この記事の結論
20代で転職回数が2回、3回と多いことは、伝え方次第で「不利」ではなく「ユニークな強み」に変わります。
面接官の「またすぐ辞めるのでは?」という不安を払拭する鍵は、バラバラに見える職歴を「一貫性のあるキャリアストーリー」として語ること。「多様な環境への適応力」や「主体的なキャリア形成意欲」の証としてアピールできれば、むしろ他の候補者との差別化が可能です。この記事で、その具体的なストーリーの作り方を解説します。
この記事のポイント
- 転職回数は伝え方が9割
- 面接官の不安を先回り
- キャリアストーリーが武器
- 軸は一つじゃなくていい
- 短期離職は学びに変える
- ジョブホッパーは褒め言葉
「またすぐ辞めると思われる…」その不安、まずは受け止めよう

- 職歴の多さへの焦りは当然
- 回数は能力否定ではない
- 価値を伝える方法が鍵
「面接で、職歴の多さを突っ込まれたらどうしよう…」
「20代で、もう3社目…」
「面接で、職歴の多さを突っ込まれたらどうしよう…」
「自分は”ジョブホッパー”なんだろうか…」
転職活動を進める中で、増えていく職歴の数に、焦りや不安を感じていませんか?周りの友人が一つの会社で着実にキャリアを積んでいるのを見ると、まるで自分だけが道を踏み外しているように感じてしまうかもしれませんね。
転職回数が多いことは、あなたの人間性や能力を否定するものではない
その不安、痛いほど分かります。しかし、まず最初に伝えたいのは、転職回数が多いことは、あなたの人間性や能力を否定するものではないということです。むしろ、それだけ多くの環境を経験し、変化に対応してきたことは、これからの時代を生き抜く上で大きな財産になり得ます。
問題は、その価値をあなた自身が信じきれていないこと、そして、その価値を採用担当者にうまく伝えられていないこと、ただそれだけなのです。この記事で、あなたの職歴という”原石”を、面接官の心を動かす”宝石”へと磨き上げる方法を一緒に学んでいきましょう。
なぜ企業は転職回数を気にするのか?面接官の”本音”を知る

- 定着性への懸念がある
- 適応力への疑問を持つ
- キャリアプラン欠如を心配
対策を立てる前に、まずは敵(面接官)の視点を理解しましょう。彼らが転職回数が多い候補者に対して、主に懸念しているのは以下の3点です。
定着性への懸念
「採用コストをかけても、またすぐに辞めてしまうのではないか?」
ストレス耐性・適応力への懸念
「何か問題があると、解決しようとせず環境のせいにして辞めてしまう人ではないか?」
キャリアプランの欠如への懸念
「場当たり的に仕事を選んでいて、長期的な視点がないのではないか?」
つまり、あなたが面接で語るべきは、この3つの懸念を完全に払拭し、安心させるストーリーなのです。「私は、これまでの経験を通じて確固たる軸を見つけ、腰を据えて貴社に貢献したいと考えています」というメッセージを、論理的に伝えることがゴールです。

不利を強みに変える「キャリアストーリー」構築の3ステップ

- 点の整理から始める
- 線の発見で繋げる
- 未来への投影で完成
ここからが本題です。バラバラに見えるあなたの職歴を、一貫した魅力的な物語に変えるための具体的な3つのステップを解説します。
STEP1:【点の整理】各職務経験で得た「スキル」と「学び」を棚卸しする
まずは、過去の職歴の一つ一つを「点」として、そこで何を得たのかを客観的に洗い出します。どんなに短い期間でも、どんなに不本意な退職理由でも構いません。
【ワークシート】
会社 | 職種 | 在籍期間 | 担当業務 | 得たスキル・知識 | 成功体験 / 失敗体験からの学び |
---|---|---|---|---|---|
1社目 | 〇〇 | 2年 | 新規営業 | ・ヒアリング力 ・粘り強さ | 顧客の潜在ニーズを引き出す重要性を学んだ |
2社目 | △△ | 1年 | 営業企画 | ・データ分析力 ・企画書作成スキル | 営業現場の感覚とデータの両方が必要だと痛感 |
3社目 | ×× | 8ヶ月 | Webマーケ | ・SEOの基礎知識 ・広告運用スキル | 施策の結果を数字で追う面白さを知った |
▼「点」の解像度を上げるために
この棚卸し作業は、自己分析そのものです。もし「どんなスキルが得られたか分からない」と手が止まってしまったら、以下の記事を参考に、より深く自分の経験を掘り下げてみましょう。
➡️ 【保存版】20代のための自己分析やり方ガイド|簡単3STEPで強み・やりたいことを見つける魔法のシート付
STEP2:【線の発見】点と点を繋ぐ、あなただけの”一貫した軸”を見つける
- 目的軸で繋ぐ方法
- プロセス軸で繋ぐ方法
- スタンス軸で繋ぐ方法
STEP1で洗い出した「点」を眺め、それらを繋ぐ「共通項=線」を探します。この”軸”は、必ずしも「〇〇業界で働き続けた」といった分かりやすいものである必要はありません。
【”軸”を見つける多様な切り口】
目的軸の例:
「1社目の営業では顧客の声を直接聞き、2社目の企画ではその声を形にし、3社目のマーケティングではより多くの顧客に届ける方法を模索してきました。私の一貫した目的は、『顧客の課題を解決し、ビジネスを成長させる』ことです。」
プロセス軸の例:
「私はこれまで、常に『データを分析し、仮説を立て、実行し、改善する』というプロセスを重視して仕事に取り組んできました。それは営業でも、マーケティングでも一貫しています。」
スタンス軸の例:
「私は、常に現状に満足せず、『新しい知識やスキルを積極的に学び、挑戦する』ことを信条としてきました。だからこそ、未経験の分野にも果敢に飛び込んできたのです。」
どうでしょう?このように視点を変えれば、あなたのキャリアにも、必ず一貫した”軸”が見つかるはずです。
STEP3:【未来への投影】その”軸”が、志望企業でどう活きるかを語る
最後に、見つけ出した”軸”が、なぜ次に入社する会社でこそ活きるのか、その会社でなければならない理由を語り、未来へと繋げます。
【ストーリー完成例(目的軸の場合)】
「私はこれまで、営業、営業企画、Webマーケティングと3つの職種を経験してまいりました。一見、バラバラに見えるかもしれませんが、私の中では一貫して『顧客の課題を解決し、ビジネスを成長させる』という目的意識を持って取り組んできました。
1社目の営業では顧客の生の声を聞く重要性を、2社目の企画ではその声をサービスに反映させるプロセスを、そして3社目のマーケティングでは、その価値をより広く届ける手法を学びました。
これら3つの視点を複合的に持つ私だからこそ、御社の〇〇というポジションにおいて、顧客を深く理解した上で、事業全体を俯瞰したマーケティング戦略を立案・実行できると考えております。これまでの多様な経験は、全て御社で貢献するための準備期間だったと確信しております。」
【実践編】職務経歴書への書き方と面接での伝え方

