「社会学のレポートなら1万字書ける。でも、ビジネスメールの書き方は1行も知らない」
「サークルの後輩には頼られる。でも、会社の電話がかかってきたら、きっと固まる」

大学3年の夏。周りがインターンシップやOB訪問で騒がしくなる中、僕の心の中は、そんな漠然とした、しかし確かな不安で満ち溢れていました。僕はいわゆる”典型的な文系大学生”。ディスカッションは得意だ。論文も書ける。でも、社会に出て、会社という場所で、僕に一体何ができるんだろう?



そんな時、半信半疑で飛び込んだのが、時給1,700円の「長期オフィスワーク派遣」の世界でした。これは、電話の呼び出し音にさえビクビクしていた僕が、1年後、Excelの関数を操り、自信を持ってビジネス電話をとり、最終的に第一志望の企業から内定を勝ち取るまでの、七転八倒の「成長記録」です。
この記事のポイント
- 文系学生こそ最適: 実務経験の不足を補い、社会人基礎力を養う絶好の機会
- 時給相場: 1,600円〜2,000円(東京/2025年9月現在)専門スキルが身につく対価として高水準
- 成長の軌跡: 電話恐怖症の克服から、ExcelのVLOOKUP関数マスターまで、スキルは段階的に習得可能
- 得られるスキル: ビジネスマナー、PCスキル(Excel, Word, PP)、問題解決能力、コミュニケーション能力
- 長期派遣が鍵: 短期では得られない深いスキルと信頼関係は、長期契約ならではのメリット
- 研修制度が味方: 大手派遣会社なら、未経験者向けのPC研修やマナー研修が充実している
- 就活への絶大な効果: 履歴書に書ける「職歴」と、面接で語れる「具体的な成長エピソード」が手に入る
【Before】僕のスタート地点:意識高い系、スキルゼロの文系大学生



まず、1年前の僕のスペックシートを正直に公開します。典型的な文系大学生の実態をありのままお見せしましょう。
- 所属: MARCHの社会学部3年生
- Word: レポートが書けるレベル
- Excel: 合計(SUM)の出し方を知っている程度。表の作り方も怪しい
- PowerPoint: ゼミの発表で使えるレベル
- ビジネススキル: ゼロ。敬語も怪しい。電話は99%LINE通話



