大学生にとって魅力的に映るイベントスタッフ派遣バイト。時給1,300円〜1,800円という高時給と「好きなアーティストのライブに関われるかも」という期待感で、多くの学生が興味を持つ仕事です。しかし、実際に私たちが様々なイベントで働いた経験値から言えば、この仕事には光と影の両面があります。
この記事のポイント
- 時給1,300円〜1,800円で短期間でしっかり稼げる
- 肉体的・精神的にかなりきつい現実がある
- 出会いは確実にある(大学生比率7〜8割)
- 「1日だけの文化祭」のような一体感が最高の魅力
- 体力と精神力に自信がある学生向けの仕事
【お金の話】ぶっちゃけ、時給はいくらで、どのくらい稼げるのか?
- 東京エリアで時給1,300円〜1,800円が相場
- 土日月2回で月8万円以上も可能
- 深夜手当や豪華なお弁当などの特典あり
- 単発バイトとしては非常に割の良い仕事
まず、一番現実的なお金の話から始めましょう。イベントスタッフは、単発バイトとして見ればかなり割の良い仕事だと断言できます。
リアルな時給と月収例

2025年現在の東京エリアでは、時給1,300円〜1,800円が相場となっています。仕事内容によって時給は以下のように変動します。
仕事内容 | 時給 | 特徴 |
---|---|---|
案内・誘導スタッフ | 1,300円〜1,500円 | 基本的なお客様案内業務 |
物販スタッフ | 1,400円〜1,600円 | レジ操作スキルが求められる |
設営・撤去スタッフ | 1,500円〜1,800円 | 体力的にきついため高時給 |
ディレクター業務 | 1,800円〜 | 経験者向けの指揮監督業務 |
具体的な収入例として、コンサートの仕事で14:00〜23:00(うち休憩1時間)で働いたある日の日給は、時給1,500円 × 7時間 + 深夜手当(22時以降) = 約11,000円でした。交通費は別途支給されることがほとんどで、土日に毎週1回ずつ入れば、これだけで月8万円以上稼ぐことも十分可能です。
時給以外の「おいしい」メリット
- お弁当(ケータリング)が豪華なことがある:特に大きなコンサートや企業イベントでは、スタッフ用のお弁当が支給されることが多く、これが結構な楽しみの一つ。食費が浮くのは大学生にとって地味に嬉しいポイント
- レアなグッズが手に入ることも:イベントによっては、スタッフTシャツや余ったノベルティグッズがもらえることもある
【大学生が派遣で働く時の税金・扶養の基礎知識】を意識しつつ、短期間でガッツリ稼ぎたい学生にとって、金銭的な魅力は非常に大きいと言えるでしょう。
【覚悟の話】巷で言われる「きつい」は本当か?その正体とは
- 「きつい」は100%本当で肉体労働そのもの
- 8時間以上の立ちっぱなし・重労働は当たり前
- 理不尽なクレーム対応でメンタルも消耗
- 厳しいルールと緊張感が常に付きまとう
ここからはキラキラしたイメージの裏側、この仕事の「きつさ」について正直に話します。結論から言うと、巷で言われる「きつい」は、100%本当です。

① 肉体的な「きつさ」
イベントスタッフは、まぎれもない肉体労働です。以下のような過酷な状況が待っています。
- 立ちっぱなし・歩きっぱなし地獄:担当にもよりますが、8時間以上ほぼ休憩なしで立ち続けることもザラ。一日の終わりには、足が棒のようになる
- 重量物との戦い(設営・撤去):ステージのパネル、大量の椅子、物販の段ボール箱…。設営・撤去の仕事は、体力に自信がある男子学生でも音を上げるほどの重労働。翌日の筋肉痛は覚悟が必要
- 天候との戦い:野外イベントは最悪。真夏の炎天下では熱中症の危険と、真冬の極寒の中では凍える寒さと戦いながら、笑顔で接客しなければならない
② 精神的な「きつさ」
体力だけでなく、メンタルもかなり削られるのがこの仕事の特徴です。
理不尽なクレーム対応では、「なんで俺を先に入れないんだ!」「グッズが売り切れたぞ、どうしてくれる!」など、お客さんからのクレームを最前線で受け止めるのは、基本的に私たちスタッフです。冷静に、マニュアル通りに対応する精神力が求められます。
ひたすらな単調作業も意外とつらく、「最後尾」と書かれたプラカードを、2時間同じ場所で持ち続ける。ただひたすら、パンフレットを渡し続ける。こうした一見楽そうな仕事こそ、時間と退屈さとの戦いで、精神的にきついものがあります。
異常に厳しいルールとして、イベントによっては、髪色やアクセサリー、メイクに至るまで、非常に厳しい規定が設けられていることがあります。また、「絶対にステージに背を向けてはいけない」など、独自のルールも多く、常に緊張感が漂っています。
この「きつさ」を乗り越えるには、【大学生が派遣で失敗しないための心構え5箇条】で説いたような、プロ意識と割り切りが不可欠です。
【一番の魅力】「出会いが多い」は本当か?その実態を大公開
- 間違いなく出会える(スタッフの7〜8割が大学生)
- チーム作業による自然な一体感が生まれる
- 「1日だけの文化祭」の雰囲気で交友関係が広がる
- LINE交換は当たり前の流れになる
ここまで読んで、「やっぱり大変そうだな…」と思ったあなた。その通りです。でも、なぜ多くの大学生が、このきつい仕事を「楽しい!」と言って続けるのでしょうか。その答えが、この「出会い」にあります。
結論:間違いなく、出会えます

