「軽作業の派遣って、楽なの?」「具体的に、1日どんな感じで過ごすんだろう?」
派遣バイトの中でも、「未経験OK」「単発OK」の代名詞として、多くの大学生が最初に興味を持つ「軽作業」。しかし、その言葉のシンプルさとは裏腹に、その実態は意外とベールに包まれています。
そこで今回は、大学生が実際に体験した、とある物流倉庫での軽作業派遣の1日を、朝、家を出るところから、疲れ果ててベッドに倒れ込むまで、分刻みのリアルなスケジュールでお届けします。
この記事は、単なる仕事紹介ではありません。あなたがもし軽作業派遣に挑戦したら、どんな1日を過ごすことになるのかを追体験する「シミュレーション・ドキュメンタリー」です。
さあ、私たちと一緒に、巨大な倉庫の扉の向こう側を覗いてみましょう。
この記事のポイント
- 1日の流れ:朝礼から終業まで、完全にマニュアル化されたスケジュールで動く
- 仕事内容:ピッキング、仕分け、梱包、検品、シール貼りなどの単純作業がメイン
- 身体的なきつさ:長時間同じ姿勢での作業や、倉庫内を歩き回るため、足腰への負担は大きい
- 精神的な楽さ:対人ストレスはほぼ皆無。自分のペースで黙々と作業できる
- 時給相場:1,250円〜1,600円(東京/2025年9月現在)。未経験OKの仕事としては好条件
- 休憩時間:1時間の昼休憩に加え、15分程度の小休憩が設けられていることが多い
- 服装・持ち物:動きやすい私服(安全規定あり)、安全靴の貸与が基本
【基本情報】軽作業派遣とは?時給・条件・仕事内容
軽作業派遣について基本的な情報をまとめると、未経験でも始めやすく、単発での勤務が可能な物流系の仕事が中心となります。主な業務内容と条件面での特徴を詳しく見ていきましょう。
主要な業務内容と作業の特徴
- ピッキング作業:倉庫内を歩き回り、指定された商品を集める
- 仕分け・梱包:商品を種類別に分け、段ボール箱に詰める
- 検品作業:商品の種類・数量・破損がないかチェック
- シール貼り・ラベル貼り:商品や箱に必要なラベルを貼付
- 在庫管理:商品の入出庫データを専用端末で管理
軽作業派遣の最大の特徴は、特別なスキルや経験を必要としない単純作業であることです。作業手順は完全にマニュアル化されており、初日から戦力として働くことができます。また、基本的に一人で黙々と作業するため、コミュニケーションが苦手な方でも安心して取り組めます。
時給相場と勤務条件の実態
2025年現在の東京エリアにおける軽作業派遣の条件面を詳しく解説します。時給相場は地域や作業内容によって大きく変動するため、事前の情報収集が重要です。
エリア | 時給相場 | 勤務時間 | 休憩時間 | 交通費 |
---|---|---|---|---|
東京都心部 | 1,400円〜1,600円 | 8時間(9:00-18:00) | 昼休憩1時間+小休憩15分×2 | 上限1,000円/日 |
東京郊外 | 1,250円〜1,450円 | 8時間(8:30-17:30) | 昼休憩1時間+小休憩10分×2 | 上限800円/日 |
神奈川・埼玉 | 1,200円〜1,400円 | 8時間(9:00-18:00) | 昼休憩1時間+小休憩15分×1 | 上限500円/日 |
千葉 | 1,150円〜1,350円 | 8時間(8:00-17:00) | 昼休憩1時間+小休憩10分×2 | 上限600円/日 |
時給1,400円で8時間勤務の場合、日給11,200円となり、大学生のアルバイトとしては魅力的な収入を得ることができます。また、多くの派遣会社では送迎バスを運行しており、最寄り駅から倉庫までの交通手段も確保されています。
服装規定と持参物の準備
軽作業派遣で働く際の服装と持ち物について、実際の現場での経験を踏まえて解説します。安全性と作業効率を考慮した準備が重要になります。
- 服装:動きやすい長袖・長ズボン(安全のため肌の露出は避ける)
- 靴:運動靴(安全靴は多くの現場で貸与される)
- 飲み物:1リットル以上の水分(夏場は特に重要)
- 塩分補給:塩分タブレットや梅干し(熱中症対策)
- 昼食:コンビニ弁当or社員食堂利用(300-500円程度)
倉庫内は夏は暑く、冬は寒いため、季節に応じた体温調節ができる服装を心がけましょう。また、髪色やネイルについては比較的自由な現場が多いですが、安全上の理由から長い髪は束ねる必要があります。
【完全再現】軽作業派遣の1日タイムスケジュール
実際の軽作業派遣の1日を、時系列に沿って詳細に再現していきます。朝の準備から帰宅まで、リアルな体験談として参考にしてください。
【本日のミッション】登場人物と舞台の紹介
- 主人公:男(大学2年生)。サークルの飲み会代を稼ぐため、単発の軽作業派遣にエントリー
- 舞台:東京郊外にある、某大手通販サイトの巨大な物流倉庫
- 本日の業務:アパレル商品のピッキング(午前)と梱包(午後)
- 勤務時間:9:00〜18:00(休憩1時間)
- 時給:1,400円(交通費別途支給)
今回体験する現場は、某大手ECサイトの物流倉庫です。床面積が東京ドーム3個分という巨大な施設で、1日に数万個の商品が出荷されています。僕の今日のミッションは、この巨大な倉庫で午前中はピッキング、午後は梱包作業を行うことです。