まさに、スキルセットは空っぽ。そんな僕が、【大学生向け派遣会社の選び方】を参考に、研修制度が手厚いと評判の大手派遣会社に登録したのが、すべての始まりでした。
なぜオフィスワーク派遣を選んだのか
コンビニや居酒屋のアルバイトとは違い、オフィスワーク派遣には明確な目的がありました。それは「社会で通用するスキルを身につけたい」という切実な想いです。
文系大学生の多くが抱える不安は「自分に何ができるのか分からない」ということ。理系の学生なら専門知識という武器がある。でも文系は?ディスカッションが得意?論文が書ける?それって、本当に社会で役立つの?
そんな漠然とした不安を抱えていた僕にとって、オフィスワーク派遣は「実際の職場で、リアルなスキルを身につけられる場所」として映ったのです。
派遣会社選びで重視したポイント
初心者の僕が派遣会社を選ぶ際に重視したのは、以下の3つのポイントでした。
- 研修制度の充実度: 未経験者向けのPC研修やビジネスマナー研修があるか
- 大学生の受け入れ実績: 学業と両立しやすい環境が整っているか
- 長期案件の豊富さ: 短期ではなく、じっくりスキルを身につけられる案件があるか
結果的に選んだのは、研修制度が最も充実していた大手派遣会社でした。この選択が、後の成長に大きく影響することになります。
【第一の関門】鳴り響く悪魔の呼び鈴「電話対応」との戦い
派遣先は、都内にある中堅のIT企業。僕の最初のミッションは、部署内のサポート業務でした。そして、着任初日に最大の恐怖が訪れます。
「〇〇(僕の名前)君、電話鳴ってるから取って!」
心臓が跳ね上がりました。知らない相手と、正しい敬語で話す。しかも会社の代表として。考えただけで、手のひらに汗が滲みます。
電話恐怖症との壮絶バトル
最初のうちは、取次ぎだけで精一杯でした。「少々お待ちください」を連発し、保留ボタンを押す指は震えていました。
- 第1週目: 電話が鳴るたびに手が震える。保留ボタンを探すのに5秒かかる
- 第2週目: 先輩の電話対応をメモし始める。定型文を覚え始める
- 第3週目: 基本的な取次ぎができるようになる。でもまだ緊張する
- 第4週目: 自然な電話対応ができるようになる。むしろ楽しくなってくる
しかし、毎日のように電話を取り、先輩社員の完璧な言い回しをメモし、真似るうちに、少しずつ恐怖心は薄れていきました。「型」を身につけることで、自信が生まれたのです。
ビジネス電話の「型」をマスター
1ヶ月後、僕は自信を持ってこう話せるようになっていました。
「お電話ありがとうございます。株式会社〇〇、△△部、わたくし〇〇が承ります」
「恐れ入ります、〇〇はただいま席を外しております。戻り次第、こちらから折り返しお電話するよう申し伝えますが、いかがでしょうか」
この「型」を身につけたことで、僕は社会人とのコミュニケーションにおける、最初の「共通言語」を手に入れたのです。これは後の面接でも大きな武器となりました。
電話対応で学んだビジネスマナーの基礎
電話対応を通じて身についたのは、単なる話し方だけではありませんでした。
- 相手の立場に立って考える力: 忙しい中電話をくれた相手への配慮
- 的確な情報伝達力: 必要な情報を過不足なく伝える技術
- 臨機応変な対応力: 想定外の質問や要求への対処法
- プレッシャー耐性: 緊張する場面でも冷静さを保つ能力
これらのスキルは、どんな職種についても必要となる「社会人基礎力」そのものでした。



電話恐怖症だった僕が、1ヶ月でここまで成長できたのは、実践の場があったからこそです。
【最大の敵】僕を覚醒させたラスボス「Excel」との激闘
電話対応に慣れてきた頃、僕の前に、次なる、そして最大の敵が立ちはだかりました。それが「Excel」です。
社員さんから「ごめん、このデータ、商品カテゴリ別にまとめて、先月の売上と比較するグラフ作っておいてくれる?」と言われた時、僕の頭の中は真っ白になりました。
「VLOOKUP…?ピボットテーブル…?何語ですかそれは…?」
ここから、僕のExcelとの長い戦いが始まりました。
Lv.1:ひたすら入力する「写経」の日々
最初の1ヶ月は、手書きのアンケート結果や売上伝票を、ひたすらExcelシートに入力する日々。まさに「写経」でした。
しかし、この単純作業を通じて、ショートカットキーの使い方や、効率的なデータ入力の作法を体で覚えました。
- Ctrl+C、Ctrl+V: コピー&ペーストの基本
- Ctrl+Z: 間違いを取り消す魔法のキー
- Ctrl+矢印キー: データの端まで一瞬で移動
- Alt+Enter: セル内での改行
これらの基本操作を覚えただけで、作業効率は格段に向上しました。最初は1時間かかっていた入力作業が、30分で終わるようになったのです。
Lv.2:関数の意味を知る「解読」のフェーズ
「このVLOOKUPってやつを使えば、僕が今30分かけてやっている照合作業が、3秒で終わるらしい…」



