。フォーマットは自由ですが、A4用紙2〜3枚程度にまとめるのが一般的ですね。
- フォーマット選びが重要
- 職務要約で心を掴む
- 記載範囲は直近10年を重視
フォーマットを選ぶ(編年体式 vs キャリア式)
職務経歴書には、主に2つのフォーマットがあります。
編年体式(時系列)は、過去から現在に向かって、職歴を時系列に沿って書く最も一般的な形式です。メリットは、キャリアの変遷が分かりやすいこと。デメリットは、アピールしたい強みが後半にならないと出てこない場合があることですね。
キャリア式(逆編年体式)は、現在から過去に遡って書く形式。または、職務内容(例:「営業」「マーケティング」)ごとにまとめて書く形式です。メリットは、アピールしたい直近の経験や、特定の専門性を強調しやすいこと。デメリットは、経歴が分かりにくくなる場合があることでしょう。
30代にはどちらがおすすめか?キャリアアップ転職(同職種)なら、編年体式で着実にスキルアップしてきた流れを見せるのが有効です。キャリアチェンジ転職(異職種)なら、キャリア式を使い、応募職種で活かせるスキルを冒頭に持ってくるのが効果的といえますね。
採用担当者の目を引く「職務要約」
職務経歴書の冒頭には、必ず「職務要約」を100〜200文字程度で記載しましょう。多忙な採用担当者は、まずここを読んで、続きを読む価値があるかを判断するのです。
NG例を見てみましょう。「大学卒業後、〇〇業界で営業として3年間勤務しました。主に新規開拓を担当し、ガッツには自信があります。よろしくお願いいたします。」
これは20代風ですよね。熱意は伝わるけど、30代としては具体性がなさすぎる。
OK例はこちら。「大学卒業後、IT業界にて8年間、法人向けソリューション営業に従事。うち3年間はリーダーとして、5名のチームマネジメントも経験しました。一貫して『顧客の課題解決』を軸に活動し、個人として5期連続で売上目標120%を達成。チームとしても目標達成に貢献してきました。」
経験年数、業界、役割、強み、実績が簡潔にまとまっていますよね。これが30代の職務要約なのです。
職務経歴書FAQ「30代の職務経歴は、どこまで(何社前まで)書くべき?」
原則として、経験した職歴は「すべて」記載します。
ただし、力の入れ具合は「直近10年」あるいは「直近3社」に集中させましょう。採用担当者が知りたいのは「今、何ができるのか」ですから、10年以上前の新卒時代の経験を詳細に書く必要はないのです。
直近の会社(在職中)は最も詳細に。業務内容、役割、実績をしっかり書きましょう。2〜3社前の会社は中程度に。それ以前の会社は簡潔に、会社名、在籍期間、主な業務内容のみで十分です。
短期間(1年未満など)で離職した会社も、隠さずに記載するのが誠実ですね。ただし、理由は面接で聞かれるため、ポジティブな回答を準備しておきましょう。
【差別化点】実績を劇的にアピールする「数字」の使い方 (Before/After)
30代の職務経歴書で、実績を「数字」で語ることは絶対条件です。「頑張りました」「貢献しました」といった定性的な表現は、何の証拠にもなりません。
- 数字は説得力の源泉
- 職種別の数値化テクニック
- Before/Afterで差が歴然
「数字がない」と嘆く前に、自分の業務を「数値化」できないか、徹底的に考えてみましょう。
Before(NG例)→ After(OK例)
具体例で見ていきましょう。
【営業職】
Before: チームリーダーとして、メンバーの売上向上に貢献しました。
After: チームリーダー(5名)として、週1回の勉強会と月1回の1on1面談を実施。チーム全体の売上目標を前年比125%(2億5千万→3億1千万)で達成しました。
【事務職】
Before: 請求書発行業務のフローを見直し、効率化しました。
After: 従来の二重チェック体制を見直し、RPAツール(UiPath)の導入を提案。請求書発行にかかる月間作業時間を平均20時間削減(3名体制)し、ヒューマンエラーも0件に抑えました。
