「総合受付、〇〇社の〇〇が承ります」
ガラス張りのエントランス。洗練されたデザインの制服。背筋を伸ばし、完璧な笑顔と丁寧な言葉遣いで訪れる人々を迎える「企業の顔」。
都心の高層ビルで働く受付スタッフの姿をドラマで見て、「なんて素敵な仕事なんだろう」と漠然と憧れを抱いた経験、ありますよね?
「でも、あんなのって特別なスキルがある人がやる仕事でしょ?」 「大学生、しかも未経験の私なんかが、なれるわけないよね…」

そう思っていた私が、ひょんなことから派遣の受付スタッフとして1年間働くことになったんです。
この記事では、ごく普通の大学生が、時給1,800円の”企業の顔”になるまでのリアルな体験談をお話しします。
華やかなイメージの裏にあるプレッシャー、求められるスキル、そして何より、この仕事を通じて得られた、お金以上に価値のある「成長」の物語です。
この記事のポイントまとめ
- 結論は「可能」:未経験の大学生でも、研修が充実している派遣会社を選べば挑戦できる
- 時給相場:1,600円〜2,000円(東京/2025年9月現在)。求められるプロ意識の高さが時給に反映
- 必須スキル:正しい敬語、美しい所作などの「ビジネスマナー」が最も重要
- 仕事内容:来客応対、電話取次ぎ、会議室の予約管理など、企業の第一印象を左右する業務
- やりがい:会社の「顔」としての誇り。美しい環境で働ける。圧倒的なコミュニケーション能力が身につく
- きつさ:常に完璧な対応を求められる精神的なプレッシャー。暇な時間も気を抜けない
- 就活への効果:絶大。ここで得られるマナーと対応力は、面接や社会人生活で一生モノの武器になる
【時給・報酬】”企業の顔”の値段は?大学生には破格の給与実態


- 時給1,600円〜2,000円:東京エリアでの相場(2025年9月現在)
- 高時給の理由:企業のブランドイメージを左右する専門性の高い業務
- 効率的な稼ぎ方:少ないシフトでも学業と両立しやすい
- 税金・扶養の注意点:収入増加に伴う管理の重要性
受付派遣の時給が高い理由とは
まず、多くの人が気になるであろう、お給料の話から。受付・案内の仕事は、大学生向けの派遣バイトとしてはトップクラスの高時給です。
2025年現在の東京エリアでは、時給は1,600円〜2,000円が相場です。これは、【コールセンター派遣に挑戦した大学生のリアル体験談】に匹敵し、【軽作業派遣で働く大学生のリアルな1日スケジュール】で紹介された軽作業などに比べると、高い水準です。
なぜこれほど時給が高いのか?それは、受付が単なる「作業」ではなく、企業のブランドイメージを直接左右する、非常に専門性の高い「業務」だからです。あなたの立ち居振る舞い一つで、会社の評価が上がりも下がりもする。その重要な役割に対する対価が、この高い時給に反映されているのです。
学業との両立メリット
この高時給のおかげで、少ないシフトでも効率的に稼げるため、学業との両立がしやすいのは大きなメリット。例えば、週3日×4時間のシフトでも、月収は約10万円程度確保できます。
ただし、収入が増える分、【大学生が派遣で働く時の税金・扶養の基礎知識】の管理はより一層シビアに行う必要があります。年間103万円の壁を意識した働き方が重要になってきます。
勤務パターン | 時給 | 週間労働時間 | 月収目安 |
---|---|---|---|
フルタイム型 | 1,800円 | 40時間 | 約28万円 |
週3日型 | 1,700円 | 12時間 | 約8.5万円 |
土日のみ型 | 2,000円 | 16時間 | 約13万円 |
【業務内容】笑顔だけじゃない!受付嬢の意外と幅広いミッション


- 来客応対:企業の第一印象を決める最重要ミッション
- 代表電話対応:適切な部署への振り分けスキルが必要
- 会議室管理:予約システムの運用と備品準備
- 郵便物管理:各部署への仕分けと配布業務
「受付って、ずっとカウンターに座って『いらっしゃいませ』って言うだけでしょ?」 もしそう思っているなら、それは大きな誤解です。受付のミッションは、多岐にわたります。
Mission 1:来客応対(最重要ミッション)
- 一次対応:お客様を笑顔でお迎えし、ご用件とアポイントの有無を確認
- 担当者への取次:内線電話で担当部署・担当者へ連絡し、お客様の到着を伝える
- 入館証の発行・管理:来訪者用の入館カードを発行し、退館時に回収する
- ご案内:会議室や応接室までお客様をアテンドする