ここから先は僕のリアルな体験談としてご覧ください!
AM 7:30-8:45|起床から倉庫到着まで
軽作業派遣の1日は早朝から始まります。倉庫は郊外にあることが多く、通勤時間を考慮した準備が重要です。
AM 7:30|起床、そして戦支度
けたたましいアラームの音で起床。今日の勤務地は家から少し遠い。寝ぼけ眼をこすりながら、頭の中で派遣初日の大学生が持参すべき持ち物チェックリストを反芻する。動きやすさだけを重視したTシャツとジーンズに着替え、お茶と多めの塩分タブレットをカバンに詰め込む。これが夏場の倉庫勤務の生命線だ。
AM 8:15|最寄り駅へ、冒険の始まり
電車に揺られること40分。目的の駅に到着。しかし、ここがゴールではない。改札を出ると、同じ派遣会社名の入ったベストを着た人たちが、バス停に列を作っている。そう、多くの倉庫は駅から離れており、無料の送迎バスで向かうのが一般的なのだ。
AM 8:45|巨大倉庫に到着、そして朝礼
バスに揺られること15分。目の前に現れたのは、想像を絶する大きさの倉庫。まるで巨大な要塞だ。入口で受付を済ませ、貴重品をロッカーに預ける。今日の仕事仲間たちが集まるエリアへ向かい、本日のリーダーから朝礼が始まる。
「本日の午前の皆さんの業務は、A棟3階でのピッキング作業です。注意事項は…」
安全に関する注意、作業手順の確認。ピリッとした空気が、仕事の始まりを告げる。
AM 9:00-PM 12:00|午前のミッション:ひたすら歩く「ピッキング」
- ハンディに、集めるべき商品の棚番号と商品コードが表示される
- 広大な倉庫の中から、目的の棚を探して歩く
- 棚に到着したら、商品のバーコードをハンディで「ピッ」
- 指定された数量の商品をカゴに入れる
- 次の商品の棚番号が表示される…
持ち場に移動し、「ハンディターミナル」と呼ばれるバーコードリーダーのような機械を受け取る。これが、今日の僕の相棒だ。
この繰り返し。3時間、ひたすら歩き、探し、バーコードをスキャンする。BGMが流れる倉庫内では、誰と話すこともない。聞こえるのは、台車を引く音と、ハンディの電子音だけ。
精神的には、驚くほど楽だ。頭を空っぽにして、無心で歩く。しかし、じわじわと足の裏と腰に疲労が蓄積されていくのがわかる。
PM 12:00-PM 1:00|待ちに待った黄金の時間「昼休憩」
待ちに待ったチャイムが鳴り響く。解放感と共に、巨大な社員食堂へ。数百円で食べられる定食は、学生の財布に優しい。スマホをチェックし、午後の英気を養う。周りも皆、一人で黙々とスマホを眺めたり、仮眠を取ったりしている。このドライな人間関係が、軽作業の魅力の一つだ。
PM 1:00-PM 6:00|午後のミッション:正確さが命の「梱包」作業
- 目の前のベルトコンベアから、商品と伝票が流れてくる
- 伝票を見て、商品の種類と数量が合っているか最終確認(検品)
- 適切なサイズの段ボールを選び、商品を入れ、緩衝材を詰める
- ガムテープで封をし、発送ラベルを貼り、コンベアに流す
午後の持ち場は、午前中に集められた商品が流れてくる「梱包エリア」。ここでの僕の任務は、商品を段ボールに詰めていくことだ。
ひたすら、この繰り返し。ピッキングほど歩き回らないが、立ちっぱなしで同じ動作を繰り返すため、今度は腕と肩がじわじわと悲鳴を上げ始める。
PM 3:00-PM 3:15|砂漠のオアシス「小休憩」
多くの倉庫では、午後に10分〜15分の小休憩が設けられている。この15分が、本当に貴重。自販機で買った冷たいジュースが、体に染み渡る。
PM 3:15-PM 5:45|自分との戦い「ラストスパート」
休憩を終え、再び梱包エリアへ。一日の疲れがピークに達するこの時間帯が、精神的には一番きついかもしれない。
「あと何箱…」「早く終われ…」
頭の中でそればかり考えながら、半ば機械のように手を動かし続ける。大学生が派遣で失敗しないための心構え5箇条で説かれたような、ポジティブなマインドを保つのが難しい時間帯だ。
PM 6:00|ミッションコンプリート、そして帰路へ
終了のチャイムが鳴り響く。この瞬間の解放感は、何物にも代えがたい。後片付けを済ませ、リーダーに本日の作業報告。タイムシートにサインをもらい、着替えてロッカーを出る。
再び送迎バスに乗り込み、駅へ。電車の中でスマホを見ながら、今日の報酬(1,400円 × 8時間 = 11,200円)を計算し、疲れ切った顔で少しだけニヤつく。
これが、軽作業派遣の、ありのままの1日です。