【技術職(ITエンジニア)】
Before: 既存システムの改修プロジェクトに参加しました。
After: 〇〇機能の改修プロジェクトにおいて、DBクエリのチューニングを担当。サーバー応答速度を平均0.8秒から0.3秒に短縮し、ユーザーの離脱率を5%改善しました。
【販売職】
Before: 在庫管理を徹底し、欠品を防ぎました。
After: POSデータを分析し、需要予測の精度を向上。主要商品の欠品率を10%から1%未満に改善し、機会損失を月間約50万円防ぎました。
違いは明らかですよね。数字を入れるだけで、これほど説得力が増すのです。
【テンプレート】コピペして使える!職種別・職務経歴書
ここでは、主要3職種(営業・事務・技術)の「編年体式」テンプレートを記載します。これをベースに、ご自身の経験を当てはめてみてください。
- 営業職のテンプレート
- 事務職のテンプレート
- 技術職のテンプレート
① 営業職(法人向けソリューション営業)テンプレート
2025年11月3日現在
氏名:〇〇 〇〇
【職務要約】
大学卒業後、株式会社〇〇にて8年間、法人向けソリューション営業に従事。新規開拓から既存顧客の深耕営業まで幅広く経験し、特に顧客の潜在課題のヒアリングと、それを解決する企画提案を得意としております。個人として5期連続で売上目標120%以上を達成し、直近3年間はチームリーダー(5名)として、チームの目標達成(3期連続達成)にも貢献してまいりました。
【職務経歴】
■2017年4月~現在 株式会社〇〇(事業内容:〇〇 / 従業員数:〇〇名)
所属:営業本部 第一営業部(2017年4月~2020年3月)
営業本部 第二営業部(リーダー)(2020年4月~現在)
[主な業務内容]
・中堅・大手企業(従業員数500名以上)への自社SaaS製品の提案営業
・顧客の経営課題(業務効率化、コスト削減等)のヒアリングとソリューション提案
・既存顧客(約30社担当)へのアップセル・クロスセル提案
・チームマネジメント(5名)、メンバーの育成、KPI進捗管理(2020年~)
・営業戦略の立案、予実管理
[主な実績]
・2021年度~2023年度:個人売上目標 120%以上を連続達成(2023年度は135%で社内MVP受賞)
・2023年度:新規大型案件(年間5,000万円規模)を2件受注
・2022年度:担当チーム(5名)の売上目標を122%で達成(リーダーとして)
・2021年度:既存顧客からのアップセル・クロスセルにより、LTV(顧客生涯価値)を前年比130%に向上
【活かせる経験・スキル】
・法人向けソリューション営業(8年)
・新規開拓および既存顧客の深耕営業
・チームマネジメント(5名、3年)
・課題解決型の提案資料作成、プレゼンテーションスキル
【資格】
・普通自動車第一種運転免許(2015年)
・セールススキル検定 2級(2019年)
【自己PR】
私の強みは「課題の本質を捉え、粘り強く解決に導く実行力」です。現職では、単なる製品売りではなく、顧客の事業パートナーとして伴走することを信条としております。あるクライアントが「コスト削減」を希望された際、ヒアリングを重ねた結果、真の課題は「属人化された業務フローによる生産性の低下」にあると特定しました。そこで、自社製品の導入に加え、業務フロー全体の再設計とRPAツールの連携を提案。導入後も3ヶ月間の伴走サポートを実施した結果、対象業務の工数を40%削減することに成功し、「〇〇さんのおかげで、本来のコア業務に集中できるようになった」とのお言葉をいただきました。この経験で培った課題発見力と実行力を活かし、貴社の〇〇事業の拡大に貢献できるものと確信しております。
② 事務職(営業事務・業務改善)テンプレート
2025年11月3日現在
氏名:〇〇 〇〇
【職務要約】
