「なぜ、面接すらしてもらえないのか」「自分のキャリアの何が不満なのか」
あなたは今、何十社に応募しても届くのは「お祈りメール(不採用通知)」ばかりで、自信を喪失しているかもしれません。しかし、元採用担当者の立場から、残酷な真実をお伝えしなければなりません。
私のデスクには、毎日山のような履歴書が届いていました。その中で、60代の方の書類を見て「あ、これは無理だ」と判断して不採用箱に入れるまでにかかる時間は、わずか3秒です。
内容を熟読する前に、パッと見た印象や、ふとした言葉の端々から滲み出る「地雷臭」を、プロの採用担当者は敏感に感じ取ります。
この記事のポイント
- 書類選考の通過率は10%以下、判断は「3秒」
- 「手書き履歴書」はIT弱者の看板になる
- 面接での「昔はすごかった」話は最悪のNG行動
- 「なんでもやります」は禁句
- エージェントの添削が内定への近道
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書類選考で落ちる理由~その「履歴書の汚れ」が見えていますか?~

- 手書きへの執着は「IT弱者」の証明
- 職務経歴書が「武勇伝の羅列」になっている
- 証明写真が「疲れたおじいちゃん」になっている
「履歴書の汚れ」と言っても、コーヒーのシミのことではありません。ここで言う「汚れ」とは、読み手(採用担当者)への配慮が欠け、自己満足な情報で埋め尽くされている状態を指します。採用担当者は、あなたの「自叙伝」を読みたいのではありません。「この人は自社の利益になるか」という企画書を求めているのです。
NG①:手書きへの執着は「私はIT弱者です」という看板
「履歴書は手書きの方が誠意が伝わる」。これは昭和の常識です。令和の今、特にIT化が進んだ企業において、手書きの履歴書は以下のメッセージとして受け取られます。
- 「私はパソコン(Word/Excel)が使えません」
- 「効率よりも古い慣習を重視します」
- 「読み手の負担(読みにくさ)を考えません」
特に事務職や管理部門に応募する場合、手書きの履歴書が送られてきた時点で、「PCスキル不足」として即・不採用になるケースが大半です。採用担当者は、「この履歴書をデータ化するために、わざわざスキャンしなければならないのか…」とため息をついています。
【改善策】履歴書・職務経歴書は必ずパソコンで作成。それ自体が「最低限のITリテラシーがあります」という証明になります。詳しい書き方は[60代の履歴書・職務経歴書「通過率UPの書き方」|手書きは古い?PC作成マニュアル【見本あり】]へ
NG②:職務経歴書が「武勇伝の羅列」になっている
60代の方の職務経歴書で最も多いNGパターンが、「入社から退職までの全てを羅列する」ことです。
「昭和60年:○○支店配属。新人賞を獲得」「平成5年:○○係長に昇進。社内運動会の実行委員長を務める」「平成15年:○○プロジェクトに参加…」
このように、3枚も4枚も続く「自分史」を読まされる担当者の気持ちを想像してください。特に、今回の応募職種と関係のない過去の栄光(バブル期の営業成績や、今はもう使われていない技術の話)は、採用担当者にとっては「情報のノイズ(汚れ)」でしかありません。
【採用担当の本音】「『昔はすごかった』ことは分かりました。でも、『今、うちの会社で何ができるんですか?』。そこが書いてないんですよ」
必要なのは、相手が求めているスキルだけを「抽出」して見せる技術です。
NG③:証明写真が「疲れたおじいちゃん」になっている
「人は見た目が9割」と言いますが、書類選考における写真は極めて重要です。街中のスピード写真機で撮影し、無表情で、少し猫背で、サイズの合っていない古いスーツを着ている……。そんな写真から伝わるのは「疲れたシニア」の印象だけです。
【改善策】写真館で撮影してください。「若々しく、意欲的に見えるように」とオーダーし、姿勢を正して少し口角を上げるだけで、通過率は劇的に変わります。数千円の投資をケチってはいけません。
面接で落ちる理由~「元部長」という妖怪~
- 面接官が年下だと態度が変わる
- 「なんでもやります」という無責任な丸投げ
- 健康状態への不安を払拭できない
奇跡的に書類選考を通過しても、面接で落とされる人には、強烈な共通点があります。それは、「謙虚さの欠如」と「無意識の上から目線」です。
NG①:面接官が年下だと態度が変わる
面接室に入り、出てきた面接官が30代や40代の若手だった瞬間、急にタメ口になったり、椅子の背もたれに深く寄りかかったりしていませんか?