- 職務要約でストーリー提示
- 面接では自信を持って語る
- 熱意が伝わる表現を使う
完成したキャリアストーリーを、実際の選考でどう表現するかを見ていきましょう。
職務経歴書では「職務要約」でストーリーを語る
職務経歴書の冒頭にある「職務要約」が、あなたのキャリアストーリーを提示する絶好の場所です。
【職務要約 記入例】
大学卒業後、株式会社〇〇にて新規営業として顧客の課題解決に従事してまいりました。その後、より上流の企画職、さらにWebマーケティングと、一貫して「顧客視点での事業成長」を軸にキャリアを積んでおります。営業で培った現場感覚、企画で身につけた分析力、マーケティングで得たデジタル領域の知見を融合させ、貴社の〇〇事業の拡大に貢献できるものと考えております。
▼職務経歴書全体のブラッシュアップ
職務要約以外の部分も含め、転職回数が多くても魅力的に見える書類の作り方は、以下の記事で詳しく解説しています。
➡️【未経験OK】20代の職務経歴書の書き方|選考通過率が3倍になるテンプレート付
面接では、自信と熱意を持ってストーリーを自分の言葉で語る
面接では、丸暗記した文章を読み上げるのではなく、STEP3で完成させたストーリーを、自信を持って自分の言葉で語ることが重要です。
面接官から「なぜ、そんなに多くの会社を経験されているのですか?」と質問されたら、それはチャンスです。待ってましたとばかりに、あなたのキャリアストーリーを熱意を持って語りましょう。
よくある質問
- Q1. 在籍期間が1年未満の「短期離職」があります。どう説明すれば…?
-
まずは、事実を正直に認め、反省の弁を述べることが誠実です。「自身の企業研究不足により、入社前に聞いていた業務内容と実際の業務に大きなギャップがありました。この経験から、転職活動においては、事業内容だけでなく、具体的な業務内容や組織文化まで深く理解することの重要性を痛感しました」のように、失敗から得た学びと、次の転職活動にどう活かしているかをセットで語りましょう。
- Q2. 面接で「うちは大丈夫?またすぐ辞めない?」と聞かれたら?
-
最高の切り返しは、明確な入社意欲とキャリアストーリーを示すことです。「ご懸念はもっともだと思います。しかし、これまでの経験があったからこそ、私の中で『〇〇』という確固たるキャリアの軸が定まりました。その軸と、御社の〇〇というビジョンが完全に一致しているからこそ、今回強く惹かれております。だからこそ、今度こそ腰を据えて、長期的に貢献したいという気持ちは誰よりも強いです。」と、熱意を持って伝えましょう。
- Q3. ストーリーを作ろうとしても、どうしても「ただ逃げただけ」に思えてしまいます。
-
それでも大丈夫です。重要なのは、その「逃げた」という経験から何を学んだかです。例えば、「当時の私には、厳しい環境を乗り越える力が不足していました。しかし、その悔しさから、次の会社では〇〇というスキルを必死で身につけ、どんな状況でも成果を出せるよう努力しました」というように、過去の未熟さと、その後の成長をセットで語れば、それは立派な成長ストーリーになります。
まとめ:あなたのキャリアは、あなただけの物語
転職回数の多さは、決して恥じることではありません。それは、あなたが常に現状に満足せず、より良い環境を求めて行動し続けてきた証です。
大切なのは、その行動の裏にある、あなただけの”想い”や”軸”を、あなた自身の言葉で物語として紡ぐこと。
この記事で紹介した3つのステップを使えば、あなたの職歴は、もはや弱点ではなく、他の誰にも真似できない、あなただけのユニークな強みになるはずです。
自信を持って、あなたの物語を語ってください。
■ 公式/参考URL一覧
- 厚生労働省 | 確かめよう労働条件
- 権威性: 短期離職の背景には、労働条件のミスマッチも考えられます。厚生労働省が運営するこのサイトは、労働条件の確認に関する公的な情報源であり、読者が次の転職で失敗しないための客観的な指標を提供します。
- 独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT) | 若年者のキャリアと転職に関する調査
- 権威性: 20代の転職行動やキャリア意識に関する客観的なデータを提供しており、「20代の転職は珍しくない」という背景を示す上で信頼性の高い情報源です。キャリア形成に関する様々な調査結果は、ストーリー構築のヒントにもなります。
コメント