短大卒業後、2社にて計10年間、営業事務および一般事務として従事。受発注管理、請求書発行、売上データ集計などの定型業務に加え、ExcelマクロやRPAツールの導入を主導し、業務効率化・標準化の推進にも貢献してまいりました。常に「どうすればもっと効率的になるか」を考え、主体的に行動できるサポート体制の構築を得意としております。
【職務経歴】
■2018年4月~現在 株式会社△△(事業内容:〇〇 / 従業員数:〇〇名)
所属:営業部 営業サポート課(5名)
[主な業務内容]
・営業担当(20名)のサポート業務全般
・受発注管理、納期調整、在庫管理
・請求書、見積書、契約書の作成・管理
・売上データ集計、営業資料作成(Excel, PowerPoint)
・業務フローの改善、マニュアル作成
[主な実績]
・2022年:Excelマクロの導入を提案・実行し、月次売上報告書の作成時間を月間15時間削減
・2023年:RPA(UiPath)を独学で習得し、請求書発行業務を自動化。月間20時間の工数削減と、ヒューマンエラー0件を実現
・2024年:新人事務員向けの業務マニュアル(50ページ)を作成し、OJT期間を従来の1ヶ月から2週間に短縮
■2015年4月~2018年3月 株式会社〇〇(事業内容:〇〇 / 従業員数:〇〇名)
所属:総務部
[主な業務内容]
・電話、来客対応
・備品管理、発注
・経費精算処理
【活かせる経験・スキル】
・営業事務実務経験(7年)
・PCスキル(Word, Excel [VLOOKUP, ピボットテーブル, マクロ], PowerPoint)
・RPAツール(UiPath)の基本操作、構築
・業務改善提案・実行スキル
【資格】
・MOS Excel 2019 Expert(2020年)
・日商簿記検定 3級(2021年)
【自己PR】
私の強みは「主体的に課題を発見し、業務改善を推進する実行力」です。現職では、営業担当者から依頼される業務をこなすだけでなく、営業部全体の生産性を上げるためのサポートを意識してまいりました。特に、毎月手作業で行っていた売上集計レポートは、作成に時間がかかる上にミスも発生しやすいことが課題でした。そこで、Excelマクロを独学で習得し、データ集計からレポート出力までを自動化するツールを作成。これにより、作業時間を月間15時間削減し、営業担当者がリアルタイムで正確な数字を把握できる環境を整えました。この経験で培った業務改善スキルと主体性を活かし、貴社の管理部門においても、業務効率化と組織力強化に貢献していきたいと考えております。
③ 技術職(Webエンジニア)テンプレート
2025年11月3日現在
氏名:〇〇 〇〇
【職務要約】
大学卒業後、SIerにて3年間、基幹システムの開発・運用を経験。その後、事業会社(現職)に転職し、Webエンジニアとして5年間、自社サービスの開発に携わってまいりました。主にサーバーサイド(PHP/Laravel)を担当し、機能設計から実装、テスト、運用保守まで一貫して経験。直近2年間はテックリードとして、若手エンジニアのコードレビューや技術選定にも関わっております。
【職務経歴】
■2020年10月~現在 株式会社△△(事業内容:自社Webサービス運営 / 従業員数:〇〇名)
所属:開発部 サービス開発グループ(テックリード)
[主な業務内容]
・自社ECサイト(〇〇)のサーバーサイド開発(PHP/Laravel)
・新規機能の要件定義、設計、実装、コードレビュー、テスト
・AWSを用いたインフラ構築・運用保守
・開発効率化のためのCI/CD環境構築
・若手エンジニア(3名)の技術指導、コードレビュー
・開発手法:アジャイル(スクラム)、ウォーターフォール
[主なプロジェクト]
・(2023年)レコメンド機能開発プロジェクト(PL / 5名)
- 概要:ユーザーの購買履歴に基づき、AIを用いたレコメンド機能を実装
- 担当:要件定義、技術選定、設計、実装
- 成果:導入後、クロスセル率が前月比130%に向上
・(2022年)サイトパフォーマンス改善
- 概要:N+1問題の解消、DBクエリのチューニング
- 担当:ボトルネックの調査、改修