来客応対は受付業務の核となる部分です。企業の第一印象を決める瞬間であり、失敗は許されません。お客様一人ひとりに応じた丁寧な対応が求められ、相手の立場や緊急度を瞬時に判断する能力が必要になります。
Mission 2:代表電話の対応
会社の代表番号にかかってくる電話の一次対応も、受付の重要な仕事です。「〇〇の件で」という漠然とした電話から、適切な部署を判断し、スムーズに繋ぐ「交通整理」のようなスキルが求められます。
特に大企業では、1日に数百本の電話がかかってくることもあり、迅速かつ正確な判断力が試されます。間違った部署に繋いでしまうと、お客様にも社内にも迷惑をかけてしまうため、各部署の業務内容を把握しておく必要があります。
Mission 3:会議室の予約・管理
社内の会議室や応接室の予約システムを管理します。予約の受付、備品(プロジェクターなど)の準備、利用後の簡単な清掃なども行います。会議がスムーズに進行できるよう、事前の準備が重要な業務です。
Mission 4:郵便物・宅配便の受け取り
会社に届く郵便物や宅配便を受け取り、各部署へ仕分ける業務を兼任することもあります。重要な書類や急ぎの荷物を適切に処理し、確実に担当者に届ける責任があります。
これらすべての業務に共通するのは、「常に会社の代表である」という意識です。どんな時でも、冷静に、丁寧かつ迅速な対応が求められます。
【必須スキル】未経験の私が「企業の顔」になるために乗り越えた3つの壁


- ビジネスマナー:正しいお辞儀、敬語、美しい所作の完全習得
- コミュニケーション能力:傾聴力、伝達力、観察力の三位一体
- 臨機応変な対応力:予期せぬ事態への冷静な問題解決能力
- 研修制度:派遣会社の手厚いサポートでゼロから学習可能
「やっぱり、特別なスキルがないと無理なんじゃ…」
大丈夫です。なぜなら、必要なスキルのほとんどは、派遣会社が用意してくれる手厚い研修で、ゼロから学ぶことができるからです。



私が乗り越えた、そしてあなたがこれから乗り越えるべき3つの壁を紹介します。
壁①:ビジネスマナーの壁
これが最も高く、そして最も重要な壁です。正しいお辞儀の角度、美しい姿勢と歩き方、丁寧語・尊敬語・謙譲語の完璧な使い分け…。研修では、まるでお嬢様学校のように、徹底的に叩き込まれます。
最初は大変ですが、ここで身につけた本物のビジネスマナーは、就職活動の面接で、他の学生とは明らかに違う「品格」として表れます。
具体的には以下のような内容を学びます:
- お辞儀の角度:15度(会釈)、30度(敬礼)、45度(最敬礼)の使い分け
- 敬語の使い分け:尊敬語、謙譲語、丁寧語の完璧な理解と実践
- 身だしなみ:服装、髪型、メイク、ネイルなどの基準
- 立ち居振る舞い:美しい歩き方、座り方、物の受け渡し方
壁②:コミュニケーション能力の壁
受付に求められるのは、ただ話がうまいことではありません。三つの能力の組み合わせが重要です。
- 傾聴力:お客様が何を求めているのかを、短い会話から正確に察知する力。表情や声のトーンからも情報を読み取る技術が必要です。
- 伝達力:分かりやすく、簡潔に、そして感じ良く情報を伝える力。専門用語を使わず、相手の立場に立った説明ができることが求められます。
- 観察力:次に何が起こるかを予測し、先回りして行動する力。(例:雨が降ってきたら、傘立てを入り口に出しておく)ホスピタリティの真髄と言えるスキルです。
壁③:臨機応変な対応力の壁
マニュアル通りにいかないのが、受付の日常です。「アポなしで突然来たVIP」「道に迷ってイライラしているお客様」「会議室のプロジェクターが映らない!」
こうした予期せぬ事態に、冷静沈着に、そして最善の解決策を見つけ出す問題解決能力が求められます。パニックにならず、【大学生が派遣で失敗しないための心構え5箇条】で説かれているように、まずは派遣会社の担当者や上司に相談する判断力も重要です。
【やりがい vs きつさ】”企業の顔”として働いた私の本音
- やりがい:圧倒的な自己成長と美しい環境での勤務
- 感謝の言葉:お客様や社員からの「ありがとう」が最大の報酬
- きつさ:常に完璧を求められるプレッシャーと精神的負担
- 理不尽な対応:困難なお客様への冷静な対処が必要
この仕事の「光」と「影」を、包み隠さずお話しします。
やりがい(光の部分)