僕は、休憩時間や家に帰ってから、ネットや本で必死に関数を勉強しました。派遣会社の無料eラーニングも使い倒しました。
そして、初めて`=VLOOKUP(A2, Sheet2!$A:$B, 2, FALSE)`の数式が正しく動いて、膨大なデータが一瞬で整理された時の感動は、大学のどんな講義よりもエキサイティングでした。
習得した関数 | 用途 | 習得にかかった時間 |
---|---|---|
SUM, AVERAGE | 基本的な計算 | 1週間 |
VLOOKUP | データの照合・検索 | 2週間 |
IF | 条件分岐 | 1週間 |
COUNTIF, SUMIF | 条件付き集計 | 1週間 |
ピボットテーブル | データ分析・集計 | 3週間 |
Lv.3:データを操る「錬金術」の領域へ
IF、COUNTIF、SUMIF…。関数という名の魔法をいくつか覚えた僕は、社員さんから頼まれた作業を、求められた以上のクオリティとスピードで仕上げられるようになりました。
社員さん: 「この前のデータ、すごく分かりやすかったよ!ありがとう!」
この一言が、何よりの報酬でした。僕は、ただの作業員から、「データを価値ある情報に変えることができる人材」へと、ほんの少しだけ進化できたのです。
この経験は、【大学生でも派遣社員になれる?】で触れられている「派遣社員」としての自信と職歴に繋がりました。
【報酬とやりがい】時給1700円以上に得た、お金で買えないもの
もちろん、金銭的な報酬も大きなモチベーションでした。
時給1,700円 × 7時間/日 × 15日/月 = 月収 178,500円
この安定した収入は、僕の大学生活に大きな余裕をもたらしてくれました。しかし、1年間の長期派遣を終えてみて、僕が本当に得たものは、お金以上に価値のあるものでした。
①「何でも聞いていい」という特権
大学生の派遣スタッフは、「知らなくて当たり前」という目で見てもらえます。だからこそ、「これはどういう意味ですか?」「なぜこの作業が必要なんですか?」と、新入社員でも聞きにくいような本質的な質問を、臆することなくできました。
この「質問する権利」は、実は非常に貴重です。社会人になってしまうと、「こんなことも知らないの?」と思われるのが怖くて、聞けなくなってしまうことも多いからです。
- 業界の専門用語: IT業界の基本的な用語や概念
- ビジネスの流れ: 企画から実行までのプロセス
- 組織の仕組み: 各部署の役割や連携方法
- 社会人のマナー: メールの書き方から会議の進め方まで
②「信頼される」という喜び
最初は「あそこの大学生」だった僕が、半年後には「〇〇君」と名前で呼ばれ、「この件、〇〇君に任せよう」と、徐々に責任のある仕事を任せてもらえるようになりました。
このプロセスは、【No.11 大学生が派遣で失敗しないための心構え5箇条】を実践し、信頼を積み重ねた結果であり、何物にも代えがたい喜びでした。
信頼されるまでの道のりは以下の通りです:
- 1-2ヶ月目: 与えられた作業を正確に、期限内に完了させる
- 3-4ヶ月目: 作業の品質向上と効率化の提案をする
- 5-6ヶ月目: 他の業務にも積極的に関わり、チームの一員として認められる
- 7-12ヶ月目: 重要なプロジェクトの一部を任される
③「社会」という名のリアルな教科書
会議で飛び交う専門用語、社員さんたちのリアルな働き方、業界の最新動向。オフィスは、社会の縮図です。ここで過ごした1年間は、どんなOB訪問よりもリアルな企業研究になりました。
特に印象的だったのは、以下のような「教科書には載っていない」リアルな学びでした。
- チームワークの重要性: 一人では絶対に成し遂げられない大きな目標に向かって協力する醍醐味
- 顧客視点の大切さ: すべての業務の根底にある「お客様のため」という思想
- スピードと品質の両立: 限られた時間の中で最高のパフォーマンスを発揮する技術
- 継続的な学習の必要性: 技術の進歩に合わせて常にスキルアップし続ける姿勢
【最終章】僕の就職活動はどう変わったか?
そして、僕の成長物語は、就職活動という最終章で、最高の結果を迎えます。
面接で、僕は自信を持ってこう語っていました。