- 成果:平均応答速度を1.2秒から0.4秒に改善
■2017年4月~2020年9月 株式会社〇〇(事業内容:システムインテグレーション)
所属:システム開発部
[主な業務内容]
・金融系基幹システムの開発・運用保守(Java, Oracle)
・詳細設計、プログラミング、単体テスト、結合テスト
【活かせる経験・スキル】
・言語:PHP (Laravel) [5年], Java [3年], JavaScript [3年]
・DB:MySQL [5年], Oracle [3年]
・インフラ:AWS (EC2, S3, RDS, Lambda) [4年]
・その他:Git, Docker, Jenkins
・テックリードとしてのチームリード、コードレビュー経験(2年)
【資格】
・基本情報技術者試験(2017年)
・AWS認定ソリューションアーキテクト アソシエイト(2022年)
【自己PR】
私の強みは「ビジネスの成長を加速させるための、技術的な課題解決力」です。現職では、単に仕様書通りに開発するだけでなく、常に「この機能は本当にユーザーの課題を解決し、事業の成長に繋がるか」という視点を持つことを心がけております。ECサイトのカート離脱率が課題となった際、開発チームとしてデータ分析から参画。離脱原因が決済フローの複雑さにあると突き止め、ワンクリック決済の導入を企画部門に逆提案しました。技術的なハードルは高かったものの、外部APIとの連携を主導し、セキュリティを担保した形で実装を完遂。結果、カート離脱率を15%改善し、ECサイト全体の売上向上に大きく貢献できました。今後は、より大規模なトラフィックを捌く貴社のサービスにおいて、これまでの経験を活かし、事業成長に技術で貢献していきたいと考えております。
30代の「自己PR」の書き方|何をアピールすべきか
職務経歴書の「自己PR」欄は、あなたの強みを凝縮して伝える場です。30代がアピールすべきは、主に以下の3点といえるでしょう。
- 専門性を前面に出す
- マネジメント経験を示す
- 課題解決能力を証明する
30代が押さえるべき3つのポイント
専門性については、「〇〇の領域なら誰にも負けない」という、経験に裏打ちされた深い知識とスキルをアピールしましょう。
マネジメント・リーダーシップは、役職がなくても構いません。「後輩の指導経験」「プロジェクトのリーダー経験」など、チームを動かした経験があれば十分ですね。
課題解決能力は、「〇〇という課題に対し、△△という工夫で乗り越えた」という、自走できる力を示すことが重要です。
職種別・自己PR例文(PREP法)
PREP法(結論→理由→具体例→貢献)を使った例文を見ていきましょう。
【営業職】
【P】結論:私の強みは「顧客との長期的な信頼関係を構築し、潜在ニーズを引き出す力」です。
【R】理由:8年間の営業活動で、目先の売上よりも、顧客の事業成功に寄り添うことを第一にしてきたからです。
【E】具体例:現職では、担当変更で引き継いだ売上の低い顧客に対し、3ヶ月間、足繁く通って情報提供とヒアリングを重ねました。その結果、顧客が「コスト削減」という真の課題を抱えていることを突き止め、それに特化したサービスを提案。結果、その顧客からの売上を前年比500%に伸ばし、3年続く主要取引先へと成長させることができました。
【P】貢献:この「信頼構築力」と「課題発見力」を活かし、貴社の〇〇事業においても、顧客と強固な関係を築き、継続的な売上拡大に貢献します。
【事務職】
【P】結論:私の強みは「業務のボトルネックを発見し、主体的に改善する実行力」です。
【R】理由:10年間の事務経験の中で、常に「定型業務の先にいる、営業やお客様の役に立つこと」を意識してきたからです。
【E】具体例:営業からの見積書作成依頼が、月末に集中し、ミスや遅延が発生していることが課題でした。そこで、依頼フォーマットを統一し、RPAツールを導入して作成プロセスの一部を自動化することを提案・実行しました。結果、見積書作成にかかる時間を1件あたり平均15分から3分に短縮し、営業担当者が本来の営業活動に集中できる環境を整えました。