イベントスタッフは、大学生活で最も効率的に交友関係を広げられるバイトの一つでしょう。
- 大学生比率が異常に高い:派遣会社にもよりますが、スタッフの7〜8割が大学生という現場も珍しくない。色々な大学の同世代と、自然に話すきっかけが生まれる
- チーム作業による一体感:イベントは、多くのスタッフが協力して初めて成功する。「あそこの列、人が増えてきたからヘルプ行きます!」「そっちの在庫、補充しますね!」といった連携プレーを一日中やっていると、自然と連帯感が生まれる
- 共通の目的が生む「文化祭」の雰囲気:「この一大イベントを、自分たちの手で成功させる!」という共通の目標に向かって、汗を流し、声を枯らす。この感覚は、まさに「1日だけの文化祭」
リアルな交流事情
休憩時間や、イベント終了後の片付け中などは、だいたい誰かが「お疲れ!どこの大学なの?」と話しかけてきて、そこから一気に輪が広がります。そして、解散間際に「今日楽しかったね!よかったらLINE交換しない?」となっても不思議ではないでしょう。

私もこのバイトを通じて、他大学の友人が何十人もできました。中には、そこから恋愛に発展したカップルも存在します。派手な出会いだけではなく、普段の大学生活では絶対に出会えないような、面白い経歴を持つフリーターの人や、業界の裏話をしてくれる社員さんとの出会いも、大きな刺激になります。
【密着レポ】とある1日、コンサートスタッフのタイムスケジュール
- 13:00集合から22:30解散までの長時間労働
- 開場・終演時は押し寄せる客の対応で地獄状態
- 撤去作業が意外ときつく単調で疲れる
- 終了時の達成感と仲間との絆が最高
百聞は一見にしかず。実際に経験した、某有名アイドルのドームコンサートでの1日を、時系列で再現してみましょう。
13:00【集合・朝礼】
関係者入口に集合。ディレクターから本日のタイムスケジュール、注意事項、各セクションの役割分担などが伝えられる。この時点で既に緊張感MAX。
14:00【準備開始】
担当は場内誘導。先輩スタッフと一緒に、座席エリアの案内看板を設置したり、規制線を張ったりする作業が始まります。
16:00【開場】
地獄の始まり。押し寄せるお客さんを、笑顔で、しかし力強く誘導。「走らないでください!」「チケット拝見しまーす!」と叫びすぎて、1時間で声が枯れ始める状況になります。
18:00【開演】
客席の扉を閉め、しばしの静寂。しかし、遅れてきたお客さんの案内や、トイレに行く人の誘導、体調不良者の対応などで、気は抜けません。漏れ聞こえるライブの音に、「自分も客として来たかった…」と少し思うのも事実です。
20:30【終演】
再び地獄の始まり。今度は、全員を安全に、そして迅速に会場外へ誘導する「規制退場」の案内。殺到するお客さんを制御しつつ、「本日はご来場、誠にありがとうございましたー!」と最後の力を振り絞ります。
21:30【バラシ(撤去作業)開始】
誘導業務が終わると、撤去作業に合流。何千もの椅子に貼られた座席番号のシールをひたすら剥がし続ける作業が待っています。単純作業だが、これが一番きついかもしれません。
22:30【業務終了・解散】
全ての作業が終わり、担当者から終了の合図。疲労困憊の仲間たちと「お疲れー!」と声を掛け合う。この瞬間の達成感が、本当に最高。何人かとLINEを交換し、最寄り駅まで一緒に帰ることになります。
【派遣初日の大学生が持参すべき持ち物チェックリスト】にある腕時計やメモ帳が、いかに重要か分かるはずです。
よくある質問(FAQ)
まとめ:イベントスタッフは、きつさを楽しむ「体験型エンタメ」だ


イベントスタッフ派遣のリアル、伝わったでしょうか。各要素を改めて整理すると以下のようになります。
項目 | 評価 | 詳細 |
---|---|---|
時給 | GOOD | 短期で稼ぐには申し分ない |
きつさ | VERY HARD | 体力と精神力がなければ続かない |
出会い | EXCELLENT | 大学生活の思い出と交友関係が確実に豊かになる |
この仕事は、ただ時給のためだけに働く人には向きません。「お金をもらいながら、非日常の空間で、最高の思い出と仲間を作りたい」そう思える人にとっては、これ以上ない最高の「体験型エンタテインメント」です。
体力に自信があるあなた。新しい出会いに飢えているあなた。ありきたりの大学生活に、刺激を求めているあなた。ぜひ一度、この「1日だけの文化祭」に、スタッフとして参加してみませんか?きっと、疲れ果てたあなたの顔は、最高の笑顔で輝いているはずです。
参考URL一覧
- 一般社団法人 日本イベント産業振興協会(JACE): https://www.jace.or.jp/
- LiveFans(ライブ・コンサート情報サイト): https://www.livefans.jp/
- ぴあリサーチ総研(音楽・エンタテインメント市場の動向調査):https://corporate.pia.jp/csr/pia-soken/