面接での武器となった具体的エピソード
「私は1年間、IT企業でのオフィスワーク派遣を通じて、実務レベルでのExcelスキルと、ビジネスコミュニケーション能力を習得しました。特に、5万行に及ぶ顧客データを、VLOOKUP関数やピボットテーブルを用いて分析し、営業戦略会議の資料作成を補助した経験では、データを元に課題を発見し、解決策を提案するプロセスの一端を担うことができました。」
机上の空論ではない、実体験に基づいた具体的なエピソード。それは、他の多くの文系学生が語れない、僕だけの「武器」でした。
電話対応で身についたコミュニケーション力
電話対応で鍛えた丁寧な言葉遣いも、面接官に好印象を与えたことは間違いありません。
- 相手の立場に立った回答: 面接官が本当に知りたいことを的確に答える
- 緊張しても落ち着いた対応: プレッシャーの中でも冷静さを保つ
- 適切な敬語と言葉遣い: 自然で親しみやすい、それでいて礼儀正しい話し方
- 結論ファーストの説明: 要点を最初に述べ、その後詳細を補足する話法
内定獲得の決め手



結果、僕は第一志望だった大手広告代理店から、内定をいただくことができました。人事の方からは、「君のような実務経験のある学生は、即戦力として非常に魅力的だ」という言葉をいただきました。
特に評価されたポイントは以下の通りです:
- 実務レベルのPCスキル: 入社後すぐに戦力として活用できる
- チームワーク経験: 多様な年代・職種の人との協働経験
- 責任感と継続力: 1年間の長期派遣を最後まで全うした実績
- 学習意欲の高さ: 未知のスキルに対する積極的な学習姿勢
他の就活生との差別化ポイント
多くの文系学生が「学生時代に頑張ったこと」として語るのは、サークル活動やアルバイト、ゼミでの研究などです。これらも素晴らしい経験ですが、「社会人として必要なスキルを実際に身につけた」という経験は、圧倒的に差別化要因となります。
一般的な学生 | オフィスワーク派遣経験者 |
---|---|
サークルでリーダーシップを発揮 | 実際の職場でチームワークを実践 |
アルバイトで接客スキルを習得 | ビジネス電話対応とメールマナーを習得 |
ゼミでプレゼンテーション経験 | 会議資料作成と業務改善提案の経験 |
レポート作成でPCを使用 | ExcelやPowerPointを業務レベルで活用 |
よくある質問(FAQ)
まとめ:文系大学生よ、オフィスという名の冒険に出よう


これが、スキルゼロだった僕の、1年間の成長の記録です。
もし、かつての僕のように、「自分には、社会で通用する武器が何もない」と、漠然とした不安を感じている文系大学生がいるなら、僕は声を大にして言いたい。
「今すぐ、オフィスワーク派遣に挑戦しよう」と。
そこは、あなたを優しく、しかし確実に鍛え上げてくれる最高のトレーニングジムです。そこで流す汗は、あなたの不安を洗い流し、自信という名の筋肉に変えてくれます。
オフィスワーク派遣に向いている文系大学生
- 社会で役立つ、具体的なスキルを身につけたい
- 卒業論文やレポートなどで、PC作業に抵抗がない
- 知らないことを学ぶのが好き、知的好奇心がある
- 将来、企画職やマーケティング職、事務職などに興味がある
- 就職活動で、他の学生と差がつく「武器」が欲しい
さあ、【大学生の派遣デビュー完全ロードマップ】を片手に、あなた自身の成長物語を、今日から始めてみませんか?
最後のメッセージ



1年前の僕は、電話の呼び出し音にさえビクビクしていました。でも今は、新入社員として入社予定の会社で、いち早く戦力になれる自信があります。
これは決して特別な話ではありません。あなたにも、必ずできることです。大切なのは、一歩を踏み出す勇気だけです。
僕の体験が、同じように悩んでいる文系大学生の背中を少しでも押すことができれば、これほど嬉しいことはありません。
あなたの成長物語が、今日から始まることを心から願っています。
参考URL一覧
- MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)公式サイト: https://mos.odyssey-com.co.jp/index.html
- 日本の人事部(ビジネスマナーに関する記事など): https://jinjibu.jp/