【P】貢献:この「業務改善力」と「主体性」を活かし、貴社の管理部門においても、バックオフィスから事業の成長を力強くサポートしていきたいと考えております。
【技術職(キャリアチェンジ)】
【P】結論:私の強みは「論理的思考力と、目標達成に向けた粘り強さ」です。
【R】理由:前職の経理業務で培った「数字に基づきロジカルに考える力」と、独学でプログラミングを習得した「自走力」には自信があるからです。
【E】具体例:前職では、月次決算の早期化プロジェクトにおいて、各部署のデータ連携の課題を洗い出し、論理的に整理することで、決算日を2営業日早めることに貢献しました。その過程でITシステムの重要性を痛感し、プログラミング学習を開始。現在までに500時間以上を費やし、学習したPHPとLaravelを用いて、自ら〇〇というWebアプリケーションを開発いたしました。
【P】貢献:経理で培った「論理的思考力」と、独学で培った「技術力」を掛け合わせ、未経験ではございますが、一日も早く貴社のエンジニアとして貢献できるよう、貪欲に知識を吸収していく所存です。
書類作成を強力にサポートする「裏技」
最高の職務経歴書を作るには、一人で完結させないことがポイントですね。
- プロの壁打ちを活用
- 自己分析を書類に反映
1. 転職エージェントに「壁打ち」を依頼する
完成したら、必ず転職エージェントのプロに見てもらいましょう。彼らは「何千通もの書類を見てきた採用のプロ」です。「この表現は伝わりにくい」「この実績はもっとアピールすべき」といった、客観的で的確なフィードバックをくれます。
この「壁打ち」こそが、書類の質を飛躍的に高める最大の裏技なのです。
2. 自己分析の結果をそのまま書き写す
「自分の強みやエピソードが思いつかない…」という方は、自己分析が足りていない証拠です。自己分析(キャリアの棚卸し)で書き出した「Will-Can-Must」や「モチベーショングラフ」は、そのまま職務経歴書や自己PRの材料になります。
先に自己分析をしっかりやっておくことで、書類作成がスムーズになるのです。
よくある質問
- PC作成と手書き、どちらが良いですか?
-
原則PC作成で全く問題ありません。30代のビジネスパーソンとして、基本的なPCスキルがあることを示す意味でも、PC作成が推奨されます。手書きを指定された場合や、字の綺麗さに自信がある場合を除き、読みやすく修正も簡単なPC(WordやExcel)で作成しましょう。
- 添え状(送付状)は必要ですか?
-
必須ではありませんが、あった方が丁寧な印象を与えます。特に郵送の場合は、ビジネスマナーとして同封するのが一般的です。A4一枚に、簡単な挨拶と、同封書類(履歴書1通、職務経歴書2枚など)を記載します。Web応募の場合は不要です。
- 履歴書や職務経歴書に、希望年収は書くべきですか?
-
原則として「書かない」ことを推奨します。書類選考の段階で年収を限定すると、それだけで足切りされるリスクがあるからです。希望年収は、面接の終盤や内定後の交渉の場で、あなたの実績やスキルをアピールした「後」に伝えるのが最も効果的です。
まとめ:書類は、あなたの「未来への提案書」である
30代の転職活動において、履歴書と職務経歴書は、あなたの「過去の記録」ではありません。
それは、採用担当者に対し、「私を採用すれば、あなたの会社にこれだけの価値をもたらせます」と提示する、未来への「提案書」なのです。
この記事で紹介したテンプレートや「数字」の使い方を武器に、あなたの10年以上のキャリアを、最も魅力的な提案書に仕立て上げてください。
完璧な書類が準備できれば、面接への自信も自ずと湧いてくるはずです。あなたの素晴らしいキャリアが、正当に評価されることを心から願っています。



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