「君くらいの年齢の頃、僕はもっと働いていたよ」「御社のその戦略は、私の経験から言うと少し甘いね」
これらはアドバイスのつもりかもしれませんが、面接官からすれば「マウントを取られた」としか感じません。これから上司になるかもしれない相手に対し、入社前から説教をする人を雇いたいと思うでしょうか?
【採用担当の本音】「能力が高くても、組織の和を乱す人は絶対にNGです。特に60代の方は、一度雇うと簡単には辞めさせられない。だからこそ、『性格』や『扱いやすさ』を最重要視します」
プライドの整理術については[定年後の「燃え尽き」を防ぐ。60代男性のプライド整理術とメンタルケア]で詳しく解説しています。
NG②:「なんでもやります」という無責任な丸投げ
「選り好みはしません。なんでもやります」。一見、意欲的に聞こえますが、これは採用担当者にとって「自分には特別なスキルがありません。あなたが仕事を考えてください」という丸投げに聞こえます。
60代の採用は、ポテンシャル採用ではなく即戦力採用です。
- 「私は経理一筋40年で、決算業務の早期化が得意です」
- 「フォークリフトの免許があり、安全管理責任者の経験もあります」
このように、「何ができるか(Can)」を具体的に提示できない人は、使い所がわからず不採用になります。
NG③:健康状態への不安を払拭できない
企業が60代雇用で最も恐れているリスクの一つが「健康問題」です。入社してすぐに病気で休職されたり、労災事故を起こされたりすることは、企業にとって大きなリスクです。
| リスクと判断される行動 | 採用担当者の印象 |
|---|---|
| 面接の声が小さい | 体力に不安がある |
| 顔色が悪い | 健康状態が心配 |
| 質問への反応が遅い | 認知機能に問題があるかも |
「持病はありません」「毎日1万歩歩いています」といった具体的なエピソードとともに、ハキハキと大きな声で話すことは、立派なスキルの一つです。
採用担当者が即決する「欲しい60代」の条件

- 自分の「賞味期限」と「値札」を理解している
- デジタルツールへの抵抗感がない
- 若手を立てる「黒子」に徹する覚悟がある
では、逆に「ぜひ来てほしい」と言われる60代は、どのような人でしょうか?共通点は、「即戦力」×「高い柔軟性」です。
条件①:自分の「賞味期限」と「値札」を理解している
2025年4月の給付金縮小を見据え、「手取りが減るのは承知しています。その分、長く安定して働きたい」と、現実的な条件交渉ができる人は好まれます。
高すぎる希望年収を提示し、「これ以下なら働きません」という態度は、自分の市場価値を見誤っています。給付金縮小の詳細なシミュレーションは[「高年齢雇用継続給付」15%→10%縮小へ|あなたの手取りはいくら減る?早見表]で確認できます。
条件②:「デジタル・アシスタント」になれる姿勢
「PCは苦手ですが…」という枕詞を使わず、「チャットツールもZoomも、マニュアルを読めば使えます。分からなければ若い方に素直に聞きます」と言える人。
新しいツールへの抵抗感がないことを示すだけで、他の60代応募者と圧倒的な差別化になります。事務職を狙う方は[60代女性の「事務職」は狭き門?採用されるための「PCスキル」と狙い目の業界]もあわせてご覧ください。
条件③:若手を立てる「黒子」に徹する覚悟がある
「私は主役ではなく、現場の若手リーダーをサポートする役回りに徹します」
面接でこの一言が言えるかどうか。かつての部下のような年齢の上司を、心からリスペクトし、支える覚悟があることを伝えられれば、採用担当者は安心して内定を出せます。