- 圧倒的な自己成長:間違いなく、どのアルバイトよりも「社会人としての自分」を成長させてくれます。1年間で身につくスキルは、他のアルバイトの3年分に匹敵すると感じています。
- 美しい環境:企業の威信をかけたエントランスは、常に清潔で美しく、働くモチベーションが上がります。制服が可愛い職場も多く、毎日おしゃれを楽しめるのも魅力の一つです。
- 「ありがとう」の一言:お客様や社員の方から「あなたの対応、素晴らしかったわ」「いつもありがとう」と声をかけていただけた時の喜びは、何物にも代えがたいものでした。人の役に立てている実感を直接感じられる瞬間です。
- 社会の動きを肌で感じる:様々な業界の人が訪れる企業の玄関口は、社会の動きを肌で感じられる特等席でもあります。ビジネストレンドや業界の話を耳にする機会も多く、将来のキャリア選択にも役立ちました。
きつさ(影の部分)


- 常に完璧を求められるプレッシャー:「会社の顔」である以上、髪型一本の乱れ、一瞬の気の緩みも許されないというプレッシャーは、常に感じていました。休憩時間以外は気を抜くことができません。
- 理不尽な要求への対応:ごく稀にですが、高圧的な態度のお客様や、無理難題を要求してくるお客様もいらっしゃいます。その際も、笑顔を崩さず冷静に対応しなければならないのは、精神的にきついものがありました。
- 暇な時間との戦い:来客が全くない時間帯も、もちろんあります。しかし、スマホをいじることもできず、常に美しい姿勢で待機していなければならないのは、【試験監督バイトは楽?】の体験談とはまた違う種類の、静かなる苦行でした。
項目 | やりがい度 | きつさ度 | 詳細 |
---|---|---|---|
スキル向上 | ★★★★★ | ★★★☆☆ | ビジネスマナーが飛躍的に向上 |
人間関係 | ★★★★☆ | ★★☆☆☆ | 様々な人との出会いがある |
プレッシャー | ★★☆☆☆ | ★★★★★ | 常に完璧な対応が求められる |
環境の美しさ | ★★★★★ | ★☆☆☆☆ | 高級感あふれる職場環境 |
【応募・準備】受付派遣デビューまでの完全ロードマップ
- 派遣会社選び:オフィスワークに強い大手派遣会社への登録
- 必要な準備:服装、履歴書、研修への心構え
- 面接対策:第一印象が最重要ポイント
- 研修期間:充実したサポート体制の活用法
ステップ1:派遣会社への登録
受付派遣を始めるなら、【大学生向け派遣会社の選び方】を参考に、オフィスワークや受付の仕事に強い大手派遣会社に登録することが重要です。
特に以下の要素を重視して派遣会社を選びましょう:
- 研修制度の充実度:ビジネスマナー研修があるか
- 大企業案件の豊富さ:高時給案件が多いか
- フォロー体制:困った時のサポートが手厚いか
- 服装貸与制度:制服の貸し出しがあるか
ステップ2:面接準備のポイント
受付派遣の面接では、第一印象がすべてと言っても過言ではありません。以下の点を重視して準備しましょう。
- 服装:清潔感のあるスーツまたはオフィスカジュアル。派手な色は避け、紺やグレーなどの落ち着いた色を選びましょう。
- 髪型・メイク:自然で上品な仕上がりを心がけ、「企業の顔」として恥ずかしくない身だしなみを意識します。
- 話し方:明るく、はっきりとした発声を心がけ、敬語を正しく使えることをアピールしましょう。


ステップ3:研修期間の活用法
多くの派遣会社では、受付業務に必要なスキルを身につけるための研修期間を設けています。この期間を最大限活用することが、成功への最短ルートです。
研修では、実際の業務を想定したロールプレイングも行われるため、積極的に参加し、講師からのフィードバックを真摯に受け止めましょう。不安な点があれば、遠慮なく質問することが大切です。
よくある質問(FAQ)
まとめ:受付派遣は、未来の自分への最高の投資である


受付・案内の派遣。それは、ただ時給が高いだけの仕事ではありません。
それは、お金をもらいながら、最高のビジネスマナーとコミュニケーション能力を学べる「実践型スクール」です。それは、普通の大学生活では決して得られない、「企業の代表」としての誇りと責任感を体験できる「ステージ」です。
確かに、求められるレベルは高く、楽な仕事ではありません。しかし、もしあなたが、「自分を成長させたい」「就職活動で、他の学生と圧倒的な差をつけたい」「美しい環境で、プロフェッショナルとして働いてみたい」と少しでも思うなら、これほど挑戦しがいのある仕事はありません。
まずは、【大学生向け派遣会社の選び方】を参考に、オフィスワークや受付の仕事に強く、研修制度が充実している大手派遣会社に登録することから始めてみませんか?
受付カウンターの向こう側で、新しいあなた自身が、輝くのを待っています。
参考URL一覧
- 一般社団法人 日本ビジネスマナー協会:https://bizmanners.jp/
- 公益財団法人 実務技能検定協会(秘書検定など): https://www.japan-bma.or.jp/