【体験談】軽作業派遣のリアルなメリット・デメリット



あの濃密な1日を終えて、僕が心から感じたことを整理してみよう。軽作業派遣には明確なメリットとデメリットがあり、向き不向きがはっきりと分かれる仕事であることを実感しました。
メリット:頭を空っぽにしたい君へ


- 精神的ストレスが限りなくゼロ:クレーム対応も、複雑な人間関係も、難しい判断も一切ない
- 達成感が目に見える:「これだけの数をピッキングした」「これだけの箱を梱包した」という成果が物理的に見える
- 面倒なことが一切ない:髪色や服装も比較的自由な職場が多く、一度仕事を覚えれば誰でもできる



授業やレポートで疲れ切った頭を休ませるには、最高の環境かもしれない。単純作業だからこそ、一日の終わりには確かな達成感がある。大学生の派遣契約期間は1日だけの単発もOKで解説されている通り、1日だけの関係なので、人間関係で悩む必要もない。
デメリット:体力と根気がない君には地獄


- とにかく身体が痛い:足、腰、腕…。普段使わない筋肉が悲鳴を上げる
- とにかく退屈:刺激や変化を求める人には、苦痛以外の何物でもない
- スキルアップは期待できない:この仕事で得られるスキルは、他の職種で直接活かせるものではない



翌日の筋肉痛は覚悟しなければならない。時間と忍耐力との戦いだ。正直なところ、就活のネタとしては、少し弱いかもしれない。刺激や成長を求める人には向かない仕事であることは間違いありません。
身体への負担と対策方法
軽作業派遣で最も注意すべきなのは身体への負担です。長時間の立ち仕事や歩行により、様々な部位に疲労が蓄積されます。
負担箇所 | 原因 | 対策方法 | 重要度 |
---|---|---|---|
足裏・足首 | 長時間の歩行・立ち仕事 | クッション性の高いインソール使用 | ★★★ |
腰 | 重い商品の持ち上げ・中腰姿勢 | 正しい持ち上げ方法の習得 | ★★★ |
肩・腕 | 同じ動作の繰り返し | 作業間の軽いストレッチ | ★★ |
膝 | しゃがみ動作・長時間立位 | 膝サポーターの着用 | ★★ |
事前の準備と正しい作業姿勢を意識することで、身体への負担を大幅に軽減できます。特に足腰の負担は避けられないため、普段から軽い運動を心がけることをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
【まとめ】軽作業派遣という名の「思考停止トレーニング」


軽作業派遣のリアルな1日、いかがでしたか?この仕事は、「楽して稼げる」という言葉で片付けられるものではありません。それは、「思考を停止し、肉体を動かすことで対価を得る」という、非常に原始的で、しかし確実な働き方です。
軽作業派遣に向いている大学生の特徴
- 人と話すのが少し苦手、または疲れる
- コツコツと同じ作業を繰り返すのが苦にならない
- 難しいことを考えず、頭を空っぽにしたい時がある
- 体力にはそこそこ自信がある
- とにかく単発で、サクッと稼ぎたい
もし、あなたがこれらに当てはまるなら、軽作業派遣は最高のパートナーになるかもしれません。ぜひ、大学生向け派遣会社の選び方を参考に、単発の仕事に強い派遣会社に登録し、このユニークな「冒険」に一度挑戦してみてください。
長期的なキャリア形成との関係
軽作業派遣は短期的な収入源としては優秀ですが、長期的なキャリア形成という観点では限定的な価値しかありません。しかし、だからこそ得られる価値もあります。
まず、労働の本質を理解する機会として非常に価値があります。机上の勉強だけでは理解できない、働くことの意味や責任感を身をもって体験できます。また、様々なバックグラウンドを持つ人々と同じ職場で働くことで、社会の多様性を実感することもできるでしょう。
さらに、時間管理能力や継続力、責任感といった基本的な職業スキルは確実に身につきます。これらは将来のどのような職業においても活かすことができる普遍的なスキルです。
筋肉痛の先にある達成感と、心地よい疲労感。それは、普段の大学生活では決して味わえない、特別な体験になるはずです。
参考URL一覧
- 国土交通省:物流政策: https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/index.html
- 中央労働災害防止協会(安全衛生情報センター): https://www.jaish.gr.jp/