決まらない人が今すぐやるべき「3つの修正アクション」
- 履歴書を「プロ」に添削してもらう
- 応募先を「ハローワーク」と「エージェント」で使い分ける
- 「模擬面接」で自分の姿を録画する
もし今、あなたが「決まらない」状況にあるなら、闘雲に応募を続けるのを止めてください。以下の3ステップで戦略を修正しましょう。

アクション①:履歴書を「プロ」に添削してもらう
自分一人で書いた履歴書は、どうしても独りよがりになります。転職エージェント(リクルートエージェントやマイナビミドルシニアなど)に登録し、キャリアアドバイザーに書類を見てもらいましょう。
「この表現は自慢に聞こえますね」「この経歴は今回の応募先には不要です」
このような客観的なフィードバックこそが、今のあなたに最も必要なものです。無料で使える「赤ペン先生」を利用しない手はありません。おすすめエージェントは[記事E1]で紹介しています。
アクション②:応募先を「ハローワーク」と「エージェント」で使い分ける
ハローワークの求人は玉石混交ですが、地元の中小企業など、アナログな履歴書でも受け入れてくれる企業はあります。一方、エージェント経由の求人は、書類の完成度が厳しく問われますが、待遇は良いです。
自分の作成した書類がどちらの市場で通用するのか、両方に出してみて反応(通過率)をテストしてください。反応が悪ければ、書類の内容か、ターゲット設定が間違っています。ハローワークの活用術は[記事B1]で解説しています。
アクション③:「模擬面接」で自分の姿を録画する
スマホで自分の模擬面接を録画してみてください。驚くほど無愛想だったり、話が長かったり、貧乏揺すりをしていたりすることに気づくはずです。
「客観的な自分」を見ることは怖いことですが、これを乗り越えれば、面接の通過率は劇的に向上します。
よくある質問
まとめ:そのプライドを捨てた時、内定への扉が開く

- 「売り込み方」と「商品パッケージ」がズレているだけ
- 採用担当者は敵ではない、彼らの不安を解消せよ
- 「これからの自分」のために履歴書を書き直す
60代の転職で「決まらない」理由は、決してあなたの「人間としての価値」が低いからではありません。単に、「売り込み方(マーケティング)」と「商品パッケージ(履歴書・態度)」が、市場のニーズとズレているだけです。
採用担当者は、敵ではありません。彼らもまた、組織を守り、成果を出さなければならない会社員です。彼らの不安(健康、協調性、スキル)を先回りして解消してあげられる「大人の余裕」と「準備」があれば、必ずあなたを必要とする企業と出会えます。
「過去の自分」を守るのはやめましょう。「これからの自分」のために、履歴書を書き直し、プロのアドバイスを聞き入れる。その柔軟性こそが、60代最強の武器なのです。
さあ、まずはプロの視点で、あなたの履歴書の「汚れ」をチェックしてもらいましょう。
次のステップ
- 断られにくいエージェントを探す → おすすめ転職サイト・エージェントランキング
- 履歴書の具体的な書き方を知る → 60代の履歴書・職務経歴書「通過率UPの書き方」
- プライドの整理術を学ぶ → 60代男性のプライド整理術とメンタルケア
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公式/参考URL一覧
- 厚生労働省:中途採用に係る現状等について(年齢別採用状況)
- パーソル総合研究所:シニア就業実態調査
- 求人ボックス:60代のパート履歴書の書き方
- PRESIDENT Online:書類選考通過率データ

